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ドワーフは見た

土日だ〜!

夏休みエンジョイ勢(学生)には関係ないけど、テン下げ勢(社会人)にとって最も嬉しいイベントなのでは?

「またか……」


 いつも通り魔物が出没した。

 それはいいんだが。


「最近数が増えてきたな」


 元々魔物の出現が少ない場所を選んで住んでいるというのに、これじゃ意味がなくなってしまう。


 何十年も住んでいるので、今更感は否めないが。


 俺はドワーフだ。

 ドワーフに戦う術なんてものは持ち合わせてない。


 なぜなら、服や防具を作ることしか取り柄がないからだ。

 それならばどうやって戦うか……。


「この剣を使うかな」


 自らが作り上げた最高の剣。

 文字通り、この世界の中でも良い品質の剣に分類されるとは思う。


 そんな剣を使えば、自ずと体もそれに近づく。

 剣を持った瞬間体が軽くなる。


 付与剣だ。

 この剣は魔法を付与された剣。


 名前の通りだが、効果は絶大だった。


「共同制作ってのは、いいもんだな」


 いまではもう散っていった、仲間たち。

 そのうちの一人と共同で作ったこの剣は思い出の品とも言えるだろう。


「だが、悪いが命のためなんでな。折れても文句を言うなよな」


 剣に言い聞かせる。

 そう、これは生きるか死ぬかだ。


 魔物の発生地帯までたどり着く。


「サンドワーム?なんでこんなところにいるんだ?」


 砂の中に潜って、奇襲を仕掛ける戦い方をするサンドワーム。

 それの攻略難度はBランク。


 冒険者組合が定めている基準値では、Aランクにも変動することがある。

 それだけ、強いと言うことだ。


 だが、かつての仲間に比べれば雑魚も同然だった。


「まあ、仲間の中では最弱だったがな」


 自分が弱いから守られてきた。

 しかし、自分だって男だ。


 やるときはやる。


 雄叫びなどは一切あげずに、サンドワームに斬りかかる。


 直撃した斬撃の後から嫌な匂いがしてくる。

 そんなものにも慣れてしまった自分がいるのが、なんとも恐ろしい。


「二撃目!」


 手にする剣を上段に構え、振り下ろす。

 装甲が硬い敵ほどめんどくさいものはいない。


 重撃でしか、傷がつけられないのだから。


「Bランクはこんなものだな」


 ドワーフの中で言ったら自分は最強なのかもしれない。

 ドワーフで戦える人材がいないと言うのもあるがな。


「とどめだ!」


 巨大なサンドワームの攻撃を剣一本で防ぐには限界がある。

 ここでさっさと仕留めて——


「!?」


 再び、地面がきしめく音がした。

 地面の中から現れたのはサンドワームだった。


「二体目かよ……!」


 これじゃあ、サンドワームじゃなくて、アースワームの方が正しいんじゃないか?


 そんなくだらないことを考えている間に、一体目の方に攻撃できず、逆に反撃をくらってしまう。


「グッ!」


 重たい一撃だ。

 軽装とは言え、鎧を着てなかったら、死んでいたかもしれない。


 飛び退き、崖側で着地する。


「くそ!」


 二体のサンドワームがこちらに迫ってくる。


「もう無理か……」


 崖から降りて逃げるか?

 それが最も生き残る可能性があるが……。


 どっちにしろ変わらないか。


「ここで食い止めなくちゃ、領が危ねえんだよ!俺は逃げねえぞ!」


 そんな時だった。


「その思い、しかと受け止めました」


「?」


 誰かの声がする。

 若い女性……いや、子供の声だった。


 どことなく、威厳があって、芯が強くよく通る声だった。


 サンドワームが吹き飛ぶ。


 ……………。


 ん?

 サンドワームが吹き飛ぶ?


 自分で考えておいてなんだが、何が起こったんだ?

 吹き飛んだサンドワームは自分の頭上をこえ、反対の崖まで、吹き飛ばされていた。


 そこに叩き込まれたのは、手刀。


 ……………。


 ん?

 手刀?


 今、小さい体が高速移動して、手刀を叩き込まなかった?

 それに、なんなのあの威力は?


 サンドワームの首と胴体が泣き別れしてしまった。


「つ、強い……」


 だが、まだサンドワームは一体残っている。


 そして——


「おじさん、大丈夫?」


「え?あ、ああ」


 今度は少年の声がした。

 いつの間にか目の前に現れた、少年はサンドワームなんて気にしていないかのように、俺に手を差し伸ばしてくる。


「お、おい!後ろ後ろ!」


「?」


「サンドワームだよ!」


「ああ、それなら大丈夫」


 何が大丈夫なんだ!と、言おうとしたあたりでその言葉が正しかった意味を知る。


「『空気断裂(エアスラッシュ)』」


 後ろで声がしたかと思ったら、目の前にいたはずのサンドワームは真っ二つになってしまっていた。


「あ、あぁ」


「おじさん大丈夫?」


「もう、何が起こっておるのかさっぱりだ」


 再び、女児の声がする。


「サンドワーム、討伐完了よ。そこのドワーフさん。無事ですか?」


「ああ、全然平気だ」


 崖の反対側にいる少女がこちらまでジャンプしてくる。


 ……………。


 もうツッコムのはよしておこう。


「それで、子供たちがここまで何をしにいたのかな?」


 助けてもらった分際で、この質問は失礼だと思うが、相手は子供なのだ。

 いくら強かったとしても、子供二人で森の中に入るのは危険すぎる。


「えっと、ここで鍛治屋を探しているんですよぉ」


「鍛冶屋とな」


「うんうん、魔物の出現率が低いこの森なら、きっといるだろうと思ってきたんです。実際いましたし」


「!?」


 もうバレているか……。

 何も隠す必要もないので、俺は正直に答える。


「そうだな、俺が鍛冶屋なのは間違いない」


「やっと、見つけたの?」


「これで、なんとかなりそうね」


 少年の方はどことなく疲れ切った顔をしている。

 対して、少女は鋭い瞳をさらに鋭くさせている。


 一瞬睨まれているのかと思ったが、そこは助けてくれた方。

 そんなことをする必要がないだろうと思って、ついついやってしまう癖のようなものだ、と、捉えることにした。


「俺に依頼か?」


「ええ、強い剣が欲しくて」


「素材にもよるんだが、どんな素材がいいんだ?」


「う〜ん、できれば強度重視で。威力が乗せやすいものがいいですね」


「お主たちは俺を助けてくれた。もちろんお代はタダにしてやるが……」


 素材はどうしようもない。

 鍛治をしていて、素材が足りないことはよくある。


 ついつい没頭してしまい、入手するのを忘れていたりなどが原因だ。

 だが、それ以前に、強度がとても高いものとなると、入手すること自体が難しい。


 この二人の頼みとなれば、叶えてやりたいが、そんな素材があるかどうか……。


「それならご安心を」


「?」


 少女がニヤリと笑みを浮かべて言い放った。


「素材は私たちが準備しますので」

百五十話ぐらいで終わらそうと思っているんですが、終わる気がしなくなってきました。

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