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ステータス値

短めです。

 なんだか体が変な感じがする。森の中でポツンと立ち尽くしながら私は思う。


 違和感を感じる程体がいつも以上に軽い気がするし、なんなら五感がより鋭くなった気もする。先ほどから今もずっと聞こえている小鳥の鳴き声が、さっきよりもより鮮明に耳の中に飛び込んでくる。


 どういうことなんだろうか?


 でも、害はないだろうし気にする必要もないかもしれない。


「お嬢様!」


 そんなことを考えていると、いつの間にかミサリーが背後に現れた。


「すごい音がしてましたが、大丈夫ですか!?」


「あ〜……ちょっとでかい魔物がいて……」


「でかい魔物!?ドラゴンとか?」


「えっとぉ〜ちゃんと観察する前に木っ端微塵にしちゃったから……」


「流石です、お嬢様!」


 なんともおバカさんなミサリーでよかった。


「と、それよりも聞いてくださいよお嬢様!」


「ふふ、はいはいどうしたのかな?」


「私、鑑定ができるようになりました!」


 鑑定?


「クラさんに鑑定を使えるようにさせてもらいました!そしたら、いろんな人の『すてーたす』が覗けるようになったんです!」


 ステータス……私は自分のステータスとか見たことないけど。それと、一体どれくらいが平均なのかも知らない。


 気になるところではあるので、試しに私を鑑定するようにミサリーにお願いする。


 しかし、


「すみませんお嬢様……鑑定できません」


「できない?」


「いえ、やろうとはしたんですけど……『鑑定不能』と表示されてしまって……」


「そ、そうなんだ」


 残念だ。しかし、鑑定できないなんてこともあるんだね。


 古今東西鑑定できないという事例を私は聞いたことがなかったので、少し驚きである。


「じゃあ、ミサリーのステータスは?」


「私は……はい!大体10000ほどですね!」


 その10000というステータスがすごいのかどうかは私にはわからないが、本人は嬉しそうにしているので問題なし。


「それで、お嬢様。先ほど生徒さんたちと話をさせてもらいました」


「ええ、そっちが本題ね?」


 少し重い雰囲気が流れる。


「なぜ、教師を辞めることに?」


「お国の命令よ、私が学院に戻り次第貿易国のスパイとして潜り込めっていうね。これでも私は貴族に一人だからね。『ノブレス・オブリージュ』はしっかり果たすつもりよ」


「そんな!お嬢様はまだ子供じゃあないですか!」


「確かに成人はしてないけど……」


 もはや今更の話だ。


「それで、貿易国というのはどちらの国なんですか?」


「ええ、日ノ本の国。最東に位置する島国よ」


「あ、そこですか?」


「そうだけど……」


 なにやらその国について知っているような口振りのミサリー。


「実はそこに、お嬢様のお兄様が婿に行ったのですよ!」


「は?」


 兄って!?


「長男、ライト・フォン・アナトレス。お嬢様が生まれる前に結婚し、出ていかれてしまいました」


 お兄ちゃん!顔も知らないし、今まで名前すら興味なかったけど、初耳!


「え?っていうことは、もしかしてお兄様ピンチ?」


「?」


「日ノ本では内乱が起こってる可能性があるのよ。もしそうなら、少なからずお兄様も巻き添えを食らってるはずだわ」


 平民に婿に行くわけないし、絶対の貴族の家系だろう。となると、必ず内乱に巻き込まれるのは確定している。


「それは大変です!急いで……じゃなくて!しばらくは滞在するんですよね」


「うん、そうだね」


 それに、ここにとどまることには他にも理由がある。


 私の大剣……あの剣を作った鍛治師さんまだいるかな?ドラゴンの素材とかまた持っていけばワンチャン強化してもらえるかも?


 今まで使ってこなかったが、少しでも耐久度が上がれば実践でも活躍できるかもしれない。


「それとお嬢様、生徒さんたちが私と戦いたいといっていたのですが、手合わせをしてあげてもいいでしょうか?」


「いいんじゃない?でも……」


 ミサリーはBランクの冒険者。いくら生徒たちが戦闘経験が少ないとはいえ、総合して大体Aランク程のパーティに対抗できるのだろうか?


 そう考えると、Bランクは最低でもステータス値10000程度必要なのだろう。


 でもまあ、ミサリーの戦闘経験は頭一つ抜けている。何せ、二年もの間悪魔と死闘を繰り広げていたのだから。


 まあ、ミサリーが負けるとはこれっぽっちも思っていないので、問題はない。


「まあ、大けがさせない程度に気を付けてね」


「はい、わかりました!では、行ってまいります!」


 そう言って、駆け出していこうとするミサリー。ふと、一度立ち止まって、


「おいしいご飯をよろしくお願いします!あ!できればお肉!イノシシ!血抜きもお願いしまーす!」


 ……全く、うちの従者はいつからこんなに生意気になったのだろうか?

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