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67 事件現場

 アイたちは街に着いた。

 シミーサは、全ての建物が陽光を受けて光り輝く白亜の色合いで、青い海、空とのコントラストが美しかった。

 海岸近くの山の斜面に立つように、建物が並んでおり、街全体が傾斜がかっている。

 海へと水路が走っていることもあり、いたるところに白い細い橋がかけられていた。


「噓でしょ!ねぇ、こんなに綺麗なところある?私は絶対ここに住む……別荘建てる……」


 そこは、シェリーが新しい夢を一つ生み出すほど、綺麗な港湾都市だった。


「気持ちはわかるが、言っただろう。まずは冒険者組合へ行くぞ」


「えぇ~そんなぁ……もうちょっといろいろ見て回ろうよ!」


「見て回っても使う金がないぞ」


「行こうか……」


 シェリーはシードルにすぐに現実に引き戻されていた。


「そうだぜ、シェリー。俺たちは冒険者なんだ。困っている人々が、俺たちを待ってる」


「アンタは黙ってて」


 スティルはあれ以来、やる気満々だった。



 組合の建物も、白く輝いた建物で、まるでリゾートの受付と勘違いしそうなほどだった。


「手っ取り早く終わらせられて、成功報酬が高いものがいいな」


 シードルは顎に手を当て、貼りだされた依頼を吟味した。


「危険なものほどそうだろうが、その分、受けさせてもらえるかも微妙になってくるぜ」


 スティルはそう言った。

 最終的には登録されている情報から、受注の可否は冒険者組合が判断する。

 あまりに実力が見合っていないものは、受けさせてももらえないのだった。


「これはどう?」


 アイは一つの依頼が気になって、指をさした。


 それは、シミーサのある通りで、何人もの人が、殺害、傷害の被害を受けているというものだった。

 しかし、犯人の姿を見たものが誰一人おらず、魔物の影響が疑われる、と。


「確かに、報酬もいいが、その分危険そうだな。受けられるかどうか聞いてみるか」


 そう言うと、シードルは番号を控え、受付へ依頼を受注しに行った。


「なるほど、なるほど。あ、先ほどブリザーズと、チーム名を登録されたのですね……実績は……」


 受付の女性は、しばし考えた。


「あなたたちには少し難易度の高い依頼ですが……しかし、グリサリアの一件で活躍されたのは、あなたたちですね?」


「ああ、もう伝わっているのか」


「ふむ……それなら大丈夫でしょう!今、話題ですよ。ブリザーズの皆さん。受注申請を受け付けておきます!」


「ああ。ありがとう」


 シードルは無事依頼を受け、より詳細が記された紙を受け取ると、アイたちのところへ戻った。


「よし、受けられたぞ。まずは現場に向かおう」




 アイたちは問題の通りに到着した。

 人通りはそれほど多くはなかったが、まったく誰も通らないわけではない。


 どちらかというと、街の人のみが使う、生活通路という感じだった。

 シミーサ自体が斜面に立った都市であるため、入り組んでおり、交通を便利にするために、上を橋が通っていた。

 そうした橋のせいで、所々が陰になってはいたが、真昼の陽光を受けているうちは、薄暗いこともなく、誰かが人を襲いやすいという感じでもなかった。


 通り沿いには、塀を隔てた向こうに民家が立ち並んでいる。


「全然、人が襲われやすいようには見えないね」


 それがアイの率直な感想だった。


「そうだな。犯行が行われているのは、決して夜だけというわけではないようだ」


「それなのに誰も顔を見ていないの?」


「正確に言えば、顔どころか身体すら、人影すら見た人間がいないらしい」


「被害を受けた人は?」


「二十代の女性、六十代の男性、十歳代の少年や、少女など、殺人も、傷害も、被害者に共通点らしいものは見つけられていない。」


「無差別、なのかな」


 アイは、不謹慎とは思いつつも、少しわくわくとしてきた。

 今までの依頼では、既に明らかになっている魔物の被害に対応することが多く、街中でこういった事件を調べるというようなことはあまりなかった。


「うちには魔物に詳しい奴がいねぇからなぁ。こういう時、ある程度見当をつけられたらいいんだが」


 スティルはそうぼやいた。

 姿を見せずに人を襲う魔物。

 そういうものが存在するのだろうか。


「傷は?どういう風だったの?」


 シェリーが、塀の壁に入ったひびを指でなぞりながら、言った。


「切傷、刺創……刃物ではないかという話だが、貫通している傷もあるらしい」


「刃物で、貫通……長剣なのかな」


 アイたちは、手がかりがないか、通りの地面や壁を探す。


「なんかさぁ……妙にえぐったような傷が沢山入っていない?」


 シェリーに言われてそれを見ると、何かが突き刺さったな穴の周りに、そこから広がるようにひびが入っていた。

 それに近い傷が、言われてみればいくつもあるようだった。


「これもその事件でつけられた傷なのかな。それとも、前からあるものなのか……」


「壁の傷跡を調べれば、どんな魔物がこの傷をつけたのかわかるかもしれないぞ」


 シードルはその傷をよく観察した。


「よし、手分けしよう。アイと、シェリーは近くで聞き込みをしてくれ。スティルは、異変がないかここを見張っていてくれ。俺は傷の特徴を調べて、組合で魔物関連の文書を当たってみる」


「了解」


 シードルの指示に従い、それぞれが素直に別れ、自分の仕事にあたった。


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