方針
閑話編を挟むのを忘れていました。
明日は閑話分、朝に五本投稿しますね。(五百文字程度を五本)
それと、三本投稿完遂です。
本当に申し訳ございませんでした……。
そこから私は、あの屋敷での戦いの後何があったのか事情を聞いた。
「えっと、まず私は一ヶ月寝込んでいたの?」
「そういうことになりますね……」
「もしかして、その間に襲撃があったりとか!?」
「いや、そういうのはなかったよ。ひとまずこの……みすぼらしい家を拠点に生活してるのが現状かな」
このボロい家に三人で暮らしてたのか……。
それは狭くて息苦しそうだな。
私は寝込んでいて何もできなかったわけだし、二人でいろいろするのは大変だったろうに。
「そういえば、寝ている間の私、どうだったの?」
「ど!?どうだったって!?」
あからさまに動揺しているレオ君。
この際だから、そこは気にしないようにしてあげよう。
にししと笑っているユーリの顔を見ると、何かあったことはわかったのでね。
「私、何かご飯?のようなものを食べて目が覚めたんだけど……」
「そういえば、今日まで何も食べてませんね」
「え……」
「飲み食いなしで、ついでに生理現象も一切出ていなくて、ほぼほぼ仮死状態でしたよ」
「ええ?」
曰く、私は精神の疲労、それに加えて魔力欠乏に陥った結果らしい。
言えない……。
その前にもターニャと戦って、連戦してましたなんていえない……。
そして、ユーリは私のお世話をしようといろいろとやってくれたみたい。
ただ、その度にレオ君の顔が赤くなるので、後でユーリを叱っておくことにしよう。
「で、結局ユーリが料理を作ることになって、あの料理が出来上がったと」
あの申し訳ないけど、クソまずなご飯、やはりユーリが作ったものだったらしい。
レオ君は女子力高めな獣人なので、あんな味の料理はどう頑張っても、作れないだろうしね。
「あれは、あんま美味しくなかったわねー」
「ひどいよ、ご主人様!僕、頑張って作ったんだよ?」
キツネの時もこんなに反応していたのかなと思うと、かなり面白い。
「魔王になってからまともに料理してなかったんだもん!」
へーそうなんだー。
魔王になる前は料理していたんだね……。
…………………………。
?
「あれ?私の耳おかしくなった?」
「ご主人様?」
「ユーリ、今なんて言った?」
「え、『魔王になってからまともに料理——』」
「魔王!?」
この子は一体何を言っているんだ!?
私の耳が壊れているのかと思ったら、私は幻聴を聞いているのかもしれない。
「って、なんでレオ君は驚かないの!?」
「あー、一ヶ月一緒にいたからね……」
「あ(察し)」
お気遣い、ともに、心中お察しします。
一人でドヤ顔しているユーリには後でゲンコツが必要なようだ。
「それで、魔王って何?」
「ご主人様、魔王を知らないのですか!?」
「いや、知ってるけど……ユーリが言ってる魔王の意味を教えて欲しいな」
「魔族を統治している王様のことです!」
「……………」
もういいや、考えると余計に疲れる。
せっかく一ヶ月ぶりに目覚めたんだから、もっとリフレッシュを……。
「ユーリが魔王って……それって本当なの?」
「もちろんです!僕は、今で言う『先代魔王』ってやつです!」
「先代魔王って、死んだんじゃないの?」
確か、勇者の攻撃と相討ちになったって語られているけど……。
その話が本当だとは思っていなかったが、まさか私の目の前にいるとは思わなかった。
「僕は死んでないですよ?勇者たちが僕の攻撃を跳ね返してきて、びっくりして隠れてたら、勝手に死んだことにされました!」
「なんて、情けない……」
基本的に人に懐かなく、臆病気味な性格は魔王からのものだったらしい。
「でもでも!本当に死にかけてたんですよ!そのあとすぐに悪魔に奇襲されて……」
「悪魔?魔族とは何が違うの?」
人類にとっての共通認識は、名前に『魔』がつく種族は全て一緒みたいなもので、私も詳しくは知らないのだ。
「悪魔っていうのは、『異界』に住んでいる異形の化物のことです。人類の歴史には載っていないかもですが、この世界が誕生してすぐに地上を支配していたすっごく強い種族ですよ!」
「それって、ユーリよりも?」
仮にも魔王。
最強の肩書きを背負う『勇者』と肩を並べる存在。
勇者が複数人で魔王に挑むから、個人的には魔王の方が強いのでは?
身内贔屓ってやつかな……。
「個体によりますね。爵位持ちの悪魔はかなり強敵で——」
「爵位?」
「爵位は簡単にいうと……高ければ高いほど強い!みたいな?」
かなり大雑把だが、悪魔の中で強い者は爵位を与えられ、その中でも高ければ高いほど力が強いってわけね。
「ご主人様が戦ってたあの少女もおそらく爵位持ちです」
「悪魔……だから強かったのね……」
「爵位持ちだとは思うんですけど、いかんせん若かったですね」
いわゆる天才タイプか?
それとも、爵位持ちの子供?
「そういえば、お姉さまに怒られるとかなんとか言ってたし、爵位持ちの子供ってことかしらね」
「それだと、僕たちが戦ったの、爵位持ちの肩書にも置けない人っていうことになるけど……」
レオ君が言いたいことはわかる。
爵位持ちの子供は確かに強いかもだけど、『本物』の男爵位持ちよりかは弱いだろう。
「まあ、今は悪魔の話はいんだけどさ」
問題は今後どうしていくかだ。
今いる森の場所は不明だ。
ユーリが知っているような口ぶりだったから期待していたが、知らないとのことらしい。
というわけで、私たちはこのまま身を潜めておくべきか。
それとも、どこかあてもなく旅をするか。
そのどちらか二択を選ぶことになる。
「私はもう決まってるわ」
答えは一つだろう。
「旅に出ましょ!」
アレン、ミサリー……オリビアのその後も気になるし、ターニャだって……。
父様は生きているという確信も持てない。
早くなんとかして見つけないと……。
「僕も賛成かな。アレンたちが心配だ」
「え、そこ知り合い?」
「うん」
「もう!なんで私も混ぜてくれなかったの!」
「ええ!?だって、いつもいつも忙しそうにしてたから……」
とにかく、レオ君と私はもう答えが決まっていた。
二人でユーリの方を見るが、
「僕はご主人様に従うよ!ご主人様のいるところ、この『我』がいる!」
「頼もしいわね。よろしく」
「うん!」
私たちはこのボロボロの家を出る。
まだ、支度はできていないが、ひとまずは私も体を動かせるようにならないといけない。
(早くみんなの探しに行かないとね!)
元気よく照りつける太陽に向かってガッツポーズを決める。
太陽は私たちを照らす。
それはまるで、今後の旅路を応援するかのようだった。
ようやく一章スタート。
毎度のことながら、基本的に毎日投稿するのでよろしくお願いします!
※一日中寝込まないといけないほど辛いとき以外は、病気でも投稿する所存です。