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祝勝会とお持ち帰り

 買取カウンターに戦利品を並べる。


 ナイフ4本、大振りのナイフ5本、鉈1本、金棒1本

 そして、ローパーの触手一袋合計して95枚の銅貨になった。


 重量で考えるとローパーの触手3袋持ってきた方がいいらしい。


 難易度で言うと薬草取ってきた方が楽だった。


 想定外の魔物との遭遇のリスクはあるが。


 一人当たり33枚。余った2枚はロペスが辞退した。

 思ったより実入りはよくなかった。


 時間も遅くないことだし、ということで

 食事と反省会をしようということになった。


 ロペスは色々知っているらしく

 安くていい店があるということで連れてってもらう。


 少し神殿の方へ移動してメインストリートから外れた所に

 昔の召喚者に弟子入りして暖簾分けされたという店がある。


 少しさびれた薄汚れた店に案内された。


 自分は常連なんだ、という友達に連れていかれた居酒屋に似ている。


 店主と私の友達と他の常連が談笑してとても居心地の悪い思いをした。


 よくよく考えるとあれば割り勘要員として連れていかれただけではないかと

 軽く闇の扉が開きそうになったので

 気を取り直してイレーネと共に恐る恐る入店する。


 中は思ったより広い感じで5人座れるカウンターと4人掛けテーブルが2つあった。

「親父さん、焼きそばとビール3つずつ」と勝手に注文をして

 奥のテーブルに座った。


 親父さんと呼ばれた男は返事もせず焼きそばを作り始めた。


 どうやら知っている焼きそばらしい。


 しばらくするとビールが運ばれてきた。


 ガラスではなく、木のコップだった。


「はじめてのダンジョン攻略に」とロペスがコップを掲げ

 イレーネが一緒に掲げてコップを合わせた。


 真似して合わせる。


 ぶつけるわけでないけど乾杯っぽいことをするのだな、と思った。


 こっちの世界で初めて飲むビールはしらない味だった。


 苦味がすくなく甘い匂いがする、そして炭酸がない。


 ビールと思うとまずいがこういうものだと思うとこれはこれでおいしい気がする。


 普通に頼んで出てくるあたりアルコールに年齢制限はないのだろう。


 イレーネもちびちびと飲んでいるがそんなにおいしそうには飲んでいなかった。


 しばらくして焼きそばが3つ、ソース味のよくみるやつが出された。


 レシピを残してくれた先人に感謝しつつお腹を満たした。


 食べて、酔って楽しくなってきた所でロペスが席を立った。


「おれはこの後行きたいところがあるからあとは二人で楽しんでくれ」と言って

 多めにお金を置いていった。

 10代にしてイケメンすぎる。


「どこいくんだろうね」となんとなくイレーネにいうとイレーネは真っ赤な顔で

「どうせ色町よ」と吐き捨てた。


「家が裕福なわけでもないってわかってるのにどうして行って

 家族とトラブルを起こしたがるのかしらね!」

 だれかに対して憤っていた。


「その癖お母様は女の幸せは結婚して家庭に入って

 こどもを生むことだなんて信じてるし今が幸せじゃないじゃない」

 イレーネがだめな感じになってきた。


「あたしは自立したいの。一人の力で立って自分の生きた証がほしいの。」


 今度は泣き上戸になった。


 私はとりあえず相槌を打つしかできなかった。


「お兄様達は剣も魔法も先生を付けてもらえたのにあたしはだめだっていうのよ!」


「それはひどいね」


「でしょう!だから今学校に行けてるのは最後のチャンスでさ、

 花嫁修業ばかりで荒事なんてしたことなかったから援助なしで放り込めば

 挫折して諦めるだろうってことで許可してくれたの。」


「諦めて帰れば格上の貴族との縁談をまとめて

 あとはずっと籠の鳥になるんだろうね。」


 と、ぽつりとつぶやいた。


 イレーネの気持ちも命も軽視しすぎではなかろうか。


 まともに戦えないまま失意のまま実家に帰るだろうということなのだろう。


 しかし、そこそこ戦えるようになってしまったら

 きっと長くは生きていられないだろう。


 イレーネの両親は政略結婚ができればどんな子供でもいいのだろうか。


 この世界にきてただのクラスメイトだけれども、


 気さくに話してくれて一緒に仕事をしたりしてどれだけ救われたかと思うと、

 勝手に感じている恩だが報いたい。


「許せないな!明日からがんばろう!イレーネが一人で戦えるように協力するよ!」


 というとイレーネはありがとうと大好きをくりかえして泣きながら寝てしまった。


 寝たイレーネを放っておいてちびちびとなんだかよくわからないビールを飲み

 この体は元の体よりアルコール強いかもしれない。


 しばらく一人で飲んでからイレーネを起こして連れて帰る。


 スカートなのでおんぶするわけにはいかない。


 眠いともう動けないを繰り返すイレーネに肩を貸して街を歩く。


 割と遅くなったようで人通りもまばらで新月の様で通りは真っ暗だった。


 頭上の少し高いところで光よ(イ・ヘロ)を使い周りを照らして歩く。


 学生寮についてからは人目がなくなったので身体強化してイレーネをおんぶする。


 きっと後ろは悲惨なことになっているが短時間なら大丈夫だろう。


 3階まで駆け上がりイレーネに部屋番号を聞くが

 イレーネは寝入ってしまって起きてくれない。


 しょうがないので自室に連れて行き、ベッドに放り投げる。


 シャワーを浴びてさっと乾かして寝る準備をする。


 いい加減この体にも慣れてきてしまった。


 昔の妄想した女になったらきっとエロエロで楽しいんだろうと思ったのに

 そんなことなかった。


 なんだか忌避感があり触れがたく

 自分の体と関わりたくない気持ちで現実から逃げ回ることしかできない。


 この違和感は慣れることないだろうから早く自分の体を探したい。

 しかしこの世界を一人で歩き回るにはまだ弱いのだ。


 転がしたイレーネを端によせ一緒にベッドに入って眠った。

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これからもよろしくおねがいします。

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