27、勇者の剣
夜も更けた森の小屋の中。青年はベッドの横に佇みながら両拳を握りしめていた。
小刻みに震える体の所為か、青年の頬を伝っていたはずの涙はポロリと零れ落ち、それに深々と突き刺さる長剣を伝う。やがて涙は剣身を伝い、その胸元に開かれた傷口に染み渡っていく。
青年は歯を食いしばり、霞む視界の中、心臓を貫かれてもなお微笑みを浮かべているそれを見下ろしていた。
魔王を滅ぼして英雄となった勇者にはかつて妹がいた。彼にとっては最後の肉親だった。
だがある日、妹は魔族になる病――不治の病に冒され、自分を殺すように告げた。
張り裂けそうな胸に苦しむ勇者。
だが遂に妹を自らの手に掛ける。
魔王を斬り伏せる時、剣は少し錆びついていた。
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今回は、ランダムワード「ファンタジー」から連想して生まれた作品です。
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