謎の錬金術師
追放されてからもう7日は経過しただろうか。
レオンハルトは疲れと飢えに苦しんでいた。
そう、青碧の王国周辺は砂漠地帯なので、草も食べられるものが生えていないのだ。
「喉が・・・乾いたな・・・」
生暖かい風がレオンハルトの体を包み込む。風に乗った砂が荒々しく吹き荒れる。
いくら百戦錬磨の勇者でも、このような劣悪な環境に、飲まず食わずで7日もいたら
とてもたまらないだろう。
レオンハルトは倒れた。ああ、もう自分は死ぬ。
今まで無駄なことばかりやってきた。後悔しかない人生だった。
毎日が戦いに明け暮れ、魔物の断末魔しか聞き取れなかった。ああ、自分は魔物と同じだ。
せめて来世では平穏に暮らせるようにしよう・・・・・。
・・・。
レオンハルトは目を覚ました。ここはさっきの砂漠ではない?
どうやら家の中にいて、自分はベッドの上で寝ていたようだ。机には薬品が置かれ、
本棚には難しく厚い本がぎっしり詰まっていた。
???「もう目を覚ましたのかい?」
レオンハルト「もしかして、君が私を助けてくれたのかね?」
???「そう。僕が必要な鉱石の採掘中に、君が砂漠の中で倒れていたんだ。
僕の名はエリクソン、君は?」
レオンハルト「・・・レオンハルト。」
エリクソン「へえ・・・。確かどっかの国のお偉方のような名前だね。」
レオンハルト「気のせいだろう。ところでここはどこだ?君は一人で住んでいるのか?
近くに街はあるのか?」
エリクソン「ここは薄紅の王国の近くさ。それでも4kmくらい距離はあるけど・・・。」
レオンハルト「薄紅の王国・・・。」
エリクソン「そういえば、君はどこ出身?」
レオンハルト「・・・青碧の王国。」
エリクソン「青碧の王国!へー、あの大都会の!!僕も一度言ってみたかった場所なんだ。
今度来る予定があったら案内してよ。」
レオンハルト「勿論だ。さあ、私は急がなければならない・・・世話になったな。」
エリクソン「うん、困ったことがあったらいつでもおいで。」
レオンハルトは、エリクソンの家を出て、薄紅の王国を目指すことにした。