30、君に幸あれ
私は所謂「箱入り娘」だった。門限は18時で、放課後に部活をするのも友達と遊ぶのもできず、家では勉強ばかりで退屈な日々。
唯一、猫のミケと遊ぶのだけが幸せだった。
けれど、そんな私を救い出してくれたのが貴方だった。ある夜、突然私の元へやって来た貴方は、私をこっそり夜の世界へ連れ出した。最初は戸惑ったけど、夜の公園で遊んだり河原で星空を眺めたりするうちに、心の底から楽しむようになる私がいた。
貴方との夜は何日も続いたし、続いて欲しかった。
けれど、今晩を境に貴方は来なくなった。でも、今ならその理由が分かる。
「貴方だったんだね、ミケ」
私の膝の上で幸せそうに永遠の眠りにつくミケ。その頬に一粒の涙が零れ落ちた。
お読みいただきありがとうございました。
今回は、ランダムワード「箱入り娘」から連想して生まれた作品です。
皆さんは夜の世界って好きですか?私は、時間がゆっくりと流れているように感じられて好きですね。
さて、今回で『300字小説』は終了です。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。約2ヶ月間の連載でしたが、いかがだったでしょうか? お気に入りの回とかありますかね? 少しでも皆さんの心に残っていれば、私としても幸いです。
この作品がお気に召しましたら、いいねや★、ブックマークをつけていただけると嬉しいです!
感想もお待ちしております!
それでは、また別の作品でお会いいたしましょう(→ω←)




