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(1)召喚

新作です。

宜しくお願いします。

「アハハハ、うける!そんな事が有ったの?」


「そうなんよ。ホント、勘弁してほしいぜ」


 周囲がざわついているけど、僕、高岡(高岡) 静流(しずる)は、意図的ボッチ。


 決してハブかれている訳じゃないよ!と言いたいけど、ハブく所にまで至っていない存在だよね。


 うん。知ってた。


 だって、この教室に来たのだって本当に数カ月ぶりだもん。


 僕が教室に入った瞬間のあの空気。

 一瞬時間が止まった様に一斉に僕を見て全員が止まるんだよ?耐えられないよね。


 そもそも、僕がこのクラスに馴染めなくなって家で勉強するようになったのは、皆が僕を馬鹿にするからなのに。


「おい豚野郎!ここでブヒブヒ叫んでみろよ!」


「え~、正二!豚さんに悪いでしょ?本当の豚は食べられるし、小さい頃は意外とかわいいんだから!」


 ハッキリ言って、僕は太っていない。

 こんな扱いが始まった頃から人知れず筋トレしてるし、そもそも元から少し痩せ気味と言われていたから。


「う、くせ~!豚の癖にくせー弁当持ってくんな!」


……ガシャン……


 お母さんがつくってくれたお弁当を、勝手に覗きに来た一人が喚き散らして机から叩き落としたんだ。


 そのお弁当だって、絶対に臭くなんかない。


 丁寧に丸めてある卵焼き、お決まりのタコさんウインナー、一口サイズのブロッコリー、果物を始めとして、朝早くから僕の為にバランスよく見た目も奇麗に詰めてくれていたのに。


「おい、高岡!お前煩いぞ!昼くらい静かに食べられないのか?」


 誰がどう見ても僕は少しも煩くしていないのに、全てを見ていたはずの担任は全て僕のせいにする。


 都会で色々あって嫌になったので田舎の高校に入学したのに、こんな扱いを受けたら誰もが嫌になるでしょ?


 まさかここまで閉鎖的だとは思わなかったよ。


 その結果、少ない人数のクラスメイトも教師も何もかも信じられないと思って、僕は家で勉強する事にしたんだ。


 だけど、テストの時だけはどうしても学校に行かなくちゃいけない。


 本当に嫌々登校したら、全員の視線が突き刺さった……けど、取り敢えず予想以上には絡まれなかったから良しとしようかな。


 でも、絡まれない以上に完全にいない存在として扱われている事もあると漸く気が付いたのは、テストを受ける時。


 前から配られるテストが僕の分だけないんだ。

 枚数も明らかに僕の分を除いて配っているので、僕まで回ってこない。


「あ、あの…先生。僕の分が無いのですが?」


「あれ?お前いたのか?気が付かなかったな。は~面倒くさい。ちょっと待ってろ、ホラ!」


 本当に嫌そうな顔をしながらテストを投げつける先生。

 これって、もしかしたら採点も真面にしてくれないのではと言う不安はあったけど、取り敢えず全部解き終わる。


 家で一日中土日も関係なく勉強していたから簡単だったけど、これ……どうしようかな。


 証拠で写真を撮ったとしても、その行為が見つかればどうせカンニングだと騒がれるし……


 本当にどうしようか悩んで視線を周囲に向けた所、僕が教室に入ってきた時と同じ様に一瞬全員の時間が止まったように全ての動きが止まったんだ。


 次の瞬間、何故か机、椅子、テストまでそのままの状態で真っ白な空間にいた僕達。


 でも全員いる訳じゃないようで、僕を入れて生徒五人と担任の岩井先生だけが見える。


「皆様は選ばれたお方です。可能な限り皆様の三つの願いを叶えて差し上げます。その上で、これから向かって頂く世界に君臨している魔王を討伐して頂きたいのです」


 どこからともなく出現した、金髪・金目の本当に目を奪われる程の素敵な女性が、心の底に染み渡るような声でこう伝えて来た。


 これには担任も含めてその女性に見惚れているようで、ポカンと口を開けている。


 僕は伊達に周囲の顔色を窺っていたわけではないので、表情からある程度真意を読み解けるようになっていた。


 あまり嬉しくない特技だけどね。

 そこから察するに……いや、そんな特技なしでも、男女関係なくあの女性の美貌にやられているのは理解できるね。


 あの担任の岩井先生なんかは、良からぬ事まで考えているようで反吐が出る。


 でも不思議と逆らおうとか言う気にはならないと思わせる女性は、一番近くにいて鼻の下を伸ばしている岩井先生から願いを叶える様だ。


「では、一人ずつ願いをお願いします」


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