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It is "Emma"

キミは宇宙__。

その後日が暮れるまでぼうしちゃんとたわいのない話をして別れた後、あれから時間は経っていたのにもかかわらず、彼女の口から発せられたその言葉は僕の心のどこか奥深い所に跡を残した気がしてならない。


僕の体には多くの人の意思が流れている__。ぼうしちゃんの言っていることは難しかったがこれだけは伝わった。その理論で行くと、僕が死んだとしてもやはりこの体の後を継ぐ者たちがまた悩んでいくのだろうか。後世のために、必死にあがいて生きていくのも悪くはない、と感じた。


夜の帰り道は寒かった。ぼうしちゃんと初めて出会った日からはまだそんなに経っていないはずなのに、北風の力は偉大だったようで、日に日にどんどん夜は冷えていく。昼間こそまだ蒸し暑さを感じることもあるが、夜になるとそれは一転して北風が支配するところとなる。

なんだかこの数日は夢を見ているような感覚に陥る。突然少女に会い、今までの暗い生活に突然横槍を入れられたような感覚。でもこうでもしないと僕の世界は永久に閉じられたままだったのかもしれない。と思った瞬間、

___!!人の気配だ、少し後ろに誰かいる!

しかもなんだかとても視線を感じる。思い返せば、丘を降りて少しした後くらいから何か不気味な感覚に襲われていた気がするな。こうして歩いている間にも確実にこっちの方へ音が少しずつ近づいてきている。こんな混んでもいない郊外の住宅街でわざわざ人のすぐ後を着けてくるなんて、仮にこの現象が偶然にしても怖すぎる。というのも、丘の周囲と僕の家の間の道には大した店もなく、少しそれて大通りまで出て歩かないとコンビニもない。ゆえに、丘付近から人の気配を感じているということは、たまたま散歩ルートがかぶったか…いや、十中八九不審者の線だろう。この地域はさほど治安も悪くない場所だと思っていたが…よりにもよって不審者に着けられるとは……よし、巻くしかない。

僕は少し急ぎ足__といっても若干の恐怖心からほぼ小走りだったかもしれない__で一つ目の曲がり角をそそくさと曲がろうとしたのだが、


「おーい!待ってくれー!」


と声を掛けられた。あれ、この声どこかで聞いたことがあるような…?

つい立ち止まって考えているうちに声の主はどんどん近づいてきて……


「ひっさしぶりに見かけたから声かけようと思ったんだけど…足はやすぎだろ…」


さすがに無視するのも僕が不審者になってしまいそうなので振り返ってみると、なるほど、クラスの男子だった。ただ、あまり普段から関わってはいなかったタイプの人だ。やばいやばい、クラスメイトの事を不審者扱いしてしまった。最近、あまりにも学校に行っていないせいかもはやクラスメイトのことまでも忘れかけていたのかもしれない。いや、それだけでなく長い世の中からの隔離によって人の気も見分けることが苦手になっているのかもしれない。


「こ、こんばんは?」


きょどって疑問形になってしまった。やばい、きまづい。どうしよう。


「何敬語になってんだよ、俺らタメだろ?」

「ああ、すまん」

やばい、本格的にコミュ障を発揮してしまっている。

「まあそれは良いとして、あんな何もない場所に用なんかあったのか?俺んちがあのあたりにあってな、たまたま家を出たらお前がそこらへん歩いてるのを見つけたんだけどよお…お前、何してたんだ?」


ごもっともだ。完全に何か怪しいことをしているように見られている気がする。


「まあ散歩でもしていたとでも思ってくれ」


近所の喫茶店にちょっと足を伸ばしていたのだから散歩という言い方でもまあ、おおかた間違っていないだろう。


「ほーん、てっきり俺はお前がずっと家にいたのかと思っていたぜ。ああ、別に差別的な意味合いじゃなくて、何か家庭に問題があるー、とか精神に問題ができたんじゃないかとかそういう意味のほうでな。元気そうで安心したわ。もしかしてなんかあったん?」


こいつ、なかなか痛い所をついてくる。自分が気にしていることすべてを踏み抜いてきた。己の答えも出ていない段階だし、あまりこの手の話題については話したくない。それに加えてその相手が当事者と言ってもいい、まさに自分が休んでいるクラスの人間なのだから僕の緊張は絶頂に達してしまった。


「あ、ああ、、、元気だよ、うん、特にはないよ、平気だよ、ありがとう、心配、、、、してくれて」


ほとんど逃げたいような気持ちでなんとか返事を返すが自分でも言葉として発されている気がしない。自分でもこんな一言でキョドっているなんて馬鹿馬鹿しいとも思うが、心はどうやらこの状況を一笑に付してくれないようだ。さすがの彼も僕の並々ならぬ雰囲気を感じたのだろうか、


「そ、そうか。まあ無理するなよ?あと来れそうならまた学校、来いよな。俺は駅前の百均に用があるから、じゃあな」

と言ってくれたので、


「お、おう、また会おうな」

と若干覇気の戻った声で僕は答えた。


本当に何をやっているんだろう、僕は。行き先のない自責の念にかられる。彼はまだ良心的だった。だって突然姿を消した僕のことを心配までして学校に来いとまで言ってくれたのだから。だけどその優しさが同時に僕の心を抉る。別に「同情するなら金をくれ」のようなことを言いたいわけでも、そんな優しさ表面上の物でしかないと言いたいわけでもない。ただ純粋に、自分が悩んでいることに対して外部からの干渉を受けたくない、自己解決させてくれ、頼むからそっとしておいてくれというなんとも形容しがたい哀れな感情がその優しさを自ら切り捨てているに過ぎない。


道を歩きながら考える。やっぱり行動を起こすべきではないかと。

先ほど声を掛けられた場所は丘から大分歩いた場所だったということもあり、気づいた時にはもう家の目の前についていた。


「ただいま」


芯の抜けた声を発しながら家に入る。二階にある自分の部屋に一直線に向かう。今日はなんだか疲れてしまった。帰宅時に手を洗うどころかシャワーや夕飯までも食べる気が起きず、ベッドに倒れこむ。

僕は、どうすればいいんだろう……。その意識もいつしか睡魔に襲われていく。


………

……

…。


今は、何時だ?

変な体制で寝ていたせいか、体がふわふわした感覚だ。なんだか視界も低くぼやけている。

階段を降り、水でも取りに行くか…

階段を下りる途中、下の方から会話が聞こえてきた。両親のものだ。僕の両親は健康的な生活を心がけているらしく比較的早く寝るので、深夜に話し合うとは珍しい。

何の話だろうか…


……なあ、俺は__に___を_______るべきだと思うんだよ___。

わたし__は_____賛成でき_____わ。ま_____は___5歳_____?

うーむ、、、でもいずれは______________ろ?大人になって________________。


一体、何の話なんだ。肝心の内容が聞こえない。

でも、この話にはどこかデジャヴを感じるような…?


それにし________まだ様子見_____うが良いと_____わ。


両親の話の内容は定かではないが話がどんどん遠ざかってくる気が_______。


まだ______の___________知らな______________________をしても______________思うの。__________________、いや、あるいはあの子が自分で__________家の_________の________________________まだ____________________から、________いし。まだ________にして____________しょう。

_______そうだな。___________。


どんどん話の内容が白塗りに_____待って、待ってくれ、俺はこの話をどこかで知っている。待ってくれ_______。

七話です。インスピレーションが爆発しそうです

ピクシブのほうに設定資料を追加しておきました!

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