表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/55

第四十二話……気圏戦闘艦アリーマー出現!

――赤茶けた大地。

 惑星コローナの大地は酸化鉄を多く含む荒れ地であった。

 そのため作物はあまり育たず、多くの人口を養うことは出来なかった。


 その赤茶けた大峡谷の谷間を、土煙をあげながらドレッドノートが這うように高速で飛行していた。



「高度を地上から15mに固定。艦底をこするなよ!」


「了解!」


 晴信は操艦の一部を副官のエリーに移し、分業を図る。

 それは高度な操艦を可能にする一つの答えでもあった。


「……現在時速200ノット!」


「もっと速度をあげろ!」


「了解」


 時速数百キロを超える飛行物体の操縦者からすれば、地上から15mの距離は操縦者にとってわずか15cmにも思えた。

 操艦する晴信の背中にも嫌な汗が流れる。



 ……そもそも、なぜドレッドノートはこのような無理な操艦をしているのか。

 その答えは大きく狂暴な追跡者にあった。


「艦長! 敵気圏戦闘艦を振り切りました!」


「……よし、適当なとこで旋回。攻勢に移るぞ!」


 ドレッドノートを追いかけてきたのは、ゲルマー王国軍の誇る気圏戦闘艦アリーマーであった。

 古の超文明の産物であり、ドレッドノートとさほど大きさが変わらない巨大な飛行戦闘艦であった。



――二時間前。

 いつものようにドレッドノートが積乱雲の中で、敵の爆撃隊を待ち構えていると、この敵気圏戦闘艦に急襲されたのだ。

 敵は太陽の方向から4機の気圏戦闘機を伴って現れ、ドレッドノートのセンサー群の眼から逃れ近づいてきた。

 そうして、背後から数条のレーザー砲と数発の実体弾をドレッドノートに叩きこんだのだ。


 ドレッドノートは致命傷を免れたものの中破。

 左舷からどす黒い煙を噴いていた。

 つまり、敵艦から逃げるために超低空飛行を強いられていたのだ。



――ドッグファイト。

 相手の後ろの位置をとるために、激しい旋回飛行を擁する。


「敵艦見えました。左舷後方26-Bの位置です!」


「回り込むぞ! 前方の雨雲に突っ込め!」


「了解!」


 ドレットノートは敵のレーダー機器から逃れるために、尚も地上すれすれを高速で飛行。

 時には高度を上げて雲の中に逃げ込んだ。

 地表では激しい土煙があがり、雲の中では雹の塊が激しく甲板を打ち付けた。


「左舷方向へターンだ! エンジン全開!」


「了解!」


 激しい横への遠心力が、晴信たちの筋組織と骨格を軋ませる。


「敵ミサイル接近!」


「急速上昇!」


 今度は足元側に遠心力が働き、晴信の血液は足元側へと偏る。

 それは脳と網膜の血圧を下げ、一時的に視界が真っ暗になるほどであった。


「1、2、3……」


 晴信はゆっくりと数字を数え、意識を保とうとし、貧血気味になる脳を自ら鼓舞した。

 副官のエリーや他のクルーも苦悶の表情を浮かべ、平気なのはディーくらいであった。


「敵を前方に捕えました!」


 何度かの急反転。

 何度かの急上昇の後。

 ドレッドドノートは敵気圏戦闘艦の後ろ側を前方に捉えた。

 敵の後ろ側を追い回す我慢比べは、ついに晴信たちに軍配が上がったのであった。


「艦首レーザー砲用意!」


「了解!」


 晴信が射撃スコープに敵艦を捉えようとしても、今度は敵が急旋回や急上昇して逃れようと暴れる。

 激しい旋回に旋回機銃では狙いが付けられず、またミサイルも横Gに負けてあらぬ方向へと飛んでいった。



 ……が、ドレッドノートの旋回砲塔も奮闘。


「今だ、斉射開始!」


 敵の気圏戦闘機4機だけは何とか撃墜に成功した。

 爆散した航空機の残骸が、煙の尾を引いて地上に激突していく。


 残るは大物だけだ。

 晴信は心を奮い立たせる。



 二時間後を経過しても、未だに二艦の決着はつかない。

 お互いが前後の位置を入れ替えながらに、激しい攻防が続く。


 普段の戦闘は、晴信の作った艦が敵に圧倒した力を誇ったが、今回は相手が古の人間たちが作った新鋭艦であったため、艦自体の性能の優劣の差はほぼなかったのだ……。



「くそっ! いい加減に諦めてくれ!」


 願うように晴信が口にした瞬間。

 敵艦が地面に激しく接触。

 左側の主翼と舷側を大破させながらに地表を滑っていく。


「しめた!」


 もはや敵艦は操艦できる状態ではない。

 その二秒後。

 ドレッドノートの艦首レーザー砲が咆え、青白い光の束が敵艦を無残に切り裂いたのであった。


 結局、二艦の運命を分けたのは、操艦者の僅かな腕の差であった。




☆★☆★☆


「ディー、ブラックジャックを用意して」


「なにをするの?」


「あの気圏戦闘艦を捕獲するんだ。あんなに性能がいい艦は、廃棄するのはもったいないからね」


「了解!」


 ドレッドノートは敵艦アリーマーの残骸の近くへ着陸。

 晴信が乗るゴーレム機を地上におろした。



『降伏するなら命はとらない!』


 晴信はゴーレムの拡声器を使って、敵艦の乗組員の投降を促した。

 ゲルマー王国側の乗組員たちは負傷者が多く、敵対する行動を示したものは皆無であった。


『降伏する! その代わり負傷者の手当てを願いたい!』


 相手も拡声器で応じた。


『了解した!』


 晴信たちはコローナ臨時政府軍の地上部隊に連絡。

 敵負傷者の手当てと収容を手配した。



 ……そして。

 この敵艦アリーマーを接収。

 惑星ディーハウスへドレッドノートで牽引し持ち帰った。


 この後。

 晴信は急ピッチでアリーマーの修理を敢行。

 昼夜を分かたずディーと働き、見事二週間でとりあえず飛べるように修理したのであった。


☆★☆


お読みいただき有難うございます。

お気に召しましたら、ブックマークやご採点をいただけると大変嬉しいです。

誤字脱字報告も大変感謝です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければ、こちらもどうぞ!
↓↓クリック↓↓

i000000
(バナー作:「秋の桜子」様)
4m995efhcisxf3n45atdjngefp6w_1b6w_b4_b4_
(バナー作:「こたかん」様)

i000000
(バナー作:「砂礫零」様)
― 新着の感想 ―
[一言] アリーマー、ゲットだぜ!
[一言] 艦隊を組めるようになりますか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ