束の間の休息
久しぶりです。師走になりましたね。寒いです。
「はわぁぁ、アイアンゴーレムって強いんですねえ」
クルアの透き通る声で目覚めた。
「そうなのだよ。我が剣で一振りしたら折れてしまってな」
おいお前ら、人が寝てるベットの真横で煩くしてるんじゃねえよ。
「キュウリ、すごいじゃん!アイアンゴーレム一人で倒したなんて!!」
一人じゃないし。ってかさ、ドフは自分で剣をへし折っただろう?
「………」
俺が何をいうべきか言わまいべきかで黙っていれば、ドフが
「謙虚だな。我は見ていたぞ?」
と話を振ってくる。
「MVPは私よねえ?」
ヒノデまで乱入してきた。俺は聖徳太子じゃないわ!!奥義は聖徳太子絡みなんだがなぁ。あいにく耳は違うのさ。俺を横に何やらワイワイした後、ドフとクルアは街を歩きに行った。2人が出て行くのを見届けて、ノールが口を開いた。
「で、話してごらんよ」
んんん?!?!?
「え?何?」
「僕に何を隠してるの?」
ノールがつかつかと俺に寄ってくる。こいつ怖い。
「隠してねえから!何も」
ノールは瞬きを2回したのち、ふぅんと一言言うと部屋を出て行った。あいつがドフの事を知ったら…!!あいつは死ぬだろう。
「暇だしさ、一緒に散歩しない?」
さっき険悪ムードを放った張本人がもう一度ドアを開けて誘ってきた。何だ?さっきのはハッタリだったのか?
「あー、ついでに何か買うか?」
「おっけー。お金持ってくね〜」
こうして俺はノールと出かけることになった。
並んで歩いている途中、ノールが何かを知っている可能性を思った。よくよく考えたら、いきなり知らないところに来て、名前考えようとかその他諸々意味不明すぎる!!!こいつは一体何者なのだ?
「あ!この服かわいいなあ」
無駄に女子力が高くて、無邪気に買い物を楽しんでいるノールを俺は純粋に見れていなかった。
「どうしたの?そんな険しい顔をして」
お前のせいだよと思いながら隣の店の美味しそうな食べ物(赤い木の実)を買って食べた。その赤い色で思い出した。俺たちの目的は赤い鎧の集団。こんなのんびりしていて良いのかよ?
「おまたせ。どうこの服、似合ってる?ちょっと、どこ行くの?待ってよ!!」
俺は森の方へ走って行った。なぜだか知らないが、本能的に森の方に何かがいるような気がしたのだ。
「待ってぇぇ!」
立ち止まってノールを待った。
「はぁ、はぁ」
「遅いぞ」
「キュウリが速すぎるんだよ」
ノールと木の下に座り込んだ。今のところ、イベント性はない。
「あ、あれは」
ノールが懐からナイフを抜き出した。一体何がいるのか?ノールの目線の先を追ってみるとあいつがいた。