新しい武器
最近体調が不調であまり書けませんでした。身近な人にコロナでたからかな?
最近は魔物の増加がひどいというのは本当らしい。森の中には狼種の魔物や、ゴブリン、オーク……中には脅威度がBランクを超えているオーガのような魔物もいた。
そんな魔物たちも私が走る風圧で吹き飛ばされるんだけどね。
木々を避けながらだからかなりスピードは落ちているはずなのだが、それでもこれなのだ。もう、諦めたよ色々と。
と、走っている間についに小柄な人の姿が見えた。
「おーい!」
その人の前にたどり着く。あれ?なんか今蹴り飛ばしたような気がする……まあいっか!
「……」
「あれ、どうしたの?」
目の前にいるドワーフは頭を抱えている。
「はぁ~苦戦していた魔物をこうも簡単に蹴り飛ばされるこっちの身にもなってほしいもんだねぇ」
「え?魔物いた!?」
「いたに決まってんだろいったい何を見ていたんだ!」
「ま、まあまあ……」
久しぶりの再会とはいえ、ドワーフはエルフなどに比べれば短いが長命種、たった数か月ほどなんて一日に等しい感覚なのだろう。
「あ、今日は相棒いないの?」
「コドラか?小屋でぐっすりだよ」
「そっか」
「それで?ここに来たってことはなんかお願いがあるんだろ?」
「ああ、実は私の武器が……」
私は亜空間を開いて武器を取り出す。
「はぁ?」
「ええっと……なんて説明していいやら」
「ドラゴンの頑丈な鱗を素材にしたってのに、どうやったらこんなにひしゃげるんだ?」
「思わぬ強敵との小競り合いで……」
「お前が強敵というほどとは……そいつはどのくらい強かったんだ?」
ええ?そんなこと言われても分からないよ。
《推定ステータス70万弱です》
……?
…………?
「え?」
「いきなりなんだ?」
「あ、いやこっちの話……」
ステータス間違えてない?20万でしょ?どうしてそんなにステータスが膨れ上がっているの?
《通常の座天使は20万前後のステータスとさほど高くはありませんが、ネームド個体ともなると、その倍以上、三倍以上のステータスもあり得ることです》
ええっと……つまり、私って……ステータス70万弱の化け物と戦ってたの?
《はい、今更お気づきで?》
あきれてものも言えない。もちろん呆れる対象は私含め、ツムちゃんに。
《なぜ?》
それ早く教えろよ!って今言っても意味ないしなぁ……ユーリが言っていた意味もようやく分かった。
ステータス70万、そりゃあ倒せないわけだわ。というよりもそんな化け物と張り合っていて無事なユーリも大概だけどね。
70万というステータスの暴力と将軍の得意な幻覚魔法が組み合わされば、半神のヴァルキリーって人たちにも一目置かれるわけだ。
半分神様のような人たちから一目を置かれるだけはある。
「それで、武器を修理してほしいんだけど」
そういうと、ドワーフはしばらく考え込んでからいった。
「お前、こんな戦い方していたらこの武器何回壊れるかわからんぞ?」
「うぐっ……」
「だから、強化する必要もある」
「え、でも素材を集められてなくてさ」
「素材ならこっちに任せろ。さっきお前が倒した魔物、実はSランクだったんだ。あいつの素材を売ればこれから使う素材なんて簡単に手に入る」
「それ強化できてるの?」
「バカ野郎!職人を信じろよ!」
そんなわけで、武器はドワーフにぶんどられ、小屋まで私もついていくことになった。
♦
職人というのは気難しい生き物であるため、作業している姿は見られたくないらしい。そのせいで、私は外で何時間も待たされる羽目になった。
それだけなら別に良かったんだけど、
「こら、コドラ!?それは私の髪の毛だよ!?」
いつの間にか起きたコドラが久しぶりに見る顔見知り(私)にじゃれてくる。ぶっちゃけ、動物がじゃれてくるのは可愛いからいいのだけど、問題はじゃれかた。
ドラゴン特有のブレスを吐き、髪の毛を引っ張り、服を引っ張り、挙句の果てには追い回してくる。
「おーい、できたぞ……って、ああ、大変そうだな」
「見てないで助けてぇ……」
コドラにボロボロにされた服をどうにか誤魔化しながら立ち上がる。コドラはやっぱり飼い主のほうが好きなようで、すぐにドワーフの肩へと移動していった。
「って、その武器!」
「どうだ?新しい武器を見た感想は」
ドワーフが手にして戻ってきた武器はどこからどうみても鞭だった。
「また形状変化型?」
「失礼な、新しい形態を作ってやったんだ」
「それどうやって作ったの?」
「この間いったろ?特殊なスライムの素材だよ」
「ああ!あれか!」
私がいくら探しても見つからなかった幻のスライム!別に幻っていうほど珍しくはないらしいけど、少なくても私は見つけることが出来なかった。
ドラゴンの鱗を表面に、そして内側に柔らかいスライムの素材。素になったスライムはどうやら緑色をしていたらしく、緑色が透けてみえる。
「表面はドラゴンの素材を元に強化してやった。中には特殊スライムの素材で柔軟性と衝撃吸収機能が加わり、前回よりも確実に壊れにくくなっているぞ?そして最大の目玉はなんて言ってもこれだ!」
二メートルほどの長さの鞭を地面に垂らし、そして思いっきり振り上げてから振り回す。
二メートル以上離れた、間合いの外にいると思っていた私は完全に油断していたが、第六感がなぜだか避けろと囁いていた。
すぐさましゃがむと、鞭は私の頭上を通過し、奥にある木々をなぎ倒したのだ。
「ええ!?」
「このスライムの特性は何と言っても柔らかさと、速さ!体にかかる衝撃が大きいほど、加速効果をもたらし、その柔軟性から何メートルにも伸びるのだ!」
「すごい!普通に強いじゃん!」
「ははは!普通なんて言葉じゃ片付けられねえぜ!この武器は世界でたった一人しか作れないんだからよ!」
「ドワーフさんしか作れないの?」
「おうよ!この俺を誰だと……ああいや、知らないんだったな」
?
「ともかく、武器は作ってやったぜ」
そう言って帰ろうとするドワーフを私はどうにか引き留めた。
「今度はなんだ?」
「ありがとう、それとありがとうついでにもう一つお願いを聞いてもらってもいいかな?」