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第三十話……若き女王の親政

 惑星コローナの首都コローナシティ。


 晴信はここにいる時、中央官庁の居住区画にて、ブリュンヒルデとともに住んでいた。

 形式上の結婚とはいえ、惑星コローナにいる時くらいは同じ場所で暮らして欲しいというカンスケからの要請だったのだ。


 ちなみに王族であるブリュンヒルデに姓はない。

 彼女は由緒正しいゲルマーの猫族である。

 外見的な特徴として、人間の体に猫の耳を生やし、尻尾をつけたような姿をしていた。


 彼女と晴信は形式上結婚し、戸主はブリュンヒルデ。

 つまり晴信は入り婿の形をとっていた。


 晴信が経営するミハタ社の後ろ盾を得て、ブリュンヒルデは実質的に惑星コローナの若き支配者となっていた。


 ちなみにミハタ社の実質的な経営はカンスケが執り行っており、又、惑星コローナの政務実務はザムエルが執り行っていた。

 まだまだ若い二人には、大きな組織を動かすだけの裁量が備わっていたなかったためである。



「今日のご飯は美味しいね」


「ですわね」


 意外なことに最近。

 晴信とブリュンヒルデは仲良くやっていた。

 一緒に食事をとることも多い。

 とはいっても寝室は別であり、未だ生物的なつがいの関係ではなかった。




☆★☆★☆


 コローナ臨時政府作戦室。


「我々の作戦は上手くいっており、ほぼ惑星全土の実行支配が完了しました」


 ブリュンヒルデを補佐する老将ザムエルが戦況を説明した。


「……ではもはや、この惑星に戦う相手はいないのですな?」


 そう言うのは晴信の補佐役であるカンスケ。

 晴信とブリュンヒルデは上座に座り、二人の話を聞いている。


「コローナの情勢は楽観的ですが、衛星軌道上を周回する宇宙ステーションタイタンの動静がはっきりしません」


「……ほぉ」


「さらに、惑星エーレントラウトを治めるハーバー伯爵が我々と同盟を組みたいとのことです」


「……ふむぅ」


 会議はザムエルが説明し、カンスケが頷くことで進んでいた。


「現在ハーバー伯爵は、惑星アレクサンドルを脱出し、自領である第四惑星エーレントラウトへと逃げ帰っております。この機に外交的成果を求めても良いかと思われます」


 そう言ってザムエルは、ブリュンヒルデに裁可を求めた。


「いいわ。その交渉をザムエルに任せるわ。出来るだけいい条件でエーレントラウトと同盟を結んできて。それからタイタンの件はカンスケに任せるわ」


「「仰せのままに……」」


 そう言って、ザムエルとカンスケは畏まる。

 二人にとってブリュンヒルデは若き女王であった。


 結局、惑星エーレントラウトへは外交的融和策をとり、宇宙ステーションタイタンへは外交的強硬策を採用することにした。

 ここでの強硬策とは、タテナシを使っての砲艦外交である。



「……で、僕は何をしましょうかね?」


 何も用事が無いのも癪だと感じた晴信が話を切り出すと、


「晴信様には、食料生産を任せたいですわ」


「ぇ!? 食料?」



 ゲルマー星系第三惑星コローナ。

 あまり大地が豊かでないため、以前より慢性的な食料不足が問題となっていたのだ。

 さらに、最近は反政府軍との内戦もあり、農業生産は著しく滞っていた。


「わかったよ。なんとかするよ」


 晴信は頭をかいて応じる。


「お願いしますわね」


 そう言って、ブリュンヒルデは晴信に微笑んでくれた。




☆★☆★☆


――その日の夕方。

 晴信は惑星コローナの第二工場へと足を運んだ。


「……で、食料生産ってどうするの?」


 工場の制御室で、ディーが晴信に聞く。


「どうするって、なにかいいアイディアがない?」


 逆に聞き返されるディー。

 晴信はブリュンヒルデと段々仲良くなっていたが、やはりディーといた方が気が楽であった。


「宇宙船を造っているこの工場に、トラクターでも作らせる?」


 ここは晴信が経営する惑星コローナの言わば第二工場。

 普段は宇宙船の製造を行っていた。


 ディーはここの生産ラインを組み換え、農業機器を作るべきだと言ってきたのだ。

 確かに曲がりなりにも宇宙船を造れる工場だ。

 きっと農業機器が作れないわけがない。


「うーん。じゃあそうしようか」


 結局工場の生産ラインの半分を農業機器の生産に割り当て、作った農業機器をコローナ臨時政府へと納品することにしたのだった。



「他にも養殖場や牧場もつくろうよ!」


「そうだね。人造タンパク質だけでは飽きるしね」


 晴信とディーは更なる食糧生産の為に尽力。

 タテナシから重機を持ち出し、大きな山を切り崩し、さらに荒野に水を引いていき、農業用地の拡大を図った。

 プレハブ材を組み立て、全天候型の簡易の食料プラントも作っていった。


 さらには小さな入り江や大きな池を養殖場へと改良。

 大量の魚卵を宇宙ステーションのタイタンで買い付け、稚魚を孵化させ放流していった。

 この効果は半年後に大きく現れることとなるのであった。




――この一か月後。


 宇宙ステーションタイタンは、以前と同じく惑星コローナの支配下にはいる。

 そして、第四惑星エーレントラウトとの同盟も締結。


 しかし、惑星エーレントラウトも反政府軍との戦闘を抱えており、晴信は援軍として惑星エーレントラウトへと向かうことになったのであった。


☆★☆


お読みいただき有難うございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱ食料は大事ですよね( ˘ω˘ )
[一言] あちこちで活躍ですねー。
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