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こども

「なに!?お兄ちゃん!?」


藤恋の呼びかけも無視して私はタクシーに乗った。

携帯の画面に住所を出し、入れてもらう。


「どうしたの?そんなに嫌だった?」


「…一生、行かない。」


「…ごめんなさい。」


藤恋が震える声で私に言った。


「お兄ちゃんに友達いたり、恋人いたりしたらもっと笑顔が見れると思ったから良かれと思ってやったの。もっと人の事を深く知って好きになってもらいたかったの。ごめんなさい。」


「…藤恋は悪くない。」


私が悪いのだから。

自分で人の顔色を見て、手に取るようにわかる感情を鵜呑みにして勝手に1人傷ついてるだけなんだ。

…だけ、なんだ。


2人で家に帰り、風呂に入りすぐに寝ようとするが自分の不甲斐なさに心が苦しくて眠れなかった。


私は藤恋が貸してくれて漫画を読むことにした。


みんな、人の感情が分からないからこんなにも悩んでいる。

けど、私はわかる事自体に悩んでしまってる。

分からない方がまだ幸せな事もあるのに、全てを分かろうとしていく人たち。

その工程を楽しむ読者…のはずなのに、私は中々感情移入が出来ない。

こんな感覚になった事がなかったから。

それがみんなと違う自分の嫌な所。


昔の嫌な思い出がチラチラと蘇り始めたので、私は本格的に眠る事にした。

こんな時起きてたってしょうがないから。


私は音楽をかけて、眠りに入った。



朝、アラームが鳴って起きる。


朝ご飯のいい匂いが家中に広がる。


私は腫れてカサカサになったまぶたにクリームを塗って潤す。

こんな事何回やってきたんだろう。

私はまだ子供のままなんだろうな。


朝ごはんを食べに茶の間に移動する。


すると途中で藤恋に会う。


「おはよう。」


「…はよ。」


いつも元気な藤恋に笑顔がない。


「藤恋は悪くない。兄ちゃんが全部悪いから、自分を責めるな。」


「…今日遊ぼ。」


「え…?」


「お兄ちゃんと遊びたいの。ピクニック行こ。」


「え…うん、わかった。」


「ありがと。」


藤恋が微笑む。


心の引っ掛かりが取れたらしく、気が楽になったらしい。

藤恋はなにも悩まなくていいんだ。


父と3人で朝ごはんを食べて、外に出る支度をする。

藤恋が父もピクニックに誘ったが仕事が入ったらしく行けないらしい


「お兄ちゃん。なに食べる?」


「さっき食べたばっかりだから、別に。」


「んー…、じゃあおやつ買ってこ!」


藤恋は普段通りの藤恋になった。

私の分まで…とは言わないけれど、いつまでも楽しそうにしている藤恋でいてほしい。


私たちは近所の大きい公園に向かう途中、近くにあったケーキ屋さんに入りそれぞれのケーキを購入してから公園に向かった。


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