表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mirror to mirror  作者: おどろ木とどろ木
1/6

Episode 1.因果関係(1)夢の中で

【登場人物】

松木拓海まつきたくみ 主人公。本エピソードには登場せず。

篠宮礼奈しのみやれな 本エピソードのヒロイン。17歳高校生。

唐沢優斗からさわゆうと 礼奈に協力する者。25歳。

北島圭一きたじまけいいち 礼奈の夢に出てきた小太りの男性

東山創太ひがしやまそうた 礼奈の夢に出てきた細身の男性


主人公の拓海が真理に気づく少し前のエピソード。礼奈と優斗の「定め」。

10月17日火曜日05:45



 篠宮礼奈しのみやれなは夢を見ている。


 ここは地下鉄のホーム。ホームに私は立っている。ホームに電車が入ってくる。入ってきた電車の中に炎が見える。ホームの周りの人は異変に気付いて少しずつ逃げ出していく。


 ここは地下鉄の車内の座席。座席に私は座っている。前の車両から後ろの車両へ乗客たちが全力で逃げていく。強烈な焦げくささが車内に広がっていく。何かが燃えている。逃げていく乗客たちはパニックに陥っている。車両と車両の間の狭い連結部分で、乗客たちは“我先に”と他人を押しのけて進もうとしている。


 ここは炎に包まれた車内の中。車両の連結部分のドアの前に私は立っている。車両は、オレンジ色の炎と黒煙で充満している。確かに人はいるが誰も身動きをしていない。


 後ろを振り向く。後ろの車両に移ると、手に持っていた赤色のポリタンクの中身を車両の床に勢いよくこぼす。線路がすこし登りになっているのか、その中身の液体は、すぐに後方車両へとなだらかに流れていく。ガソリン臭がする。ポケットに入っていたライターの一つを取り出す。火をつけて床に落とす。液体の上を一気に青い火が広がっていく。奥の車両に移ろうとしている乗客を青い火が包み込む。オレンジ色の炎に変わり、たちまち黒煙が車内を充満させる。乗客数名がもがいている。


 車内の窓をみると、私は私ではない。細身の男性、30歳前後、白のワイシャツに紺のスーツパンツ。ネクタイはしていない。切れ長の目で鼻は高い。少し笑っている。


 私は、車内の窓に移った「私」の特徴を注意深く観察していたが、すぐに黒煙に包まれ、意識が遠のいていく。




 ここはどこかのビルの男子トイレの手洗い場。私は鏡を見ている。鏡に映っているのは私ではない。先ほどの細身の男性の「私」でもない。

 小太りだが清潔感のある顔、20代前半か。濃いグレーのスーツにワインレッドのネクタイ。優しそうな顔立ちで、今日はいいことがあるのかニヤニヤが止まらないといった表情で鏡の前で短めのツーブロックの髪を整えている。首にかかった社員証には「東邦商社 第二企画部」と書かれていた。名前は…




 次の瞬間、礼奈は目が覚める。いつものベット、いつもの部屋。いつもの私。

 ベットわきのコーヒーテーブルに手を伸ばしてスマホを取り、まずは時間を確認する。まだ朝の05:45。

 スマホで「東邦商社 第二企画部」を検索する。ここから電車で40分ぐらいの距離にあるビルの15階にその部署があるらしい。

 そのビルの近くには「一本橋駅」がある。

 

「ここで探せば見つかるかな。」



 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ