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RPG〜リアルプレイングゲーム〜  作者: 螺旋さかな
14/24

赤い鎧

朝になった。ドフの首は包帯が巻いてあった。

「おはようございます、ってドフ様!その首はどうなさったのですか?!」

俺はドフが怖すぎて直視できないでいた。昨晩吹き飛ばされた時に打ったところが痛む。

「ベッドにガラス片があってな、刺さっただけである。心配、感謝する」

うっわー、こいつ二重人格ってやつかよ。やっぱ腹立つ。隙があれば殺そう。

「い、痛そう」

ノールが苦笑いする。ちくしょう、ドフは人気者だ。俺にあるのは殺意のみ。

「あら?キュウリはどうしてそんなに険しい顔してるの?」

だ、だめだ、ここでバレると俺も殺されるだろう。俺はこいつを殺したいのに。叶わない。

「ちょっと寝られなくてな、ははっ」

「傷が痛いのね、無理しちゃダメよ」

あー、ドフがこっちを見ている。恐怖のあまり汗が滲む。駄目だ、落ち着け俺。

「僕らはとりあえず、村の仇を討つ。赤い鎧の集団とやらをぶちのめすんだ」

ノールが俺に言う。気遣っているのか…。やっぱりお前は優しいよ。

「あ、ああ。覚えてる」

隣でマオが何かをボソッと言った。

「ん?どうしたんだよ、マオ」

「目的があって偉いのねって思ったのよ」

俺にはマオが何かを焦っているように見えた。俺たちにはこの世界を楽しむのは無理なのかもしれない。赤い鎧で何かわかれば良いのだが。

俺たちは町で赤い鎧の集団についての情報を聞きまくった。しかし、日が暮れる頃になっても赤い鎧の集団の存在を知る人すら見つけられなかった。

「赤い鎧が村を襲う集団だったら、どこかの村に行けば、もしかしたら来るかもしれない」

ノールが予想を立てた。

「そうかもしれませんね。この近くの村はどこにあるんだろう…」

「とりあえず、町を出ないか?」

こんな夜に?ドフ、お前…。何を考えている。

「流石にそれはキツいだろ。今日は一旦、宿に泊まらねぇか?」

俺はベッドで寝たい。

「あ、ごめんね、宿に泊まれるだけのお金がないわ」

「私もです。すみません!」

というわけでドフの提案が採用された。ちくしょう、眠い。

その後、歩き回ったが村は見つからず、とりあえず見つけた洞窟で眠ることにした。寝心地が悪い。寝れない。にも関わらず、ノールとクルアは爆睡してやがる。なんて奴らだ。

長い夜が明けた。

「おはようございます!村を探しましょうか」

何と朝ご飯抜きで歩き始めた。ベリーハードだよ、この旅。

「あ、赤い鎧!」

ノールが前方を指差す。うっそだろ、腹が減っては戦ができぬとかなかった?何だよこれ、おいおい。

「さあ、行きますよ皆さん」

殺気立ったクルアの声で全員猛ダッシュで近付く。もちろん赤い鎧の集団にバレた。それでも俺は全力で走った。そして俺は人が殺されかけてるのを見た。

「おらぁ!」

殴ったが、鎧は固くビクともしない。

「キュウリ!どうしたの」

マオが追いついてきた。マオが殺されかけてる人を見た時、マオは息を飲んだ。

「は…のへ、うそ、八戸…」

その八戸とか言う人はマオを見て

「大竹…」

と呟いた。その直後、八戸とか言う人は腹部を貫かれて死んだ。小腸とかが出てきてなんて言うか、直視できないくらい酷い。

「うっそ、マオ、こいつら強い…逃げ」

横にいたはずのマオが消えていた。

「あ、ああああああああああああああああ!!!マオッ」

聞いたこともないようなノールの声。俺が見たのは腹部を裂かれた後、上下に真っ二つにされたマオだった。マオが死んだ。大量の血が飛び散り、どす黒い塊もあちこちに散らばっている。恐らく内臓だろう。

「うげっ、げぼっ、ぐろろろろろろ」

「ノール、さん?」

その惨状に耐えきれずノールが何かを口から吐いた。

「全員、伏せろ!」

クルアがノールを地面に押さえつけ、俺も慌てて伏せる。その直後、ドフの剣が弧を描いて赤い鎧のうち1人を捉えた。

鎧は割れたが、中から人らしき物は出てこなかった。それを見て、他の赤い鎧の集団は逃げていった。

「ううっ、マオさん」

クルアが散らばったマオを拾い集めた。

「マルア姉さん…ごめん、仇討てなかったよ」

俺たちは赤い鎧の集団をぶっ潰すために、いや、ぶっ殺すためにもっと強くならなければいけない。だから旅を再開することを決意した。

「とりあえず次の町まで歩くか」

何か目標を立てなければノールもクルアも動けない。精神的に潰れている。2人はゆっくりと俺とドフのだいぶ後をついてきた。

「ドフ、てめぇ、お前はどうしてそんなに笑っている」

「2人の時は不道って呼べよ。僕、案外気に入ってるんだぞ」

「早く言え、不道」

「僕の推測が大正解しててさ、面白いなぁって思ってた」

相変わらず訳のわからないクズだ。


お読みいただきありがとうございます。結末は少しずつ近づいています。

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