混血の獣
そろそろ毎日投稿一本に戻ります!
体力がもたないので……。
夕方を過ぎて、食事?を終え、部屋に戻る。
今日は外に出る予定もなかったし、夕方も過ぎたので、大人しく戻るとしよう。
だけど、レオ君のことが心配だった。
なんか、精神崩壊とか、怖い単語使われたら、大丈夫か不安なのだ。
なんとか耐えて、フラフラになりながらも歩けていたから、大丈夫だとは思うけど……。
気持ち早めに階段を上りきり、私たちの部屋に入る。
ちなみに、ユーリはお腹が空いているため、血液以外の食事を注文していた。
私は大してお腹も空いてないのですぐに戻ったわけだが……。
扉を開ける。
暗い部屋、あかりはついていなかった。
なので、ひとまず明かりをつけて視界を確保した。
そのおかげでレオ君がどこにいるかもわかった。
三つ並んでいるベットのうち、一番端っこにあるところで、毛布をかけて寝ていた。
ただ、起きてはいるらしく、私の方に気づくと笑いかけてくれた。
「大丈夫?」
「うん……でも、熱出ちゃったみたい」
目から上をひょっこりとだし、あとは毛布で見えないが、それでも十分顔が赤いのはわかった。
無事で何より……。
そう安心すると同時に疑問をぶつける。
店員の女性から話を聞いて、ずっと考えていた。
吸血鬼以外の人が飲んだら死ぬって……。
少量なら平気なのだろう。
返り血を多少飲んでしまった!と言って、亡くなった冒険者なんて見たことも聞いたこともないから。
だけど、あんなにガッツリ三人前分飲んだら、吸血鬼以外は死ぬだろう。
あの店員……吸血鬼だったら平気かもだが、レオ君はどうなのか?
「レオ君って、もしかして、吸血鬼と獣人の混血だったりする?」
聞きづらい質問ではあるが、そろそろ答えが聞きたい。
「……わからない」
その一言は少し暗かった。
当たり前だ。
私の母が親代わりとして育てたんだから。
だが、帰ってきた回答は少し疑問に思った。
「僕、父親に会ったことないんだ」
その答えは私を思考の渦に飲み込んだ。
(父親に会ったことがない?そんなの当たり前でしょ?捨てられていたレオ君を私の母が拾ってきて育てたらしいからね)
でも、どうして父親に会ったことがないと言ったのだろう?
本当の家族を知らないとかでいいのに……。
でも、表現の仕方は自由。
レオ君にとって、メアリは本当の母なんだろうな。
「まあ、私はどっちでもいいんだけどね」
「え?」
私には関係のないこと。
つまり、気にする必要すらないことだ。
レオ君が混血だろうと、何も変わらない。
「私はレオ君のこと、本当の家族だと思ってるし、混血だろうと、これからもずっと一緒よ」
「!」
笑いかけた私の顔を見て、レオ君が毛布で顔を隠した。
……あのー。どうして、みんなこういう反応なの?
少しは涙流してありがとうとか言ってくれてもよくない?
なぜ顔を隠す。
そんなに怖いのか、私の顔って……。
レオ君は再び顔を出して、
「嬉しいよ、ありがと」
と言った。
「私も」
と返したが、内心では結構ドキドキした。
だって、可愛いんだもん!
何?
私の周りには、可愛い男子しかいないの?
私は男子と勘違いされるほどなのに、うちの男子達ときたら……。
そう思い、ずっとレオ君の目を見つめていた。
「あー!ご主人様がまたいちゃついてるー!」
「うわ!なに!?」
ドアがバタンと開かれ、中に入ってきたのは、ユーリ。
そして、後ろからもう一人ひょっこりと顔を出した。
「あ、私もお邪魔しまーす!」
「店員さん!?」
「店員さんじゃなくて、ネルネです!」
「あ、はい……ってそうじゃないですよ!」
いきなりの乱入に驚きつつも、ユーリだからね……と納得してしまう自分がいる。
「あのね、いちゃついてなんかいないから。というか、ユーリはなにを妄想してるのよ」
「いやー、今のはそう見られてもしょうがないと思いますよ?何せ、お二人ともベットで見つめ合ってたんですから!」
店員改め、ネルネがそんなことを言う。
確かにそうかもしれないけども!
「ご主人様ー!だったら、僕ともイチャイチャしよー!」
「のわ!?ちょ、なに!?」
ジャンプで私の方に抱きついてきて、ネルネは後ろからキャーキャー騒いでいる。
そして、今気付いたのだが、フードが取れていた。
ユーリも寝ていたレオ君も私も。
だが、ネルネはなにも言わない。
てっきり、エルフ達のように最初は出てけ!って言うのかと思っていたからびっくりである。
深く追及はしないでおこう。
「離れな、さい!」
「えー!」
「えー!じゃないの!いちゃつきたいんだったら、レオ君としてなさい!」
「え?」
すまぬ!
レオ君には犠牲になってもらう!
「じゃあレオ!今日は一緒に寝よ!」
「え、あ、うん」
嬉々として毛布の中に潜り込み、ユーリがレオ君に抱きついている。
レオ君は苦笑いしながらも、甘んじて受け入れている。
「お客さんお客さん」
「え?なんですか」
急にネルネが私に話しかけてきた。
「あのお二人見ていて、何か感じません?」
何か真面目な話か?と思いきや、表情はニヤニヤしているので、きっと違うのだろう。
「いえ……可愛いなーとは思うけど」
「それですよ!私、ちょっと目覚めそうです……」
「なにに!?」
「秘密でーす!」
ムカつくし、気持ち悪い……。
そんなことを思いつつも、その後は四人で会話を楽しんだ。
どうやら吸血鬼だからと言ってすぐに襲いかかってくるわけではないらしいので、安心して話ができた。
そして、その日は場が和んで、一夜を過ごすことができた。
レオ君の秘密?が知れて、私はまた一歩仲良くなれた気がした。