尻尾ふりふり
六十六部時のお話です。
うわー!
目に広がる絶景!
獣人の街に初めて訪れたけど、なんとも素晴らしい!
丘の上にあるこの場所は街を一望できて、なおかつ誰もこないという完璧な場所だった。
「うーん、なんか違うんだよなー」
そんなことを突然言い始めるターニャ。
「違うって、何がよ?」
私のことをじろじろとみながら、ターニャは呟く。
そして、いきなり私のお尻に手を伸ばした。
「ちょ!何するの!?」
「いや、しっぽが動かないから、ものすごく違和感があって……」
「え、あ!そういうこと……先に言ってよもう!勘違いしちゃったじゃない!」
「勘違い?どんな勘違い?」
「……ッ!なんでもないわよ!」
グフフと下品な笑い方をしているターニャにムカつきつつも、話を聞く。
「獣人たるもの、感情はしっぽで読み取れるんだよね。だから、それが動いていないと、嬉しそうにしているのに、尻尾は悲しんでいるっていうか……表情と矛盾して気持ち悪いんだ」
「うぐ……そんな嬉しそうな表情してた?」
「そりゃあもう幸せそうだったよね」
曰く、これは魔道具らしいので、尻尾を魔力で動かせるそうだ。
「というわけで!こっちにお尻を向けたまえ!」
「どうしてそうなるの!?」
「ふっふっふ、動いてるかどうか確認してあげるだけだよ……何もやましいことはないさ!」
「この変態!」
「なんとでも言うがいいさ!」
そうして尻尾を動かす練習が始まったとさ……。