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RPG〜リアルプレイングゲーム〜  作者: 螺旋さかな
12/24

悪夢

最近とある漫画にでてくる、とあるお巡りさんがかっこいいなと思い始めました。ドフは実はそれにインスピレーション受けてたりします。

俺たち一行は食事を済ませて買い物に出かけた。装備を揃えないと旅などできない。

「そこの人ぉ、旅の人だねぇ?服装とかから見てぇ。通行料払えぇ」

赤いバンダナをかぶって身軽そうな半袖半ズボンの集団が各々武器を手に取りこちらに襲いかかってきた。なんていうことだ!少なくとも、俺とノールは武器をもっていない。

「うぁ?!」

さっき、少し変わった話し方をしてる奴のナイフをすれすれ避けた。髪の毛が少し切れてしまった。

「お前が頭か?」

身を反転させて反撃。しゃがんでナイフを避け、敵のみぞおちに拳を突っ込む。

「ごばぁ」

敵は吐血した。そのせいで額に血がついてしまった。

「キュウリ!!!!避けt」

ノールの甲高い悲鳴のような声が聞こえると同時に右肩から腰にかけて激痛が走り意識が飛んだ。


あー、どうやら俺は死んだか瀕死らしい。真っ暗闇の中にぽつんと独りだ。あーあー、終わりかよ。記憶が無いなりに楽しもうと思ってたのに。

ん?どこからか薄っすら声が聞こえる…。死んだな、俺。絶対死んだわ。もうこれさ、確定でいいだろ?この声の主は死神とかなんだろう?

「うん、ママ!」

へ?

「もう少しで着くわ」

だんだんはっきり聞こえてくる。どうやら幼い女の子とその母親の会話らしい。次第に俺の視覚にもぼんやりとした映像が映り込んできた。最初は色が混ざってぼやけた感じだったが、人の輪郭がわかってきた。聴覚と視覚がリンクしてきた。幼い女の子と母親の顔がはっきり見えた時、俺は息を飲んだ。幼い女の子は俺だったのだ。どういうことだよ…。記憶が戻り始めてる?ああ、これは俺が5歳の時に母親と遊園地に行った時だ。

「あ!くまさん!」

「可愛いねえ。写真撮ってあげーー」

この時の記憶が鮮明に蘇ってきた。というよりは今、自分の見ている映像の中の幼い俺に入りこんだようだ。

俺はカメラを取り出そうとする母親を笑顔で見つめていた。俺の大好きな母親。

「可愛いねえ。写真撮ってあげーー」

この最後の「げ」の音が聞こえた瞬間、母親の背後に何かわからない物体が現れた。動きが速すぎて何かわからなかった。ここから俺の記憶はスローモーションのように流れ始めた。その物体は人だった。ナイフを持っていて、耳が見える黒髪のおかっぱ頭。目が大きくて端正な顔立ちだ。一瞬目があった。それは俺を見るとニタァと歯を見せて笑った。俺はその時目を見開いていた…。とてつもなくびっくりしたからだ。それの持っていたナイフは母親の左肩を切り込み始めた。ナイフは滑らかに腕を切り落とす。腕が落ち始めた時には首も同様にナイフの刃が入っていた。そして、腕が地面に落ちると同時に、俺の大好きな母親は顔を、正しくは首から上を失った。吹き出す血はおかっぱのそいつを染めた。その間2秒足らずだと思う。多分俺が1番長く感じた2秒だった。母親は痛みに苦しむことなく死んだ。母親の首が飛び、放物線を描くように落ち始めた時には、そのおかっぱは別の人を惨殺していた。あり得ない速さだ。ショックのあまり声も出ないし動けない。俺の顔とか服とか全部全部、母親から吹き出す血で染まっている。

「…リ!」

「…ウリさん!」

誰だろう。何か呼ばれている気がする。天からの迎えか?だんだんと景色が霞んできた。惨殺の現場も霞んで何もなかったかのように消えた。真っ暗闇の中に声は聞こえる。

「…ウリ!聞こえるか?」

ああ、聞こえるよ。その時、突然目の前にたくさんの顔が現れた。見覚えがある。生きてたんだな、俺。ノールにクルアにドフにマオ。

「気がついたのね!」

「もう、心配したよ」

クルアとノールが泣きそうな顔で俺を見つめてくる。

「俺はそんなにやわじゃねぇよ」

「流石であるな、キュウリ」

ドフも笑いながら声をかけてきた。

「ここはどこだ?てか、俺さどうなったの?」

「ここは宿の部屋だよ。あの後キュウリはバンダナをしたうちの1人に右肩から腰にかけて斬られたんだよ。まあ、あの大勢の敵はドフが全員殺しちゃったけど」

ドフ強っっっ!!!!

「そ、そうか。まあありがとな。助かったよ。じゃあ、買い物再開といくか!」

「傷が癒えてないよ?まだ!ダメ!」

「そうですよ!」

「準備は早い方がいい。この町の治安はやばいみてぇだから宿にいてもわからねぇぞ。それにこんな傷、大したことねぇよ」

本当はすごく痛い。まあ、当たり前だ。勢いよく斬られたようだし…。

「それも一理あるな」

「ええ、そうね」

結局町に買いに行った。しかし異世界組はお金を持っていないのでクルアとマオが持っているわずかなお金では1番安い、下のランクの武器しか買えなかった。まあ、全員分は揃えることができた。

全員、鉄のナイフと分厚い布の靴を手に入れた。靴は運動靴みたいなやつだ。


その夜、俺はドフが泊まっている部屋に行った。食事の前に話しがしたいと言われてたからだ。

「話とはなんだ?」

「夢を見たんだ」

お読みいただきありがとうございます。最後のドフの喋り方はミスではないです。

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