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好きと言えるのなら  作者: まる
8/40

もう泣かないって

『予定よりも1分遅刻〜』

お昼休み、桜泉が向かったのは図書室ではなく体育館の体育倉庫の中。


『ていうか、私の好きな人奪うとか性格超悪いじゃん。』

『ほんとにー。』

正座をしてただ悪口を聞くだけの桜泉。

女の子3人は散々悪口を言うと、1人の女の子が我慢できず桜泉に手を出した。

手で桜泉頬を思いっきり叩いたのだ。

『本っ当にサイテー。』

少し泣きそうな声で桜泉に言った。

『あんたなんか死ねばいいのに!!そうやって人の好きな人取って幸せそうな顔して…ムカつく!!』

桜泉お腹を踏みつけた。勢いにのって桜泉は横たわるとそのまま足で踏まれた。

『角北くんは、あんたのこと本当に好きな分けないじゃん!!上部だけの付き合いだって自覚しろよ!!!』

遂には1人の女の子が泣いてしまった、桜泉を蹴りながら。

『あーあ。藤本さんクラスの子泣かせた〜。本当に性格悪いんだね〜。』

リーダー格の女の子が桜泉の胸グラを掴むと

『早く角北くんと別れなさいよね…。あとこのこと角北くんに言ったら今よりももっと恨んで痛い思いさせるから…』

そう言うと桜泉ことを突き飛ばした。

壁の出っ張っている釘に肘が当たってしまい、血が出てきた。

桜泉の体も心もボロボロだった。

女の子達は嘲笑うと体育倉庫を出て行った。

『(もうどうすればいいの…)』

桜泉は春にいじめられて以来、陰でいじめられるようになった。

『(全部この障害が悪いんだ…)』

手を首に当てた。涙が出てくる。

『(ダメだよ。泣いたら晴也にバレちゃう)』

震える手で涙を拭いた。

桜泉は起き上がると倉庫を出た。


『おお!桜泉!委員会お疲れ〜』

たまたま廊下で晴也に合った。

晴也は走って桜泉ところに来た。

『桜泉!肘、怪我してる…』

桜泉はハッとして右肘を隠した。

『どうした?』

桜泉は口を少し戸惑うと『木の本棚からトゲが出てて怪我してしまった』と手話で伝えた。

『大丈夫かよ…本当に桜泉ってドジだよな〜』

晴也はくしゃっと頭を撫でてくれた。

すごく優しくて涙が出そうになる。

その優しさが逆に苦しかった。

女の子が言っていた『上部だけの付き合い』という言葉が脳裏を過ぎる。



〜帰り〜

『今日、俺部活だから一緒に帰れない…。ごめんな』

今日もか…と桜泉はがっかりした。夏になると運動部は大会が迫る。

『本当にごめん…。今週の祝日俺休みだからその時に一緒にデートしようぜ』

その途端だった。

『藤本さーん。少し話したいことあるから放課後残ってね〜』

声の持ち主はわかる。恐怖でビクッと肩を揺らす。

『んじゃ、俺部活行かなきゃだからじゃーな。また帰ったら連絡する』

桜泉は心の中で『行かないで』『助けて』と叫んだ。けれど伝わるはずもない。

とっさに左手が晴也のシャツを引っ張った。

『え…どうした?』

晴也が振り返る。

言葉が見つからない。なんて言おうとしたんだっけ。

桜泉は左手をスッと下ろした。

『晴也ー!一緒に部活いこーぜ!!!』

教室前の廊下から違うクラスのバスケ部の男の子か晴也を呼んだ。

『ごめんな。話は後で聞くから』

晴也は謝ると前を向いて『おう!』と言って友達のところに行ってしまった。


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