隣町
次の話から戦闘シーンを入れていく予定なので気長に待っていただければなと思います。
ドフは歩きながら赤い鎧の破片を覗き込んだりいじったりしていた。転んだりしないのだから器用なやつだ。だいぶ後にクルアがノールに肩を貸してゆっくり進んでいる。まあ、あんな惨状を見てしまったら普通ならノールのようになるだろう。
「お前は何をしている?」
「キュウリのためにしてるんだよ。お前は僕が殺すからね、それまでに死なれては困るんだよ」
「やだね、俺がお前を殺す」
というような物騒な会話か続いた。
「あのー!ドフ様、キュウリさん!待ってください」
クルアの透き通る声が聞こえた。ノールの咳き込む声が徐々に近づいてきた。ノールの重さに苦しむクルアの呻きも少し聞こえた。
「ノールさんの様子が戻らないのですがどこかで休憩すべきではないでしょうか?」
「うむ、そうであるな。どこか宿に泊まるか」
不道はドフワルジに戻った。本当に一瞬だ。
「でも金はどうするんだ」
「それなら我がさっき拾ったぞ」
ドフが血まみれの財布を取り出した。ノールへの追加ダメージ。容赦ない。
「その財布はやばいし誤解の元だから移し替えようぜ」
俺のノールを気遣うファインプレー(?)でお金は巾着に移し替えられた。
「隣町に着きましたね。ここはこの辺で1番大きな町らしいですよ。クロードベルクっていう名前なんです!」
クルアが辿々しい知識を自慢げに語る。夜が明けかけている。疲れた。一気に疲れた。倒れそうだ…。
「あ、なんか高級そうな宿がありますよ!」
「ほんとだなー、って高すぎる!」
大きな町となれば物価は高いのか?それかここが高級なだけなのか。
「どんどん道が細くなってきましたよ。なんか怖いです」
ノールは途中から俺が背負っていた。後ろでずっと奇声を発したり咳き込んだりしている。
「スラムに入ったようだな」
物価も安くなるのかねぇ。強盗には気を付けねぇとな。
「そこの兄ちゃん?誰の許可とってここに来てるの?ここは俺のシマ。入ったからにはしっかり金をもらわねぇとなぁ」
あー、やっぱりこう来たか。魔物に比べれば何でもないのだが、やはり人が相手では辛いものがあるようなないような。
「この辺に宿はあるか?」
「会話しろよ!ってかお前ら血生臭ぇよ。もしかして殺ったのか?」
「誰も殺してない」
不毛な言い争いの後、何があったのか不良達が宿を教えてくれた。
「ドフ様の貫禄、流石です!」
「いやいや、いい人達であったんだよ。実際は」
俺はドフが何か脅したりしたんだと思う。道端に座り込む人々の視線を感じながら、散乱している障害物を避けながらスラムを抜けて宿についた。料金は前の町と同じくらい。
「俺は寝る。じゃあな」
ベッドに潜り込んで1秒で寝た。
その間、ドフはずっと赤い鎧に細工をしていたのだと本人から聞いた。
戦闘シーンを見たときや読んだ時は心が疼きます