何か変
2話目です。女主人公なのに一人称は俺です。
「歩く?町とかあるかもしれないし……」
「まあ、そうするか」
ノールは何故か冷静だ。だから俺も冷静でいられる。
暑い。暫く歩いているのに、建物が何も見えないから、余計に暑く感じる。
「あぁ、もう僕、しんどい」
体力ないな。ノールよ。
「しょうがない。あの木の下で休むか。もう少し頑張れよ」
ぽつりと立つ木の下に座り込んだ。涼しいな。もう動きたくない。俺も疲れていたらしい。少し眠ってしまっていた。
「なんだ、寝てたのか……。ノール、そんな難しい顔してどうした?」
「なーんか変」
こいつは何を?そりゃ、異世界転移やら名前知らんし、変なことくらい俺だってわかる。
「キュウリはどうやら気付いてないね。僕らさ、記憶ないくせに言葉喋ったり、今だって暑いから木の影に来てる。知恵とかも残ってる。意味を覚えてる言葉と、言葉の音しか覚えてない奴と……。変だよね。キュウリって、食べ物の事だよ。思い出した。案外容易に思い出せるし、何か引っかかる」
「呪文のように唱えやがって。日本語しゃべれぇ!!!」
「喋ってるよ。日本語?!何も違和感なく会話進んだけど日本語って元の世界の言語なのかな……」
ますますわからん。爆発しそうだ。
「もう行くぞ。十分休憩した」
ノールを引っ張るようにしてあてもなく歩き始めた。
「この世界に僕ら以外の人がいなかったらどうする?今の所動物にもあってないよ」
青ざめた顔でノールが言う。動物がいなけりゃ何かダメなのか?ん?というよりさっきから、遠くに霞む黒い点が近づいて来ている。しかも凄い速さで。ノールがこちらを向いて喋ってる間に、見えるかわからないくらいの黒い点が、頭のツノまで見えるくらいになった。
「ノール、後ろ向け!動物だ!多分!」
「えっ?」
変なところで切ってすみません。実はこの後2人がどうなるか定かではありません。一応、全体的な筋道は立ててます。