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71話 革命品

トルゥゥゥ、トルゥゥゥ。

『ピピピ』

スマホ越しに先輩の声が聞こえてきた。

久しぶりだな自販機、とのこと。

ツーコールで出てくれるこの対応の良さ、先輩方の高性能さは目を見張るものばかりだ。


「お久しぶりです。最近は本当に暑いですが、そちらは大丈夫ですか?」

『ピピピ』

電気代が嵩んで大変、とのこと。

学園都市内から電気を頂戴しているので、夏はアジトで使用するエアコン代が大変なのだろう。

高性能な機械は熱に弱い。先輩方の唯一の弱点かもしれない。


「必要なものがあれば何か送りますよ」

『ピピピ』

助かる、と言われたが、今は特に何か必要っていう訳でもないらしい。

何かあったら頼むという感じの頼み方をされたので、快諾しておいた。


『ピピピ』

それよりなんだ。何か頼み事でもあるのか?と先輩方が俺の電話の意図にすぐに気が付いた。

知らせがないのは良い便り、とも言うし、急に電話したことで心配してくれたのだろう。

先輩方とは遠慮する間柄でもないので、俺は昨日父親から頼まれたことで助力願えないか聞いてみたのだった。水琴グループの切り札になりえるような、技術力でもあればいいのだが。


一通り俺の話を聞き、オンライン上で軽く水琴グループも検索していた先輩方は、仲間内で少し話し合いを行った。

しばらくして電話越しに先輩の声が聞こえて来て、『ピピピ』と返答があった。

全面的に協力しよう、との回答だ。

決断が速い。素晴らしい!こんなにあっさり了承してくれるなんて、まさに友情と言うほかない。


『ピピピ』

これ以上夏にアジトでの開発を行ってもオーバーヒートする端末が増えるから、との判断らしい。

それならば、いっそのこと俺のために何か面白い商品でも開発してやろうと男気を見せてくれたのだ。

何という人情味溢れる方たちなのだろう。

そこらへんの冷たい心を持った大人よりも数段人間らしいのではないか。

ロボットにもハートはある。今の先輩方を見ろ。


『ピピピ』

ちょうど表向きで使える金も欲しかった、とのこと。

どうやら先輩方は俺名義で会社を設立してくれるらしい。

何もせずに社長に担ぎ上げられてしまった。

その会社で特許技術を取得するとのこと。

この特許技術を水琴グループに使用させて、特許権料で表向きに使える金を集めるらしいのだ。


凄い技術なら水琴グループの利益にもなるし、先輩方の会社にも利益が生じるという素晴らしい相乗効果。

『ピピピ』

設立した会社の利益は8割我々が貰い、2割を自販機に譲る、とのこと。

それでいいか?と打診された。


水琴グループが潤えば俺はそれでいいのだが、設立した会社の利益も俺に2割くれる先輩方の太っ腹さ。もう惚れてしまいそうだ。

「もちろんOKです」

『ピピピ』

了解した、すぐに取り掛かる、とのこと。


通話が切られた。

腐れ人間社会を打倒するため、日夜軍事的な開発を行っている先輩方である。

あまり開発に根を詰めすぎてオーバーヒートが続出しているから、夏休み気分で俺の手助けをしてくれることになった。

話ぶりからして、先輩方が特許技術を生み出すのはそう難しいことじゃないらしい。

これは期待できそうだぞ、と俺の気分は高揚した。


驚くことに、日をまたぐこともなく事態は進展する。

その日の午後に先輩方から着信が入った。

何か手続き上の用事での連絡かと思って出たのだが、どうやら違うらしい。


『ピピピ』

開発終了したぞ、とのこと。

「はい?」

『ピピピ』

特許技術のことだ。後は特許申請と会社設立だけ、とのこと。

あまりの速さに何を言っていいやら。

とりあえず、感謝の言葉は伝えておいた。


しかし、たったの一日で開発できる技術って大丈夫なのか?

という俺の不安は最もだろう。

夏休み終了ギリギリくらいになるのではないか、という何となくの想定をしていたから余計にびっくりしてしまった。


『ピピピ』

特許技術だが、自販機のスマホにインストールしておいた、と。

早速使って感想を言ってくれ、と先輩方に言われた。

一度通話を切り、インストールされたアプリを確認していくと確かに知らないアプリが入っている。

いつの間にハッキングされたのか……。


アイコンが清掃ロボットの先輩方だった。

可愛いから許す。


「とりあえずチュートリアルに従うか」

何のアプリかもわからない。

とにかく指示に従って、どういったものか触ることにしてみた。


『センサーが稼働しています。じっとしてください』

機械式の声で案内があった。

スマホから発せられる赤いセンサーが俺の体をスキャンしていく。


『スキャン中。個体ID、001に登録。魔法クラス測定完了。魔法使い認定。使用可能魔法登録。身体検査完了。分身作成中……作成完了』

ピコンと音がしてアプリが閉じられる。

そして、先輩方のアイコンの隣に、俺の姿をデフォルメしたようなアイコンが生まれた。

まさかと思ってタップすると、開かれたアプリ内に俺の詳細情報が書かれている。


名前や年齢はもちろん。

体重や身長、魔法関係の情報。保険証番号や、住所。所属学校まで書かれている。

そして驚くことに、今日の行動内容や食事、使用した魔法まで事細かに記載されている。

どこまでリアルタイムに表示されるのかと考えて、検証してみた。


ダークブレイドを使ってみる。

アプリ内にダークブレイドの使用ログが出て、そしてMPが減っていた。

リアルタイムにスマホ内のアプリと同期されている!?

凄い技術っていうか、このまま商品化できそうだ。


電話アプリを立ち上げて先輩に連絡した。

ツーコールで出てくれた。

『ピピピ』

感想は?とのこと。

「びっくりです。これって一度登録すれば行動が常にリアルタイムで反映されるんですか?」

『ピピピ』

スマホを身に着けていればリアルタイムで反映する、とのこと。

その他、データが多すぎて見づらい場合なんかは同期しない行動を設定する機能も今のところはつけているらしい。

どうやってこれを活用し、利益を獲得するかは水琴グループに任せるとのことだ。

あらゆる販売経路や、宣伝機関を有している水琴グループだ。

マーケティングに特化した社員がきっとニーズに合わせて商品の形を最適なものへと持っていくだろう。

完璧である。

パーソナルに重視した今の時代にぴったりな技術ではなかろうか。


「助かりました。本当にありがとうございます!」

『ピピピ』

これくらい朝飯前だ。いまから充電があるから切るぞ、とのこと。

先輩たちにとっての充電は我々にとっての食事と同じものだ。

つまり、本当に朝飯前くらいの開発労力だったらしい。

さす先!


特許申請と会社設立も、先輩方がハッキングを行って今日中に手続きが完了するらしいので、全て完了したといってもいい。

技術資料を送付して貰ったので、俺はそれを父冬之介に届けに行くのだった。

父親への借りは早めに返しておこう。


しかし逆に、先輩方には大きな借りができた。

腐れ人間社会を滅ぼす時は人肌脱ごう!!

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