オーガとの遭遇
すみません、遅くなりました。
クルアの怪我は大したことなく、翌日にはもう元気だった。その日はノールの提案で魔物狩りに行くことになった。
「間違ってもクルアにぶつけちゃあダメだよ?わかってる?」
道中、ノールが耳元で五月蝿い。なんだこいつ。蚊かよ。
「あー、魔物ですよ、聞いてます?」
クルアが狂気のノールの肩を叩いた。
「あっ、ああ、ごめん。聞いてたよ。うわぁぁぁ、魔物いるじゃん!!!」
「聞いてなかったでしょう…」
なんだこいつ。本当になんだこいつ。もう呆れたわ。
「我は見てるぞ。今回は3人の強化が目的であるからな」
ドフは離れた場所で寝転んでいる。流石になめすぎだ。
「どうやらオーガですね。このオーガ絶対強いです…」
クルアが弱々しくなった。
「うっそ、あれを僕たちで?」
「らしいな」
何メートルあるんだ?でかすぎて視界に全体が入らない。
「うーん、そうだね。僕が囮になるからその間にキュウリが後ろにまわりこむ。クルアは僕の援護を頼むよ」
「お前、囮できるのか?」
「僕が思うに、キュウリの近接戦での攻撃力はこの中で1番だ。僕なんかがまわりこんでも大したダメージは与えられない」
まあ、クルアは遠距離攻撃の方が得意だということは薄々勘付いている。それに敵は近距離攻撃しかできないだろうから遠距離にいるクルアはとりあえずは安全だ。
「ポイントバリア!」
背後で何かが激突する音が聞こえた。振り返るとオーガの拳が俺の脳天のスレスレで止まっている。話している間にオーガがすぐそこまで来ていたのだ。
「ありがとうクルア」
ノールがオーガに一直線で突っ込んだ。手にはナイフしかない。ジョブが無いのでとりあえずはナイフで戦うことにしたらしい。
オーガは大きいし力は強いが動きが鈍い。だから簡単にまわりこむことができた。
「ぎゃあああ」
破壊音とノールの悲鳴が聞こえた。土煙がオーガの背後まで流れて来た。もう少しだから耐えてくれ、ノール。助走をつけてオーガに突進する。腕を引いて少し力をいれる。オーガに俺の手が届くところで
「火炎拳!」
手が痛いぐらい力を入れて殴りつけた。瞬時に青色の炎が起こりオーガの皮膚を焼いた。倒せたと思った。
「グギャァァァァ」
オーガが徐にこちらを向く。大したダメージは食らってないようだ。一体どうすれば。
オーガ戦、回をまたぎます。気長に待っていただければ幸いです。