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07話 『迷宮生活に馴染んでしまった』



 それから軽く25年が経った。

 やはり歳は取らないようで、肉体的な衰えは感じない。

 それどころかレベルが上がってる関係もあって、体の調子が日々良くなっている。

 これが今のステータスだ。


────────────────

《ステータス》

【名 前】神無月 柚留 

【種 族】人間

【レベル】43

【魔力量】7600/7600



《スキル》

【鑑定Ex】【言語理解Ex】【投擲lv6】【装備人lv4】【緑の手lv3】【痛覚耐性lv2】【毒物耐性lv6】【麻痺耐性lv6】【持久力強化lv2】【身体強化lv2】【駿足lv2】


《呪い》

【ほぼ年齢進行停止】


スキルポイント42

────────────────


 20年が経ったというのに転移したあの日を鮮明に思い出す。これが自我維持システムというやつか。相当前のことを昨日のように思い出せる。たが、ダンジョン内の記憶は維持されないらしく、数年前の記憶は大体薄れてしまった。

 それでも、あのカマキリの魔物のことは忘れたことはない。いや、忘れることができない。多少強くなった今でも勝てるビジョンが浮かばず、脳内シュミレーションでは既に何千回と死んでいる。


 その焼き付いたトラウマを忘れるべく、15年くらい前だった……かな? 何を思ったのか、俺は物作りにハマった。

 斧やナイフなどの石器を作って、限られた道具で木造の家を作ったり、土を掘って川から水を拠点までひいたり、畑を耕したり。まぁ、とにかくいろんなことをやった。

 これでも鉄製の道具があればよかったんだが、あいにく石器しかなくてな。一つ一つに相当時間がかかってしまった。

 それとレベルが上がった事によって筋力が増え、重い物を運ぶのが楽になったし、持久力も上がった気がする。

 レベルが上がると身体的な能力値が上昇するらしい。例えるならRPGゲームでHPやAPが上がるようなものだ。

 男なら誰もが憧れる林檎潰しも今なら余裕の朝飯前。なんならメロンも潰せるかもしれん。


 とまぁ、こんな感じで迷宮の生活に馴染んでしまったわけだ。


 20年間で作った物をまとめると大体こんな感じ


木造の家

石器道具一式

用水路

竹製の食器

畑や果樹園

鞣した大量の兎の革

弓と矢

木刀

骨で作った裁縫道具


 改めて作った物を見ると意外に少ないな。その理由は、殆どの時間が家作りに持っていかれてるだけだけどね。


 さて、この話はここまでにして、次はステータスの事について話そう。

 ステータスを見ればわかるだろうが、俺は新たなスキルをたくさん得た。いくつか紹介しよう。


────────────────

【装備人lv4】

【次レベルまでの経験値:13/40】

【スキルの型】パッシブ

【レア度】コモン


【スキル効果】

装備の推奨レベルが基礎レベルより高い際に起こる身体崩壊現象を遅延させる。より高い推奨レベルへの耐性獲得。

【習得法】

推奨レベルが自分の基礎レベルを遥かに超える装備を持つと習得できる。推奨レベルが自分の基礎レベルより高いほど熟練度が上昇。

【lv4】

基礎レベルより40高い装備の影響無効。過剰時の蝕まれる速度がある程度低下。

────────────────


 この世界は大きな力を持った装備ほどレベルが必要になるらしく、無理矢理持とうとすると人体に悪影響を及ぼすらしい。

 俺の場合、魔剣グラムを持ったらものの30秒ほどで右腕から血が出て、約5分後には腕が真っ黒く染まりゼリー状に。そして、脆くなった右腕は剣の重さに耐えれなくなり、肘から捥げてしまった。

 その時、1回だけでこのスキルが手に入ってしまった。要は偶然見つけたってことだ。

 それから、激痛を我慢して腕を再生させながら何度もやってここまでレベルを上げた。副産物として【痛覚耐性】というスキルも手に入った。

 このスキルは、文字通り痛みに耐えるスキルである。特別何かがあるわけではない。


────────────────

【駿足lv2】

【次レベルまでの経験値:6/20】

【スキルの型】アクティブ


【スキル効果】

一時的に自分の足を強化し、ジャンプ力と走るスピードが向上。

【習得法】

走った距離が10万キロを超える。

【lv2】

下半身を20%強化。

────────────────


 このスキルは毎日の習慣であるランニングによって手に入った。

 下半身を20%強化といういいスキルであるが、肉体への負担が大きい。このスキルを使った翌日は毎回筋肉痛だ。

 カマキリの魔物の素早い攻撃を避けるには、同じくらいかそれ以上のスピードでなければ避けれない。

 

────────────────

【緑の手lv3】

【次レベルまでの経験値:20/30】

【スキルの型】パッシブ


【スキル効果】

植物の育成を促進。レベル別の確率により収穫量と質が向上。

【習得法】

5年間で1日も欠かさず素手で植物に触れる。果樹と作物の収穫総量が1000トンを超す。植物のありがたみを心から感じること。

【lv3】

植物の成長をほんの少し促進する。平均で30%収穫量が増し、質も同じくらい上昇。

────────────────


 森から採集してきた種や苗を育ててたら手に入ったスキル。

 ん? 何故、素人同然の俺が農業を成功させれたか気になるだって? 仕方ない教えてあげよう。

 普通、素人がやったら作物が病気になったり、どんな肥料を与えればいいかわからず、ただ枯らしていくだけ。その他にも専門的で肝心なことがあったりすると思う。

 しかし俺の場合、何故か何事にも憂えずに育てれているのだ。ただ耕して定期的に水をやり、肥料なんて何やればいいか分からないから、とりあえず腐った肉を細かくして土に混ぜてる。

 テレビで得た知識しかない素人がこんな簡単にうまくいくか? そう思った俺はある実験をした。


 それはトマトの種を使った対照実験だ。


 Aの種には耕した土に水と肥料を。

 Bの種には耕した土に水を。

 Cの種は耕しただけの土に。


 この三種の条件下でそれぞれの実が成るまでの期間と収穫量を調べた。


 結果は、驚くことにどれも2ヶ月半で成長しきり、まるで嘲笑うかのように水々しい実をその身に宿したのだ。味も色も量も全て同じ。

 それからしばらく考えていたのだが、この1階層の土が水と肥料の役割を担っている、という仮説に落ち着いた。

 それでなければAとCが全く同じはずがない。ここは地球とは別の世界で神とやらがいる世界だ。こんな意味のわからんことが理由でもなんら不思議じゃない。


 ま、俺としては放置しとくだけで育つから楽で助かるんだけどな。俺は科学者や農家でもあるまいし、原因の追求なんてしない。ただ知識のない俺が上手くいってるから疑問に思っただけだ。


 ステータスについては以上かな。残りのスキルは文字通りの効果だ。

 てことで、今日もいっちょレベリング頑張りますか!


 そうして、柚留は弓と木刀を携えて東の低山へ消えていった。



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