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革命軍

 とまあそんなことをしているうちに一日が経過し、帰る日になった。もし、将軍の手先に行く先を監視されていた場合も考慮して、一度街に帰った後から反乱軍の本拠地まで向かうこととなった。


「お兄様は、あとから合流してください。また一、二か月も馬車で時間をつぶすわけにもいかないですし」


「分かった。本拠地の場所は地図に記してある。これを持っていけ」


「はい」


 ということで、私は先に転移で街へと戻ることにした。



 ♦



 戻った先は、私が寝ていた部屋の中。その部屋の中から外の様子を伺うが、なぜか誰も外に出ていない。


 以前はあんなに賑やかだったのに、一体どうしてだ?


 そう思いながら、早く外に出て顔を出しておこうと思って、部屋を飛び出す。そして、階段を降りようとした時、下から声が聞こえてきた。


「洗脳を受けていたことについては私たちも同情しますが、十人の皆さんの恐怖はまだ拭えてないんです。それに、今更謝りに来たって状況は何も変わらないですよ」


 ん?ミサリーの声がしたぞ今?


 話している内容が何やら意味深だけど、もしかして誰かお客?って思ってちらりと覗いてみると、そこには見知らぬ武装した人がいた。


「それでも、俺たちは何かをして恩返しをしなくちゃいけない……反乱軍として、幕府の政治を変えることもできなかったが……まだ諦められないんだ」


 その男のセリフを聞く限り、あの男は反乱軍側の人間なのだろう。これはちょうどいい。


 その男に対面して座るミサリーが言葉を発する前に私はそれを遮って登場する。


「だったら、少し引き受けてもらえるかしら?」


「っ!?」


「お嬢様!?どうしてこちらに?」


 中々にいい反応ありがとうございます。


「とりあえず、そこにいる方は反乱軍の人ってことでおーけー?」


「ああ、そうです」


「反乱軍の信用は今は地に落ちている……まあ、信用なんて元からなかったけどね」


 信用を築き上げる前に地の底に落ちてしまったものだから、どんなに頑張ってもイメージ修正は不可能。


「あなたたち、反乱軍を辞める気はない?」


「やめ……る?」


「反乱軍という名ではもはや改善不可能なまでに恐れられている。そして、それを討伐できていない幕府の信用も徐々に落ちてきている。よって、ここで新たに新しい勢力が信用を得ることが出来れば、幕府に優位に立てると思わない?」


「た、確かにそうですね」


「そこで、反乱軍を実質的に解体し、新たに『革命軍』として、組み替える。反乱軍は革命軍に打ち取られたということにして、その話を広めるのよ」


「ま、待ってください!」


 おや?かなり理にかなっている話をしているつもりだったが、男は私の話を止めた。


「ですが、俺たちは多くの人を傷つけてしまった……そんな俺たちにはもうその革命軍の名を背負う資格はありません……」


 洗脳されて操られ、無意識ながら多くの人の命を奪ってしまった……本人たちからしたら自分がやったことに変わりはないのだから、かなり精神的にきているはずだ。


 だけど、私にはそんなこと関係ない。


「それがどうしたの?」


「え?」


 私にはぶっちゃけ洗脳された気持ちなんてよくわからない。体を勝手に操られてとかの経験はあるが、彼らほどひどい話ではなかった。


「あなたたちはこのまま何の活躍もせずに、死んだ人への償いと称して謝り続けるだけなの?それで許されるわけないよね。どんなことをしても許されないことには変わりないけど、少しでも生きている人の役に立とうとは思わないの?」


「っ!」


「分かったら、今の言葉を訂正しなさい」


 私がそういうと、男は涙を流して、それを腕で隠していた。


「分かりました……俺たちでよければ、ぜひ役に立ちたいです!いや、やらせてください!今まで犯してしまった過ちの分、精一杯この命をかけます!」


「おおとも、そう言ってくれると私としても助かるよ」


 よし、革命軍ゲットだぜ!


 これで一応、幕府軍に対抗するめどは立ったということになる。あとはどれだけの時間がかかるかわからないが、民衆の支持を集めてしまえばすべてが終わる。


 ただ、どれだけ時間がかかるかわからない……ということが大問題だ。もし、王国の食糧がそこを尽きていたら時間をかけている暇もない。


「ミサリー、この人たちにはこれから革命軍となってもらうわ。そして、革命軍の良い噂を各地で広めてほしいの。なるべく早くに。あなたの足なら最南から最北まですぐだと思う」


「かしこまりました!このミサリー、全力で事にあたらせていただきます!」


 頼もしいメイドって素晴らしい。


「それと、ユーリたちは基本はこの街に待機していて。そのうちお兄様が戻ってくるから、その時はお兄様の護衛として動いてもらうわ」


 将軍が私たちの動きを察知して止めに来るかもしれない。それに対抗できるのはユーリだけだ。


「レオ君も基本は一緒。そうね……レオ君にはもっと『戦場跡地』を増やしてもらうわ」


「?」


「要するに、地面をいたるところで地面をでこぼこにして頂戴」


「わかったよ」


「それから、私は一旦転移で王国に戻るわ。国王にも途中経過を報告しておきたいし」


 それを言い残し、私は再び転移するのだった。

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