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イレーネと手加減

 大まかに歴史がわかったところでひたすら暗記することになる。


 座学で丸暗記より外で実際に使ってみながら覚えた方がいい気がするが。


 この時間で黒板にチョークの様な白い石の欠片で

 マーリンが作ったといわれる魔法を成立年と合わせて書き込まれていった。


 まさか覚えるのか、と思うが学者じゃないのだからその必要はないはずだ。


 学生時代は歴史苦手だったなぁと思い、はるか遠くの場所と時に思いを馳せた。


 なんだかんだで今でもただ暗記しろと言われるのが苦手なのは

 まったくもって変わっていないのか、と苦笑いした。


 授業は置いておいて魔法を覚えることも大事だが

 魔力量を増やすことはできないのか。


 効率がいいはずの魔法を使っても簡単に魔力切れを起こしてしまう我が班の連中が

 今のままでは魔法を覚えて模擬戦闘なり実戦投入された所で

 すぐに息切れして役立たずになるか神の元へ召されてしまうだろう。


 そんな感じで考え事をしていたら講義が終わってしまった。


 そのあとイレーネとエリーと昼食を取った。


 毎度毎度似たような話しをしてて飽きないのかなと思うがいうまい。


 若干ぱさついたパンとチキンの香草焼きにじゃがいものポタージュ、

 そして謎の豆の煮物を食べ午後は練兵場で模擬戦闘になる。


 元々肉体派ではないのだから近接戦闘しない様に立ち回りたいのだが、

 訓練ではそうもいかないだろう。


 練兵場で戦闘服を着て居並ぶ我々の前に立つヴィク教官が

 いつものようにバカでかい声を上げる。


「基礎の第1段階が終わったと聞いた。ひとまずはよくやったと言っておこう。」


「そこで2段階目の身体強化魔法を教える。

 今日はこれを使用して模擬戦闘を行う。」


「一つは風の守り(ヴェン・コルナ)、魔法や矢をかわすために使う」


「消費が激しいが魔法の直撃に耐える魔法障壁(マァヒ・ヴァル)


「では最初にペドロ・バレステロス!ロペス・ガルシア!」


 呼ばれた二人ははじめの合図とともに剣を交わす。


 ペドロが大振りの両手剣を水平に構え飛び出しロペスの胸元を狙っているようだ。


 ロペスは盾で受けるが勢いを殺しきれずに後ろに飛んで距離を開けた。


 ロペスは炎の矢(フェゴ・エクハ)を飛ばし盾をかざしたまま飛び込んだ。


 ペドロは風の守り(ヴェン・コルナ)炎の矢(フェゴ・エクハ)を逸らし

 ロペスの盾を正面から両断する勢いで剣を叩きつける。


 両手の全力を片手で受けたロペスはぐらついて反撃には至らない様だった。


 それでもペドロの両手剣を盾で弾き剣を水平に薙いだ。


 剣を弾かれたペドロは弾かれた剣を無理やり戻しロペスの剣を受ける。


 身体強化がある分手数が多いほうが有利なのかな、と思うが

 同じ速度で振れるなら両手剣の方が重くて受け辛いのかもしれない。


 その後も一進一退の攻防を続け手数に押されて

 魔法防御をしまくったペドロが負けていた。


「そこまで!」教官の止めに応じて模擬戦闘が終わった。


「今は負けるが魔法を使っていれば魔力量が増え押されなくなる、精進すること」


 と、ペドロに声をかけた。


 ペドロはうなづくと見学の列に戻っていった。


 次はフリオとルディが前に出た。


 自信なさげにオドオドしたフリオの戦いは防戦一方で

 フリオの素振りの練習くらいにしかなっていないように見えるが、

 よく見れば全部受けきっているので意外とすばらしいと言えるのではないか。


 とはいえそれだけでフリオが力尽きて終わった。


 自信をもて攻めろと見た通りのアドバイスを受けてフリオが見学に戻る。


「次!イレーネ!カオル!」

 イレーネとやるのはやりづらいな。


 イレーネと正対して立ち剣を構える。


 イレーネも私と同じく荒事の経験がないはず、であれば

 育成計画は魔法特化の方が私とイレーネに向いているに違いない。


「はじめ!」


 合図と同時に細く高熱を持つ炎の矢(フェゴ・エクハ)を20本展開する。


 イレーネはショートソードをぎゅっと握りこみ緊張を見せる。


 迎撃するか攻めないと、と思い

 イレーネの手足を狙い続けざまに炎の矢を発射する。


 イレーネは炎の矢を交わすために横に走りながら距離を詰めてくるが

 足元を狙った炎の矢を回避するために距離を開けざる負えないように発射する。


 が、単調に発射するだけでは当たらないし魔法も使ってくれないだろう。


 氷の矢(ヒェロ・エクハ)を行使し30本ほどの氷の矢を展開する。


 少し多めに持っていかれたが気にせずイレーネに向かって突進する。


 イレーネは少数の炎の矢(フェゴ・エクハ)を展開し即座に発射し、

 矢の後を追って走り出した。


風の守り(ヴェン・コルナ)!」風をまとい

 イレーネの炎の矢を背後に逸らしイレーネの足元に向かって氷の矢を放った。


 イレーネも風の守り(ヴェン・コルナ)で逸らすが

 上から下に打ち下ろした1本が足元に落ち、地面とイレーネの左足を凍らせた。


 魔法障壁(マァヒ・ヴァル)使えよ、と願い私は残り少なくなった氷の矢を

 イレーネの右手、剣を持つ手を狙って打ち出す。


 が、期待と裏腹に風の守り(ヴェン・コルナ)と剣で弾く、という選択をした。

「そこまで!」教官に止められた。


 イレーネは劣勢の時はもっと攻めていけと言われていたが

 私の場合はなんだあの体たらくは、思うことがあるなら

 頭使って誘導しろ思いあがるなと怒られてしまった。


 そして

「あーいうことができるならまだ余裕ありそうだな、

 そのままラウルとやれ」と罰ゲームを言い渡された。


 とほほ、と言いたくなる気分で、ラウルと向かい合う。


 とほほ、そう、数年ぶりに聞いた気がする。まさにとほほ。


 太っていたので完全に油断していたが、

 魔法があれば別、ということをいやというほど思い知る事になる。


 はじめの合図で身体強化をかけたラウルが一気に突っ込んでくる。


 こちらも身体強化をかけ剣を受けるが

 受けた剣があまりにも重く踏ん張りが効かず吹っ飛ばされ背中から落ちた。


「げほっいったぁ」追撃してこないのは余裕ゆえか、と思いつつ立ち上がる。


 普通に身体強化をかけたのだと太刀打ちできないなと呟き

 多めに魔力を使って強化をかける。


 それでもきっとフィジカルの差は埋まらないだろう。


 改めて剣を握りなおすとラウルと向い合った。

気に入って頂けたら評価、ブックマークしてくれるとありがたいです。

これからもよろしくおねがいします。



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