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ベアトリス、遠征に行く

すみません、予定があって遅れそうだったので、誤字確認ができませんでした。

もし、あったら報告してくれたら幸いです……。

 そんなわけで……、


「よろしくー!」


「久しぶりだね!」


「なんで、ベアトリス!……様がいるのよ!」


「お久しぶりです、ベアトリス様」


「嬢ちゃんじゃねーか!久しいな!」


 ヤバイ、この勇者一行……まともな人が一人しかいない。


 現在私は、公爵領入り口付近……つまり、検問所の近くまでやってきていた。

 そこに待機していた勇者一行と会話をする。


 どこぞの魔術師は敬語にすらなってない。

『ベアトリス!……様』って、結局呼び捨てにしちゃってるんだよね。


 レジーさんはめちゃかっこいいので、オッケーっす!


 トーヤこと勇者に親しげに話されるのは遺憾だが、今更なこと。


「というわけで、私、同行しますね」


「それはいいんだけど、その格好はどうしたの?」


「何って……変装だよ?」


 変装こと……男の子化である!

 私気付いたんだよね。


 どうすれば一番バレないような変装ができるか。

 結果、導き出されたのは性転換することである。


 故に私は男子となったのだ!


 いや、本当に男になったわけではなく、もちろん、ただの変装なため、全て人力である。


 と言っても、子供のガキっぽく声を下げてみて、それに加えベレー帽っぽいのを被って、長ズボンを履いている。


 何しろ今は冬なのだ。

 私が八歳の誕生日を終えてから、約半年……時間が経つのは早いんだな。


 そう感じながら、着たものだ。

 女子たるもの、冬でもスカートを履くものだが、今回は男子となることでなんとかそれを回避することができた。


 これだけは感謝の一言だ。


「ベアトリス……様が男子の格好をするなんて……。そういう趣味ですか?」


「違うわ!色々と事情があるんだよこっちにもさ。ってわけで、トーヤこと勇者よ!」


「え?俺?」


「男になりきるにはどうしたら良いのだ?」


「そ、そんなこと聞かれたってわかんないんだけど?」


 いや、わかれよ。


 私の大変さを誰もわかっていない。

 勇者一行だけが、噂の調査に乗り出すわけじゃないのだぞ?


 あたりを見渡せば調査隊が勢ぞろいしていた。

 みんなどこからか集められた冒険者だ。


 いざとなったときの勇者の盾という意味なのだろうな。

 かわいそうに……。


「いいから、馬車で教えてくれよな!」


「その声のトーンで、その口調だったら、誰も気づかないと思うんだけどなぁ」


 苦笑いしながら答える勇者。


 全く、これから誰にもばれずに行動する必要があるというのに……。

 不安である。


 というか、勇者たちにはバレてよかったよね?

 だって、こうした方が会話しやすいし……。


 そもそも、私だってバレないように行こうと思ったんだよ?

 でも、トーヤにさ、『あ、ベアトリスじゃん!』って言われたんだよ?


 いや、なんで気付けんだよ!


 っていうツッコミはいいとして、ひどくない?


 あの声が周囲の人に聞こえてたら終わりだったんだけど?


「でもベアトリスがそういう声なのは新鮮味があっていいね」


「どういう意味だ?」


「だって、女子が男子の真似するって……しかも子供がさ!」


「笑うなばか!」


「しょうがないじゃん!ショタっぽい格好してて面白いんだもん……」


「ショタって何?」


 ここにきて、わからん単語が出てきた。

 そういえば、こいつ異世界人だったということを思い出し、納得する。


「あ、いや……なんでもない……。あ!それより、足元にいるオレンジ色の……」


「ああ、ユーリのこと?」


「キュン!」


呼ばれたと思ったのか、肩まで登ってくるユーリ。


「その子はペットなの?」


「うん、そうだけど?」


「一応遠征になるんだから、ペットは置いてった方がいいと思うんだけど……」


「いいの!私た……俺たち一心同体だから!」


「一心同体って……ふふ」


 こいつはとことん馬鹿にしてくるな……。


「もう!いいから早く馬車に乗れよ!あほトーヤ!」


 そんなわけで、勇者一行プラス私は同じ馬車に乗り込むのだった。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎



「だから、なんでベアトリス様は私より頭がいいのよ!?」


「ふっふっふ、実力だよ!じ・つ・りょ・く!」


「むがぁ!ムカつく!」


「こらこら二人ともやめろよ!」


 睨み合っている私とミレーヌ。

 それを宥めるトーヤ(←馬鹿野郎)。


 そして、苦笑いをするグルトス。

 暇そうにしているレジーさんの構図が完全に出来上がってきた。


 今現在話していたのは魔法に関しての知識量だった。


「なんで、私よりも若いのに、そんなに覚えてんのよ!」


 当たり前である。

 私の精神はミレーヌよりも年老いているのだから。


 ミレーヌは多分成人してすぐくらいだろう?

 十代なのは間違いない。


 私ときたら、精神年齢を考えれば、二十代だ。

 貴族では行き遅れ、貴族でなくてももうすぐおばさん扱いされるような精神年齢である。


 前世を含め、それだけ生きてずっと勉強していたのだ。

 流石に、こんな若者に負けるような知識量はしていない。


 故に実力である!


「魔法も私よりも強いのに……認めたくないけど」


「そりゃあ、毎日鍛錬は欠かしてないからな!」


「私だって、してるし!なんなら魔力性質も強いんだから!」


 久しく聞いた魔力性質という単語。


 性質というのは、簡単にいうと、その魔力がどんなことに特化しているか表す……いわゆる適正である。


 父様は“統制“というもので、何かをまとめあげること……つまり、操作を得意としているのだ。


 操作というか、精神系の魔法だと思われる。

 者の感情をそれとなく誘導して、指揮するような?


 言わば、父様にはうってつけの能力ってわけ。

 公爵家として軍をまとめ上げるときなんかあったら、かなり活躍できるだろうね。


 私は自分の性質を知らない。

 なんでかっていうと、成人してない子供は魔力が微弱で、精神が揺らぐことが多い。


 そのため、魔力の性質がはっきり分かるのは成人してからなのだが、私の場合、前世は魔力を使わずに生きてきた。


 使ってもいないような物の性質を読み解くことができるはずもなく……ね?


「ちなみにミレーヌさんはどんな性質なんだ?」


「私?私は“増大“よ!」


「どういう能力なんだよ」


「魔力を一定値まで増やすことができるのよ!その量はなんと三倍!」


 それは……すごいのか?


 魔力の絶対量の約三倍ということを考えるとすごいことなんだろうな……。


 自慢している割にはちょっと理解に苦しんだため、苦笑いでごまかすのだった。

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