表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/171

油断と逃走

 ロペスにせめて身体強化位は使えとキュウキュウに絞ってから移動を開始する。


 そういえばスライムには気づかなかったがいたのだろうか。


 一気に駆け抜けて7Fを目指す。


 イリュージョンボディだと魔力の残滓を感じるのか


 人食い植物(マンイーター)は胡麻化しづらいようだ。


 魔力探知ができる魔物に対しての対策が必要だ、と頭の奥にメモをした。


 6Fで3時間くらい使ってしまったがまだ使える時間はたっぷりある。


 焦らずに7Fへの階段で休憩をとる。




 7F

 目的の7Fに到着した。


 ここでは洞窟の巨人(トロール)人食い植物(マンイーター)石人形(ゴーレム)が出現するらしい。


 今回の目的は洞窟の巨人(トロール)の魔石だ。


 大きく丈夫な体で剛腕を振るい、狂暴で、肉食で、


 食欲旺盛で治癒能力が高い魔物は動きが鈍いため普通は逃げ回って


 次のフロアを目指すらしい。


 石人形(ゴーレム)も同じく逃げ回って次に行くのが普通で、


 逃走経路上の人食い植物(マンイーター)に気づかず


 捕食されることが多いので、注意、と書いてあった。




 ハードスキン、シャープエッジ、イリュージョンボディをかけ直し、


 いつも通りに(イ・ヘロ)を前方に出す。


 T字路の先から重量がある生き物が歩く音が聞こえ、


 ロペスが壁に寄り手をあげる。


 イレーネと一緒にロペスの後ろに付き1列になる。


 T字路の中央に浮かぶ(イ・ヘロ)の前に立ち、こちらに気が付かない洞窟の巨人(トロール)


 (イ・ヘロ)をつかもうとしたり叩いてみたりしていた。


 意外と好奇心が強いのかもしれない。まあ、それはそれとして。


 ロペスとイレーネが音を立てない様後ろに回り込み、


 私は来た道を少し戻って待機する。




 身体強化をかけたロペスが首を狙って剣を横に薙ぐ。


 身体強化が弱かったか、剣の重さが足りなかったか、剣は首の半分ほどの所で


 鈍い音を立てて止まってしまった。


 慌てて剣を引き、飛びのいた。


 首からだくだくと血を流しながら奇襲してきた相手を探し後ろを振り向く。


 攻撃によって触れて認識されてしまっているからか、


 洞窟の巨人(トロール)はロペスを見つけ怒りの声を上げた。


 手で傷口をおさえている間に流れ出る血の量が減っていくことに


 ロペスは気づき、


「一度にとどめに刺さないとすぐに治癒してしまうぞ!」と叫び声が聞こえた。


 小声で魔法を行使する。


 (エロヒム)悪魔エサイムよ我が声を聴け 炎の矢(フェゴ・エクハ)


 見つかりたくないと思いながら行使された炎の矢(フェゴ・エクハ)


 闇を燃やした様な闇色の炎でできた矢だった。


 魔力を無駄遣いしない様に1本だけ出現させ、一撃必殺を狙う。


「こちらは風の刃(ヴェン・エスーダ)を使う、属性を合わせてくれ!」と


 ロペスから指示がきた。


 どうせもう見つかっているから気にしない、ということなのだろう。ありがたい。




 少し向こうで洞窟の巨人(トロール)が腕を振り回すのが見える。


 ロペスが対応しているのだろう、恐らく。


 イレーネの風の刃(ヴェン・エスーダ)の声が聞こえ、少し深い程度の傷が全身に刻まれ、


 それもすぐにふさがってしまう。




 怒りに我を忘れた洞窟の巨人(トロール)は壁に手がぶつかるのも気にせず


 ロペスを叩き潰さんと拳を振り回した。


 身体強化とハードスキンがかかっている状態で盾をつかっていなしているが、


 そう長くは持たなそうな雰囲気がする。


 頭を狙って炎の矢(フェゴ・エクハ)を打ち出した。


 闇に紛れて洞窟の巨人(トロール)の頭に放たれた闇色の炎の矢(フェゴ・エクハ)


 ごう、と燃え上がり、頭を闇色の炎に巻かれたまま暴れまわった。


 しばらくゴロゴロと転がって段々と動かなくなっていった。




 流石にもう治癒はないだろうと近づいて死亡確認を行う。


 同時にロペスとイレーネも寄ってきたのでハイタッチした。


 いまいちハイタッチにピンと来ていない顔していた。


「もう少しで叩き潰されるところだった。


 助かった、礼を言う。」とロペスが言った。


「ねえ、カオル。あの黒い炎の矢(フェゴ・エクハ)はなに?」と


 イレーネが聞いてきたので正直に


「見つかりたくないなぁと思って魔法補助魔法かけて


 炎の矢(フェゴ・エクハ)を出したらああなったのさ」と答えた。


「1本だけなら負荷も高くないし使いやすいよ」と付け加える。


 それならば、とイレーネは


(エロヒム)悪魔エサイムよ我が声を聴け! 炎の矢(フェゴ・エクハ)!」と力ある言葉を行使し、


 黒い炎の矢(フェゴ・エクハ)を出現させた。


「全然軽くないじゃない!


 カオルの魔法についての話は半分で聞いておいた方がいいわ。


 これなら魔法補助魔法がなくてもできそうよ」と言って


 もう1本黒い炎の矢(フェゴ・エクハ)を出現させた。


「見た目に魔力量は関係ないか。」とロペスが感想を漏らした。


 黒いからと言って何か違いがあるかというと特にないのだが、


 イレーネのなにかにヒットしたらしく、


 以降黒い炎の矢(フェゴ・エクハ)を好んで出すようになった。


 ロペスに魔石を取り出してもらい、休憩をしつつ今後の予定を決める。


 まともに戦っていたのでは体がもたないので


 発見と同時に魔法補助魔法を使った炎の矢(フェゴ・エクハ)で頭を燃やす、


 実にシンプルで簡単だ。


 


 1つ銀貨20枚になる洞窟の巨人(トロール)の魔石を順調に回収していると、


 今まで聞いたことのない様な地響きを聞いた。


 これは出るという石人形(ゴーレム)の足音か、と話し合った。


 石人形(ゴーレム)のコアもいいお金になるので、できたら回収したい。


 金貨4枚あれば1年暮らせるという中でなんと金貨1枚になるのだ。




 音をたよりに石人形(ゴーレム)を探していると


 そんなに遠くないところで巡回しているようだった。


 迷宮への侵入者を発見すると排除するために行動を開始した。


 目にあたるパーツがないのっぺりとした頭部でこちらを確認し、


 ゆっくりと歩き出し、ロペスに向かって石でできた拳を叩きつけた。


 ロペスは横にそれて紙一重で避けると地面を叩いた腕に剣を振り下ろしたが、


 石人形(ゴーレム)の腕には傷一つつかない。


 そのまま石人形(ゴーレム)は叩きつけた拳を横薙ぎに振り回した。


 下から振り上げられた拳はロペスの腹を捕らえ、


 そのまま弾き飛ばしてロペスを壁に叩きつけた。


 盾で拳の直撃は防いだが、壁に向かって背中から叩きつけられたロペスは


 そのまま意識を失って地面に転がった。


 これはまずい、と救出に行きたいがすぐ前に石人形(ゴーレム)がいるため、近づけない。


 意識を失ったものは排除済みとして認識されるのか


 無視してこちらに向かってきた。




 魔法を放ちながら下がる。


 炎の矢(フェゴ・エクハ)は表面を焦がしただけで、


 氷塊(ヒェロマーサ)氷の矢(ヒェロ・エクハ)土の弾丸(ティラ・ヴァラ)は砕け散った。


 風の刃(ヴェン・エスーダ)は表面がちょっと削れた。


 金属棒で伸ばされた手に向かって叩きつけてみるが、手がしびれただけだった。


「イレーネ(アグーラ)を通路に撒いてもらえる?」


 と言ってイレーネに(アグーラ)を使ってもらい、凍える風(グリエール・カエンテ)で凍らせる。


 つるつるになった通路で歩きづらそうにはしているが大きな足は安定していて


 転んだりはしないようだ。


 いったん下がって二人で石人形(ゴーレム)に向かって走り始める。


 石人形(ゴーレム)の両脇を抜ける瞬間、腰を軸に回転してラリアットをした。


 慌てて二人でスライディングをして滑りぬける。


 拳が髪の毛をかすってチッと音を立てた。


 冷汗を書きながら二人で気絶したロペスを担いで逃げ出した。



気に入って頂けたら評価、ブックマークしてくれるとありがたいです。

これからもよろしくおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ