それでも車輪は回っている
トメイトゥさんとの、お題小説です。
テーマは『自転車』
あなたは、何処で、何を。誰と、何を。
あなたは、私を置き去りにして、そして、遠くへと行ってしまった。私はあなたを何処までも導こうと、ただ一心に走りたかったはずなのに。
ああ。
ゴミの山の中、深い闇から見つけられた瞬間の幸福が、無意識に。悲しみを食い尽くすことなく、募るばかりで。
「私はあなたにとって、どのような存在でしたか?」
そう問うことすら出来ない刹那を、ただただ呼び起こそうとする。
自分にのみ誘導し得る道が、景色が、確かにあるはずだと思いたかったのだ。
私が、私である故の幻想を、あなたに一目見せてあげたかったのだ。
だけれど。
あなたは歩いてゆく。私を、背中で拒絶しながら。
そして知る。
如何に正しく生きたとて、その存在は不要なものであったのだと。
私が、うすのろであったのか?私が、みすぼらしかったのか?私が、不敬であったのか?
あなたが居ない今、私が何物であるのかすら、分からない。
それでもやはり、待つ。
再び見つけられる時を、車輪を温め、新たな景色に思い耽ながら。
嘆けども、憎めども、その身は何ら変わらぬのだから。
願う。
次なる主を乗せ、そして流れるその景色が、光に溢れよと。