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ベアトリス、共同生活をする

「んがぁ〜……」


「よし、討伐完了」


「私は魔物じゃないです!」


「なんとでもいうがいいわ!私の勝ちには変わりないのよ!」


 勝ち誇る私。


 いやぁ、気分がいいとはまさにこの時のためにある言葉なのだ!


「え、えぇ〜。勝者、ベアトリス」


「イエーイ」


 なぜか声が小さくなった体育の先生。


(んで、優勝がオリビアさんか……まあ、そうだよね)


 順位で言えば、オリビアさんが一位。


 ルーネが二位。


 私が三位と……。


 悪くはない。

 そこまで目立たなず、悪い準備でもなければいい順位でもない。


 ちょうどいい順位であるといえよう。

 四位か五位が一番よかったものの、レイを倒すためなので仕方ない。


「きょ、今日の授業はここまでとする!各自試合を見直し、実力を高めるように!」


「「「はい……」」」


 みんなの元気がないような……?

 どうしたんだろうか?


 ——その後の授業でもみんなは元気がなかったように思ったが、どうでもいいことかと、無視するのだった。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



「うはぁ!終わったぁ!」


「ベアちゃん、疲れたの?」


「もうだるいのなんの!早く寝たいわぁ」


「ベアちゃん!先生に聞こえちゃうよぉ!」


 えぇ〜?


 見るは先ほどまで授業を行なっていた教師。

 特に好きな教師ではないので、別にどうでもいい。


「あの先生、ロリコンだからなぁ」


 秘密を知っている身としては……。

 マジでキモい。


「ロリ……何?」


 太った体で豚みたいな教師。

 金色の髪に毛先をくるっと巻いて、髭を伸ばしている。


 いやぁ、ロリコンはどんなに着飾ろうとも無駄なのよ。


 なぜそんなことを知っているかと言えば、私の前世に秘密がある。

 元男爵の豚がさぁ、私が中等部の時にロリコンだという噂が広まったんよ。


 だから、私が調査に乗り出したわけです!

 そこで、出るわ出るわの豚の秘密。


 いやぁ、ここでは言えないようなキッモい内容もあったので、その日のうちに理事長に直接言いに行ってやった。


 その後どうなったのかはいうまでもない。


 だが、今回は違う。


「あの先生……。担当はなんだっけ?」


「錬金術じゃない?」


 ここが重要なのだ。

 錬金術は魔術などに分類されない、不思議な力である。


 その力を使えば、新たなアイテムの開発もたやすくなってくる。

 そして、それは様々な非物質能力にも当てはまる。


 結論を言おう。


 私の転生……過去戻りについて何かわかるかもしれないということだ。

 明らかに普通ではない力が発動したのは明らかだ。


 だが、知識だけではどうしてもこの謎を解けることはできない。

 そこで必要なのは、錬金術。


 多くの力を生み出してきた錬金術。

 だが、その装置はうちにはない。


 家の中に錬金台があるはずもなく……。

 だから、私はここで研究をしたいのだ。


 だが、するためには、どうしても担当の教師の許可がいる。


 そう


 あの豚である。


 本当最悪だ。

 世界は私を嫌っているのだろう。


(いっそのこと、あいつを追い出して、新しい先生に入ってもらおうかな?)


 だが、それは難しい。

 証拠がないからだ。


 なので、ここはあの豚をどうにか手名付けなければならないのである。


 それが今後の悩みだな……。


 そんなことを考えながら、


「とりあえず、部屋に帰ろ」


「うん、そうだね」


 私は自分の部屋に間接的に案内してもらう。


 だって、昨日は自分の家に帰ってしまったので、自分の部屋がどこか分からないのである。


 寮生活であるため、きっと誰かと同部屋になることだろうが、それは妥協しよう。


 一緒に生活してくれるだけで十分ありがたい。

 前世は全員が退居してった。


 おかげで広い一人部屋である。

 そんなことにはなりたくないので、しばらくは少なくとも大人しく過ごすことにする。


「ここだと思う」


「本当?」


「確か、私の同部屋だったと思うんだけど」


 一応知り合いが同部屋にいることに安堵する。


「中、入ってみよっか」


「うん」


 ドアを開けてみれば、そこには、


「あ、ベアじゃん」


「ルーネ?」


 これはありがたい!

 同部屋に常識人がいるなんて!


 ここで、知り合いでもない人と一緒になったら、ものすごい気まずいことになっていただろう。


 最後の授業後、速攻でどっかへ行ってしまったと思ったら、ご帰宅なさってたんですね。


 真面目で何より。


「今日から、ここで一緒に住むことになったんだけど……」


「ああ!そうなのね、じゃあ、悪いけど、この下の段で寝てもらっていい?」


 ルーネが座っているベットと、反対側にあるベット。

 誰も使った形跡がない白い布団がかかっている。


「わかった」


「今日からよろしくね!」


「うん」


 そうして、今日からここで過ごすことになったのである。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



「う〜ん、もう二人とも寝ちゃったかな?」


 部屋にいる人数は三人。


 私を含めてベアトリスとルーネアさんがいる。

 そして、消灯時間は九時であり、現在の時刻は九時十分。


 布団に入り、寝るには十分な時間である。


「失礼しまーす……」


 静かにドアを開ければ、やはり電気は消えていた。


「私も早く寝なければ……」


 大浴場から帰った私の服装はパジャマであり、このまま寝てしまってもなんの問題もないのだ。


 それにしても大浴場があるってすごいよなぁ。

 もちろん男子女子別れていて、それでいて設備がすごいなんて!


 堪能していたら、つい寝落ちしてしまったのだ。


 だから遅くなったわけだが……。


 そして、私はベアトリスの上のベット……自分の寝床まで戻ろうとする。


「あれ?」


 ベアトリスの横に何かがあるのに気づく。

 枕元に紙が置いてあり、それは半分に折られていた。


「今日の試合の恨み……えい!」


 手に取り、開いてみる。

 そこにはとんでもない内容が書いてあった。


(豚の扱い……。一 殺す 二 追放 三 支配 四 利用 五 無断 何これ?)


 豚とは一体なんのことだろうか?

 きっとベアトリスのことだから、誰かのことを勝手にそう呼んでいるのだろう。


 それに、書かれている内容も不気味である。


 殺すとは一体なんのことだろうか?

 支配というのも不気味なほかない。


 確実に何か企んでいると思って間違いない。

 どうやら、私にもまだ秘密を残しているようだし……。


 私は知っている。

 初めて会った日……その次の日には理解した。


(まだ、だめなのね)


 まだ仲良くなれていない。

 だから、話してくれないのだ。


(大丈夫、いつか仲良くなれる……!)


 親友と呼ばれるまで、私は一緒に続けたい。

 私の命の恩人と言っても過言ではないから。


 私にまともに生きることを許可してくれたような……私にとっては信仰してもおかしくない人。


 生きる楽しみを見つけてくれたのだ。

 だから、私はずっと仲良くしていたいのだ……!


(それにしても……)


 紙を再度読み直す。


「……私じゃありませんように……」


 ——その日の夜、私が眠ることはなかった。

このぐらいの長さがみやすいですか?

最近は三千文字ではなく、二千五百を目安にしています。

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