異種族の家
学校の宿題がブラックすぎて絶望してます。
「悪かった、丸腰の君に剣を向けてしまったことを詫びる。お詫びに何かさせてくれないか?」
「帰らせて。俺は迷子なの」
なんとか説得できた。細い手足に細い体。肌は透き通るような薄い青で髪と目は薄紫。でもキリッとした顔つきは地味じゃない。
「すまない。ここは外界とは遮断されたような場所。君がどのようにしてここにこれたのかも不思議なのだ。君を案内することはできない」
「じゃあせめて食べ物をくれ。腹ペコなんだ」
「お安い御用」
「ここが僕らの家。たくさんの仲間が住んでるけど今はほとんど出払ってる」
「でけぇ、宿よりでけぇ」
「今帰ったよ」
「ベロニカ、その人は?どうやってここに来たの?」
「よくわからないらしい。そういえば君の名前を聞くのを忘れていたね」
「キュウリ」
「名前の割にはパッとしない服だわねぇ、でも顔だちとかは可愛いわ」
「キダチベゴニア、一言多いぞ」
「あのー、俺腹ペコなんですが…」
「ああ、今ご飯作るわ、見たところ私たちと同じ種族じゃないみたいだからお口に合うかわからないけどね」
キダチベゴニアというらしい人は髪と目がピンク色だったが肌の色は透き通るような青だ。
「お前の名前、ベロニカであってる?」
「すまない、名乗り忘れていたよ、僕はベロニカ」
「俺がいうのも何だが、お前の性別はどっちだ?」
「せいべつ?何だそれ?」
「聞いたことある」
「キボウシ、お前いたのか」
「ずっといた」
俺も気づかなかった。ベロニカとかキダチベゴニアとかと比べると小柄だ。肌の色も白のようで髪も目も消え入りそうな紫。声も小さい。
「性別というもので同じ種族なのに、あたかも違うもののように考えている種族がいる。キボウシはそう記憶してる」
「それがキュウリ達の種族なのか」
「そうなるみたいだな」
「キボウシは他にも何か聞いたことある。けど、思い出せない。許してほしい」
「あの、お前らどうしてこんな所に住んでるんだ?」
「外の世界の存在を、今君が来たことでキボウシは知った」
「僕もだよ」
「センニチコウなら何か知ってるかもしれないわ。センニチコウが帰ってきたら聞きましょう。ご飯できたわ」
「センニチコウならわかるかな、でも教えてくれるかな?あいつ色々僕らに秘密を持ってる」
「うまいっ!」
「キボウシ、この空気で食事をできる君に驚いた」
「ごっちそうさん!うまかった!」
「この驚異的な食事の速さにはびっくりだわ。でも喜んでもらえて嬉しい」
ノールとクルアは今頃何をしてるだろう。
「何を考えてるのだ?」
「何も…」