一騎打ち
またまたしばらく振りでございます。
ゴーレムの拳は容赦なく降り注ぐ。ゴーレムの拳を剣で振り払うドフを見ながら俺は動かないでいた。怖いのだ。あれをまともに食らえばまあ、死ぬだろう。
「どうしたキュウリ。早く加勢しろ!」
ドフが拳の隙にこちらに向かって言う。
「わかってんだけどさ、でもさ」
ドフがゴーレムに重い一撃を食らわせてその隙にこちらへ走って来た。少し遅れてゴーレムがこちらへ向かい始める。
「お前が来ないのなら、向こうから来てもらおう」
「オーガ戦でわかったでしょ?キュウリ、あなたは強いの。チート級に」
そんなこと言われても失敗すれば死だ。大丈夫大丈夫と突っ込んで行けるわけがない。
「おっとキュウリ。どうやら僕の剣はさっきの攻撃で折れたみたいだね。アイアンゴーレムは硬いからなあ。僕はもう戦えないよ」
どう考えてもドフがさっき自分で折ったとしか思えないタイミングだ。どんだけ俺を戦わせたいんだよ…。この際逃げるっていうのもアリかもしれないな。
「防御形態1。我、主の脚を守らん」
頭の中に謎の呪文が流れた。その直後、赤くて鎧のような硬さのブーツが脚を覆った。
「逃げようとしても無駄よ」
あー畜生。余計なことしやがって!ヒノデの馬鹿野郎!!!
「聖徳太子の手紙!」
少し後にゴーレムは炎に包まれた。ゴーレムは酸化して動きがかなり鈍くなった。ゴーレムにも怒りはあるようだ。
「火炎拳!!」
火炎拳を連続で発動させた。ゴーレムが崩れ始めた時、猛烈な目眩に襲われた。体力の使いすぎのようだ。
「っーー!」
立ち直る前にゴーレムの拳が飛んで来た。
「防御形態3!我、主の全てを守らん!」
一瞬にして俺の全身は鎧に覆われた。物凄い衝撃が走る。そしてその後何かにぶつかった。
「痛ってぇー」
ドフだった。
「気をつけろよー」
何てタフな奴なんだ。
「あー、疲れるわ全く」
ヒノデのため息と共に鎧が解かれる。とりあえず死は回避できたようだ。ゴーレムはまだ動いているが、こちらもふらついて歩けない。
「まあ、あのゴーレムはとりあえずは大丈夫でしょう…帰りましょう?」
「それもそうだな…キュウリ、どうしたい?」
「俺もう帰りたい」
ドフに担がれてノールとクルアの元へ帰った。一応、今回は勝ちでいいのか…?と考えているうちに俺は眠っていた。
ゴーレムにとどめを刺さないで帰った一行……