気になる本
[チュン、チュチュン…]
チュチュチュン…?
ガバッと体を起こす。
妹に借りた本を数ページ読んでいただけで寝てしまったらしい。
いつも漫画ばかり読んでいたから、
字だけの文章だけだと眠くなってしまう。
最悪だ…。
とりあえず、頭をすっきりさせるためにシャワーに入り朝ごはんを食べることにした。
「あ、お兄ちゃん。本読めた?」
「いや全く。寝ちゃったよ。」
「わはは!やっぱりねー、お兄ちゃんは漫画派だもんね!」
妹に馬鹿にされながらご飯を食べる。
いつもの焼き魚定食。
「少女漫画でも読めばいいじゃん。」
「え?」
「少女漫画の中でも働いている女性目線のものを読んで見たら?少し女心のツボでもわかるんじゃない?」
「なるほどな。ありがとう。」
その発想はなかった。
朝ごはんを食べ終えて、本屋に向かう。
久しぶりに外の空気を吸った。
しかも、朝の空気。
爽やかな空気が肺に入ってくる。
意外と朝起きるのも気持ちいもんだな。
自宅から近い、大手の本屋に到着して本を選ぶ。
あー…?
何がいいかな。
『初めて恋をした日に読む話』?
恋はまだしていないけど、大人っぽい女性が描かれているからオフィスラブ的な話だろう。
漫画を全巻手に取り、カゴにいれる。
あとは身だしなみの類の大人っぽい雑誌と、
強気なタイトルの本、俺がモテる理由だって。
なんでそんなに自信があるのかは甚だ疑問だかその自信について知りたくなってしまった。
本を買うとだいぶ長いこといたこと太陽の位置で感じる。
もう昼か。
家に帰ってすぐさま買って来た雑誌から手をつける。
こういうシックなものが女性には受けるのか。
私は家からあまり出ない生活をして来て10年くらい経つ。
いつもジャージかパーカーでまともに髪の毛をいじったこともない。
数年前に妹に無理やり連れていかれた青山にある美容院で髪の毛をセットしてもらったがペトペトしていてなんだから気に食わなかった。
けれど、気にくわないより女性に好かれないと結婚相手は見つからないからな…。
通販で雑誌を見ながら必要なものをポチポチ買っていく。
これまで自分が興味あるものにしかお金を使ってこなかったからある程度は貯金はあった。
でも服って正解が分からないから永遠に買ってしまうよなぁとぼやぼやと考えつつ清算を済ませて、
次は漫画を読むことにした。