秋空とハスキー
掲載日:2026/03/02
目覚ましが鳴った。
手を探りつつ伸ばして叩く。
鳴き止んだ。
二度寝した。
***
起きて朝食を摂る。
2日目のカレーは美味い。
シンクに皿を置く。
水を流す。スポンジに泡をつける。ああ、少し多い。
トイレに行く。
パジャマを脱ぐ。
着替えてカバンを持つ。
ネクタイは嫌いだからつけない。
黒髪、白シャツ、黒ネクタイ、白いソックス、黒いジャケット。
白、黒、白、黒。
俺はオセロか碁石の精か?
ささやかな気怠さ。
家を出る。
都会の朝は灰色。
「いってきます」
返事はない。投げかけた言葉が、宙吊りになって消える。
空が青い。
もし、いまこの瞬間に隕石が、白亜紀に恐竜を絶滅させたような隕石が落ちたら、どうなるのだろう。
想像する。
熱風が吹いてみんな死ぬかな。
きっとなんで死んだか、訳もわからない奴らばっかりだろう。
トイレ入ったままのやつがいるかもしれない。
愛人の家のベッドの上で、間抜け面晒したままのやつだって、いてもおかしくない。
考えていたら、なんとなく可笑しくて可笑しくて、大口開けて笑った。
そしたら、立ってる場所の横の家にある犬小屋の中のハスキーが、目をひん剥いてこっちに向かって吠えたてる。
悪かったな、不審者で。
小石を蹴飛ばす。
秋の空は高い。




