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16話 『文明発展』



『243480年 75日 11:03』



 239階層目に辿り着いた。

 にしてもこの階層とにかく暑い。地面で目玉焼きが焼けるほどには熱いんじゃないか?

 この階層に限った話ではなく、201階層から全ての階層がこんな感じだ。恐らく300階層まで続くんだろう。


 ここは、まるで地獄や魔界のような雰囲気の世界で、至る所に溶岩の川が流れ、空は薄い紅色に染まっている。

 それでもスキル【耐熱性】があるので、この程度の暑さは全然大丈夫なのだが、暑いものは暑いのだ。

 幸い、指輪の中の世界は外気の影響を受けないらしく、中はいつもと変わらない温度。休憩や寝たりするときは大体指輪の中で寝ている。


 そういえば、指輪の中の世界は大きく文明が飛躍していた。

 村から街にまで発展し、独自の通貨を作って物流を確立させている。

 貨幣の種類は硬貨のみ。銅、銀、金の種類があり、価値は銅50枚で銀と同等。銀10枚で金と同等らしい。

 そのせいか金銭関係のトラブルが起きているが、俺の知ったことではないな。ここは魔物達に任せっきりにしてる訳だし。


 それと頼んでないのだが、なぜか俺の屋敷が街の真ん中にあり、俺の身長の三倍はある鉄の柵で囲われている。

 理由は、この数万年で隷属契約していない魔物で街は溢れかえっていて、主人に危害を加えるかもしれないからなんだとか。

 基本魔物は同じ種族の強者には従うらしいから襲うことはないだろうけど、用心に越した事はないらしい。

 この屋敷は大工のトムが設計。四階まであり、なぜか鉄骨構造。地震がないここではさほど意味は無さそうだ。


 屋敷内はゴブリンのメイドが従事し、掃除や見回り、洗濯、料理などをこなしている。

 ゴブリンは第二進化【ゴブリンエリート】から耳が長く肌が薄緑色以外は、ほぼ人間と容姿が変わらない。よってメイド服を着ているその姿は、目の保養になるのだ。これぞまさしく特権階級。

 特にメイドのアリスの身長が平均より高めで、それでいて主張しない控えめな胸。大人びた態度に顔立ち。ニーソックスが強調する足のライン。服の上からでもわかる色っぽい腰付き。いやはや全くけしからん。


 俺の部屋の隣はアリソンの部屋。彼女には裁縫用の糸を出してもらっている。

 強靭で熱や寒さにも強い万能糸。装備を作るのに十分すぎる糸だ。


 話は変わり、ここの就職情報について。

 男は基本、西の洞窟【モーセ洞窟】の採掘と狩猟に携わる。

 女は基本、家事仕事か頭の良いものは学校教師を務める。


 その他の特殊職。

 商店、飲食店、大工、農家、意外にもピンク系なお店まである。

 まぁ、こう見ると普通の街とほぼ変わんないな。


 街の事はこれくらいにしといて、200階層の報酬のことについて。


 報酬の一つだったモリーンの魔導書を読んで魔法のことについてようやくわかった。

 魔法は、魔法文字を詠唱する又は、脳内に魔法文字を描き出すだけで発動するそうだ。

 もちろんそれだけで発動するのだが、起こる現象について理解も必要。

 火はどうして燃えるのか、水は何で出来てるのか、光とは一体なんなのか。

 これらを根本から理解できれば、威力の上昇や必要魔力の減少の恩恵を得られる。

 一つの魔法は大体500魔法文字以上。500文字といっても英語のように数文字で一つの単語のようになっている。

 勉強が苦手な俺には酷なことだが、毎日少しずつ暗記だ。時間だけは十分にあるしね。


 その他の報酬は【フラガラッハ】【シェバリエの兜】【エリクサー瓶10本】【憤怒の飴3個】【力の指輪】【厚手のローブ】

 モーリンの魔導書を入れれば7つの報酬があったわけだが、どれも有用で強力なアイテムだった。


 魔法はなんとしても使ってみたい。その思いで俺は自室に寝転がり、魔導書の暗記に励んだ。



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