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そして、皆んな死んだ

作者: 赤井ヤマ





虫の声がする深夜。空には、傾きかけた月があった。

足元には犬が丸まって寝ていて程よく暖かい。

暗い部屋の中で、私は長らく開いていないSNSを開く。

自分の投稿欄を見ると数年前で止まっている。


今は関わっていない当時の同級生達。

何となく思い出して、苦い気持ちになる。


嫌な事や面倒くさかった事がフラッシュバックする。


それは、私自身の至らなさと己が人未満であったと思う悔しさ、そして理解してもらいたかった気持ちの数々。


ああ、何と己の未熟な事か。


積み重なった過去の私が、ゾンビとなって私を蝕んでくる。


人と関わるのは嫌いだ。

演じている私を私と捉えるから。


流れて行く世界で私は私を演じなければ、変な生き物になってしまうから。


私は私を演じていた。


そして怒っていた。

誰しもが私の演技に気付かないと。


だがそれは、私の我儘な願いなのだ。

皆んな自分の一日を過ごすのに必死なのだ。

それに気付いたのは、演じられ無くなった時だった。


死屍累々の一番上で私は寝転ぶ。


どうせ全て上手く行かない。


皆んな死んだ。


私も彼女も皆んなも。


不貞腐れてひたすら寝ていた。


(ああ、でも…)


だけど、土に還れば別の生き物になれるかもしれない。


ミミズが落ち葉を食べて分解するのを思い出した。


皆んな死んで、新しい生き物になって行く。


これまでのシガラミを全て捨てて。


布団の中の犬が寝返りを打った。

暖かい体が私の布団を全て奪い取って行く。


犬から少し布団を分けてもらって、

犬のくっついて目を閉じる。

触れた部分が少しずつ暖かくなって、暑くなってくる。


私は死んだ。それでいい。

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