表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編の本棚

作者: 九藤 朋

少女を殺してくれる人はいませんでした

みんなせわしない足取りで、過ぎて行きます

することはたくさんあって人のことになど構っていられない

殺人という高いリスクを冒すなんてまっぴらです

少女はふらつく足取りで、寒い中を彷徨いながら自分を殺してくれる人を探し続けました

降る雪にも少女は見向きもしません

美しいものへの感動が、少女の内から喪われていました

空は重く灰色の雲が垂れ込めています

誰か

私を殺してくれませんか

お願いですから

少女を空から見ていた天使は大層、慈悲深く、少女の懇願に胸を痛めました

それなら私が殺してあげよう

そうして堕天するとしても

空から舞い降りた天使は、少女に優しく死を触れさせました

少女は天使の姿を見て、本当に久し振りに笑いました

死の幸福に酔いました

ありがとう

そう言って、少女の息は絶えました

天使が堕天したかどうかは解りません

死んでしまったらもう、先のことは誰にも知ることができないのです


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ