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ベアトリス、一緒に寝る

短めとなっておりまする。

「まあ、そういう話をしたが、今日すぐに悩む必要はない。ゆっくりと休めばいい」


「クッソこの悪魔めぇ………」


「ん?なんか言ったか?」


「いえ、なんでもないですよ?」


「そうか」


 まあ、今日はゆっくり寝るしかないか。

 もう、いろいろ考えるのめんどくさくなってきた……。


 今日はもう帰って……………ん?


「あの、私って今日はお泊まりなんでしたっけ?」


「ああ、存分に楽しんでいってくれたまえ!」


「あ、それで、私はどこで寝れば?」


「どこって、私の息子の部屋だが?」


「………まじで?」


「まじまじ」


 だ、そうですけど?


 ……………。


 この人、馬鹿なの?

 でも、確かに友達とお泊まりをするっていうのは悪くない。


 でもさあ!?


 ほぼほぼ、異性同士なんだが?

 まあ、私は気にしないし、むしろ殿下の可愛い寝顔を見れるだけでプラスしかないんだけど……。


 果たして殿下はそれでいいのか?

 殿下って私のことを嫌っていた。


 そんな殿下が抵抗無しに一緒に寝てくれるかって話よ。

 それは………うん。


 悲しくなってきてしまう。

 でもそうしないと、私が寝れないというわけですね、わかります……………。


 ってなわけで、私、また部屋の前まで戻ってきました。


(殿下、さっきも寝てたけど……)


 きっとまだ寝ている。

 っていうか、良い子は寝る時間だからそれが普通なんだろうけどさ。


 私が、夜中まで寝ていないだけである。

 寝ないのはお肌に悪い!


 というわけで、私もそろそろ寝たい。

 私はドアを開ける。


 若干廊下の光が差し込んでくる。

 が、ベットで既に寝ている殿下に目にはそれは届かなかったようだ。


(よし、起きてないわね)


 だが、これどこで寝ればいいのか?

 この部屋にベットって一つしかないんだけど、それは殿下が使ってるんだよね。


 そもそも殿下の部屋だから当たり前なんだけど。


(え?私に椅子で寝ろと?)


 残る寝れそうなのは、椅子だけ。


 え?


 それはひどい。


 淑女に椅子で寝ろというのはどうなんだね、殿下。

 って言っても聞こえないだろうけどね。


 そっと、私はドアを閉める。

 残る光源は若干カーテンの隙間から覗く他の明るい部屋の光と星の光だけ。


(それにしてもいい寝顔してんのね)


 前世では一緒に寝たことだってあった。

 だけどね、寝顔はあんまみたことないな。


 いや、一緒に寝てんのに寝顔知らない人って、珍しいんじゃね?


「ついでだから、覗いちゃお」


 ちょうど、こっち側を向いているため、下側から覗いてみる。


「あぁ、いやっされるわぁ〜」


 いつも通りの、澄ましたような顔ではなく、トロトロしたような表情がまじ神!

 トロトロっていうか、お餅みたいな感じになってる。


(もう、まじで可愛い!)


 ずっと眺めていられるのは、殿下のいいところ。

 これ、表情の解説でもするか?


 餅つきした後の餅みたいに、ペッタンってベットにくっついている。


 ………やっぱこれ、気持ち悪がられそうだからやめよ。


 その時ーー


「うぅん」


「!?」


 あ、ちょっと、近づきすぎたかな。


「ぇあ?」


 ムクっと体を起こす殿下。


「あれ、お母様?」


「え?」


 どうやら私を母親と勘違いしているらしい。


「お、お母様ぁ〜」


「!?」


 殿下が抱きついてくる。


(え?これなんのご褒美よ?)


「あ、えっとどうしたの?」


 面白いので、ちょっとだけ母親っぽく演じてみる。


「お母様ぁ」


「あ、ハイハイどうしたの?」


 って、これいつになったら離してくれるん?

 そろそろ心が痛くなってきた。


 私、心はそんなに強くないと思うから、もう離れて欲しいんだけど?


 そんなことを考えていた。


「“僕“、怖いんだ」


「……………え?」


 今、僕って言ったよね!?

 いつも“俺“って言ってたのに……。


「何が怖いの?」


「……みんなの視線が」


「みんなの……視線?」


「僕、本当は王子なんて嫌なんだ」


 おおっと、ここでとんでもないカミングアウト。


「どうして嫌なの?」


「みんなの期待に答えられないかもって考えたら、怖くて仕方ないんだ」


「ふふ、大丈夫よ。みんなが支えてくれるわ」


「それでもダメなんだ」


「ダメ?」


「ベアトリス嬢はそれで納得してくれないと思う」


 私!?

 なんでそこで、私が出てくるの!?


 え?


 なんか私やらかした?


「初めてできた……友達なんだ」


「は、初めて?」


「そんな友達に、助けてもらってばっかじゃダメなんだ」


 あれ?


 この子いい子すぎない?


「僕が守らないとダメなんだよぉ」


「あ、泣かないで」


「だから、僕、強くなりたい!けど……」


 すみませんね。

 私の方が強かったんですね。


 ほんとにすみませんでした。


「大丈夫だよ」


「え?」


「どんなに守れないものがあったとしても、それは全部私が代わりに守るから」


「守る?」


「ええ、殿()()だけじゃなくてね。私が一緒に守ってあげる」


「………一緒に?」


「うん、だから泣かないで」


 慰めるのも大事だな。

 さっきまで泣いていたの嘘のように泣き止んでくれた。


 でも、こうして考えると、私って殿下のこと自分の子供用に見てるよねぇ。

 同い年なはずなのに……。


「………ありがと」


「ん?なんて言ったの?」


「こういうこと」


 上目遣いでこちらを見上げーー


「!?」


 頬に柔らかい感触がした、気がした?


(ん?ついに私、幻覚、幻でもみてるの?)


 ちょっと理解に悩むので、思考は切っておこう。

 というかーー


「わ!?ちょっ」


「えへへ、おやすみ」


 そのまま後ろに押し倒された。


 いや、これほんとだったらドキドキするべきシーンなのかもしれないんだけど、私、ちょっと理解が追いつかないくて、まだ何が起こったのかわからない。


「え?あの」


「スースー」


 もう寝てんの!?


 待って待って、私寝れてないんだけど!?


 でもまあ、ベットで寝れそうだし、これはプラスなのでは?

 結果、殿下が布団と化しているんだけれどね。


(っていうか、殿下、私を守るって………)


 なんだ。

 まだ、嫌ってなかったのね。


 ちょっと嬉しく思う………いや、だいぶ嬉しくなった私だった。

これは………恋愛?


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