追いかけっこ
ある日の暇をしているレオとユーリの会話――
「ねえレオ?レオは尻尾で遊ぶことない?」
「え、どういうこと?」
「自分の尻尾を追いかけることないの?」
「あー……」
ユーリは元が魔族であり、尻尾を持っていなかったため、いまだにこの尻尾には慣れていないようだ。たまに、尻尾を追いかけクルクル回っているのを目撃される。
「レオがくるくる回ってるのも見てみたいなー」
「え……やだよそんな、恥ずかしい」
「じゃあいつも恥じを晒しているボクはどうなるの!?」
「いや、知らんけど……」
「ねえお願いだよ!ボクだけ恥さらしなのは嫌だ!だから、巻き添え喰らって!」
ユーリがレオに向かってダイブする。当然レオはユーリの下敷きになる前に避ける。
「なんで避けるの!?」
「いや、避けるでしょうが!」
「いいじゃんか!」
「うわ、こっちくんな!」
とてつもないスピードでの追いかけっこが始まった。街中を走り回っているせいで、街にものすごい風圧が押し寄せている。
「ふふふ、まだまだ子供よのう……」
そんなことを呟き、あつーいお茶をすすりながら温かい目で二人を見守っているベアトリスがいたことをまだ二人は知らないのであった。