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参勤交代

そろそろ夏休み終わりですね~。

七月二十日くらいから夏休みが始まったとすると夏休み50本投稿できたかな?

「ご主人様気合入ってる!」


「ほんときれいだね」


「二人とも、褒めても何も出てこないからね?」


 一階に降りるとユーリとレオ君がいつも通りいた。


「二人はついてきちゃダメだからね。何かあった時、街を守れないと」


 将軍にお兄様が疑われでもしたら、軍を派遣されるかもしれない。流石に八光の仙人レベルの化け物はいないだろうけど、油断はできないよね。


 二人が残ってくれれば万事安泰だ。


「わかったよ。でもご主人様、帰ってきたら一緒に散歩とかしよ!」


「はいはい、じゃあ行ってくるね」


 今回はミサリーも同行はしない。だから少々私の身の安全の方が危なくなりそうだが、感覚的に死んで蘇った後から強くなったのは分かっている。


 どれくらいかと表現をしろと言われれば難しいけど、少なくとも一対一で八光の仙人に負けることはないと思う……。


 というか思いたい。


 街中を歩いていくと、街の住人さんたちから色々とあいさつを受けた。盛大に歓迎されつつ馬車の方へ向かっていく。


「お兄様!」


 御者さんと何かを話しているお兄様に声をかける。


「来た……か?」


「なぜ疑問符が付くんですか」


 こっちを見て固まっているお兄様とついでに御者さん。


「あのー、なにか?」


「いや、そういえばもう化粧をする年頃か……見た目が幼いせいで忘れていた」


「幼いと言わないでください!」


 前世ではわりかし高身長だった分非常に悲しい。


「まあ、そのなんだ……綺麗だぞ?」


「お兄様がそんなことを言う何て……!」


「うるさい、早く乗れ」


「わかりましたよ」


 照れたように急かすお兄様を見て少し笑いそうになるがぐっとこらえて馬車に乗った。


「そういえば、馬車で何日ほどかかるのですか?」


 地図を見ながら転移してしまったので、どのくらいの時間がかかるかわからない。馬車酔いにはもう慣れてきたので平気だと思うが……。


「そんなにかからん。ざっと二週間と言ったところか」


「二週間ですか……あ!なら、少し寄りたいところがあるんですが、大丈夫ですか?」


「寄りたいところ?」



 ♦



 馬車のお兄様と乗り込み、街を出発する。馬車で二週間ほど……とお兄様は言ったものの、それは歩いている兵士さんたちに合わせたスピードで進んで……という話だ。


 兵士の方々は毎回大変な思いをしているそうだが、私は馬車に乗れて幸運だっただろう。


「それで、寄りたいところとは?」


「すぐそこの忍びの里ですよ」


「服部殿が治める里か……。用事があるならできるだけすぐ済ませてこい。それと、あんまり大きい声でそれを言うなよ?忍びの里の情報が外部に漏れてはいけないからな」


 忍びの里というだけあって、里がある場所を知っているのはその領地を治める領主とごく一部だけ。だから、大っぴらに兵士を引き連れて中に入るということはできない。


「先に私だけ里に入りますよ」


 服部長老にもお礼を言いたいし、服部家にも挨拶をしてこようかな。


「私の分も頼む。洗脳された私をミサリーと共に止めてくれたことへ、感謝するといっておいてくれ」


「わかりました」


 そんなわけで、私は馬車のドアを開けて飛び出した。後ろから兵士の驚く声が聞こえるが聞こえなかったフリをしておく。


 地面に足をつけて、軽く蹴った。すると、まるでワープしたかのように十数メートル先に自分が飛んだように感じる程の速さが出た。


「流石にこれは……」


 軽く蹴っただけでこれである。地面を本気で蹴ったわけではないので、土煙は一切上がっておらず、足音すら鳴らしていない。


 それでこの速さ。馬車の何十倍何百倍速かった。


「これはやりすぎじゃない?」


 《脚力は獣人族のそれより上です》


「あ、すっごい聞きたくなかったわ……」


 脚力も人間を止めて獣人になってしまった。部位ごとに他の種族で例えるのやめてくれない?


 私のことを一切知らない人がそれ聞いたら私のことをキメラと勘違いしそうだ……。


「ちょっと本気で飛んでみようかな……」


 地面に着地した瞬間、今度は割と本気めで地面を蹴り上げる。案の定とてもつもない砂ぼこりと共に、私の体が宙へ浮いた。


 宙へ浮いたというより、一歩の幅がでかすぎてなかなか着地できないだけである。


「待って……今の一歩で百メートルぐらい飛んでない?」


 私の視力的感覚で言うともっと飛んでしまった気が……


 《おおよそ百三十二メートルです》


「細かい数字は聞いてない!」


 これで、全快じゃないんだよ?完全に体の感覚を取り戻したら一体どれだけになってしまうのか……。


「どれだけ強くなれるかな?」


 前まではある程度強くなったらそれで十分だと思っていたけど、今は強さにどん欲にならなくちゃ。女神にも喧嘩売ったし、絶対に倒さないといけない化け物もいるし、大忙しだ。


(東の国の反乱が落ち着いたら、一度国に帰る?国王が言うに、獣王国でも何やら怪しい動きがあったらしいし……あ、でもそれはマレスティーナに任せたんだっけ?)


 何より重要なのは魔王軍が動き始めているということだ。


(ユーリレベルの化け物だとすると、魔王軍相手に国を守り切ることはできないよね……早くフォーマの居場所を探った方がいいかな?)


 魔王軍の対処に、悪魔たちの相手……ついでに選抜者探しもやらなくてはいけない。


「大忙しね……」


 これからもっと忙しくなりそうだ。


 でも今気にしてもしょうがない。だからとりあえず――


「よっしゃー!もっと飛ばすよ!」


 そして、また宙に浮く。

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