15話 『火の精霊』
『196421年 325日 13:12』
それから13万年以上が経った頃。俺は200階層に足を踏み入れていた。
この13万年、とにかく退屈だった。
最初の頃は場所も変わり、気が高揚していたが、進めど進めど変わり映えのない景色が続くだけ。まさに地獄だ。
まぁ、伊達に101階層まで攻略を成し遂げた俺じゃない。そこは割り切って、途中から無心で攻略していたからな。それも、この階層で恐らく終わり、新たな世界が待っているだろう。
だが、その前にボス戦だ。この階層で余分に時間をとってレベリングをしたので、使い魔たちのレベルが相当上がった。
これが現在の総戦力。
平均レベル700のオーク10体。
平均レベル1000のオーク5体。
平均レベル400のゴブリン30体。
平均レベル800のゴブリン10体。
計15体のオークと40体のゴブリン。
そして、一番長く隣にいた蜘蛛の魔物アリソン。
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《ステータス》
【名 前】アリソン
【種 族】アラグネル
【レベル】1456
【魔力量】88970/88970
【存在等級】伝説級
《スキル》
【身体強化Ex】【腐食耐性lv8】【魔眼:鈍化lv9】【剛糸Ex】【身体装甲Ex】【吸血Ex】【耐熱性Ex】【耐寒性Ex】【光学迷彩Ex】【毒牙Ex】【魔眼:破滅lv5】【魔眼:魅了lv7】【偽装lv10】【隠蔽lv10】【粘糸lv7】【操糸lv8】
《ルーン魔石》
【ファイアーバレット】【ファイアーボール】【インフェルノ】
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これが、俺の誇る最強の配下のアリソン。
もう一段階進化したアリソンはほぼ人間と同じ知能を手に入れ、言葉も中学生くらいの語彙力はある。
そして、肝心な俺のレベルは1586。もうスキルは幾つ持ってるか数えるのも面倒なくらい所持している。
前回のボス【バイアクヘ】の時は、そのまま準備せずにいって予想を遥かに超えた強さだった。
即死こそせず果実で全回復できたから良かったものの。もしかしたら負けていた可能性だって十分ある。
たが、今回は入念に準備をした。戦法もきっちり体で覚えさせ、この階層の宝箱から出た防具や武器で全て揃えた。
ここまでくればもはや軍隊。指揮官のいる洗練された一個小隊並みの以上の戦力を保持してるに違いない。
もう、この階層に残してきた思いはない。
ボスの扉は既に見つけ、時は満ちた。
柚留の使い魔たちは、前より大きく重量のある扉を開け、中へと進軍していく。
扉の内部は、前と同じく円状でがらんどうな空間がそこに広がっていた。
前回と同じく全員が入りきると、勢いよく扉が閉まる。ボスのお出ましだ。
その姿は人型で灼熱の炎に包まれていた。
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《ステータス》
【名 前】ー
【種 族】精霊イフリート族
【レベル】2160
【魔力量】3741000/3741000
【存在等級】伝承級
《スキル》
【炎装Ex】【魔力操作lv7】【第六感lv7】【隠密lv5】【並列思考lv4】【魔眼:灼熱lv8】【浮遊Ex】【鑑定lv5】【隠蔽lv8】【偽装lv6】【分身lv6】【自然治癒lv5】【魔力量拡張Ex】【魔力回復Ex】【身体強化lv10】【火魔法耐性Ex】【耐熱性lv10】【腐食耐性lv10】【人化lv10】【剛力lv8】【健脚lv7】【魔眼:透過lv10】【魔力治癒lv7】
《説明》
イフリート族に属する精霊。火を司る。種族的に灼熱の魔眼を持っており、格下ならば一瞬で消し炭にされてしまうだろう。
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鑑定によると火の精霊らしい。最悪な事に俺らより相当格上だ。
特に魔力量の桁が一桁多く見えるんだが、鑑定がおかしい訳じゃないよな。
精霊なら言葉がわかるかもしれない。攻撃をする前に話しかけてみよう。
「おいおい、出会い頭に鑑定を使うとか失礼極まりないな。どこの田舎もんだよ」
話しかける前に火の精霊がこちらに向かって喋った。
鑑定をしたのがバレたのは何かしらのスキルがあるのだろう。
「どうせ戦う事になる相手に鑑定を使ったら駄目か? それとも何もしないで通してくれるのか、それだとありがたいが」
「なにっ、貴様精霊語が話せるのか!?」
「ん? ただ俺は普通に喋ってるだけだが」
「なるほど、言語系スキルか。まぁいい、どちらにせよお前らは死ぬ運命だからな」
精霊の目が小さく燃えると、一匹のゴブリンが発火する。火は忽ち大きくなり、一瞬で炭と化してしまった。
「動き回れ! さもないと燃えるぞ!」
恐らくあれは魔眼の効果によるもの。
魔眼系のスキルは、ものによっては動き回れば当たりにくくなる場合がある。
これだけ兵を連れてきたが、殆どがろくに戦えない。仕方ないが、指輪の中で待機してもらおう。
現在戦えているのは俺含め高ステータスの三匹のみ。
アリソンは【魔眼:破滅】を常時発動させているが、まるで効いていない。
トム、ボブの二匹の打撃や魔法も殆ど効いていない。
俺の攻撃も効いてなくはないが、魔力を消費して【自然治癒】されてしまう。残念なことに俺の火力より、治癒のスピードの方が断然速いようだ。
だが、こんな事は想定済み。数の暴力で押し切れるほど甘くないのは百も承知だ。
そして、これからやる戦術は時間がかかる上に、この上なく卑怯な手段。
いや、これは生きるか死ぬかだ。卑怯なんて気にしてたらただ死ぬだけ、地球でのような敗北者になるのはもうごめんだ。
◆◆◆
「お、俺様の負けだ! 降参する!!」
胴体を真っ二つにされた火の精霊は、必死に懇願する。
問答無用でとどめを刺そうと思ったが、殺したところで経験値になるだけ。
それなら、こいつをスキルで隷属させたほうが有益なんじゃないか?
「なら隷属してもらおうか。それがいやなら死ぬことになるが」
「是非喜んで隷属させてもらいやす!」
火の精霊イフリート族を隷属させることに成功した。
と、ここで気になる卑怯な戦術のことについて話そう。
まず、この戦術をするためには必要条件がいくつかある。
《1》相手の攻撃を食らっても即死しないこと。
《2》ほんの少しでも相手に攻撃が通れば良い。
《3》出来れば2人以上。数は多ければ多いほどいい。
《4》とにかく時間が掛かるので、諦めない心が肝心。
《5》大量のユグドラシルの果実を所持してること。
この条件を見ればわかるが、簡単に言えばゾンビアタックだ。
致命傷を負ったら即果実で回復するの繰り返し。あとは時間を掛けてじわじわとダメージを蓄積させればいつかは綻びが出る。
この火の精霊の場合はこの膨大な魔力が尽きるまで。それからはダメージが少なくても通るので、攻撃をし続けて勝った。
せこいだろうが仕方ない、勝負の世界だ。
それで勝った訳だが、もしかしたら殺さないと次の階層に行けないとかはないよな。
『200階層の主の隷属を確認。より難度の高い攻略方法を成し遂げたため、報酬が向上しました。奥の扉へ向かってください』
どうやらその必要はないようだ。
指示通り奥の扉へ向かい、報酬を確認する。
前回と同じく、宝箱と転移石がそこにあった。
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【名称】モリーンの魔導書第2巻
【等級】幻想級
《説明》
対魔大戦前に大賢者モリーンが書き記した魔法書。魔法について詳しく記され、描かれている。
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【名称】フラガラッハ(剣)
【等級】伝説級
【材質】鉄、銀
【推奨レベル】1450
【付与効果】研磨lv11、耐久lv7、靱性lv5、耐熱性lv4、硬質lv1、重量化lv2、腐食耐性lv4、保存lv4
【属性付与】炎装lv5
【装備恩恵】身体強化lv2
【スキル】再生阻害lv8
《説明》
神々の思い付きで創られた剣。粗悪品だったため時空の狭間に投げ捨てられ、570万年もの間時空を駆け巡っていた。
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【名称】シェバリエの兜
【等級】SSS
【材質】銀、ミスリル
【推奨レベル】980
【付与効果】耐久lv10、腐食耐性lv2、衝撃吸収lv6、靱性lv2、耐熱性lv2、保存lv1
《説明》
対魔大戦時の遺物。騎士団長シェバリエの兜。
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他にもいくつかあったが、今は次の階層へ進みたい願望が強い。
俺は、201階層の文字をタップして次の階層へ転移した。




