12話 『千里の道も一歩から』
4682年を迎えた頃、その時は突然訪れた。
いつもと同じく脳死で何も考えず攻略している最中、なんの音沙汰もなく目の前に階段が現れ、俺は呆然と立ち尽くしてしまう。
ついに、ついに俺は三階層へ辿り着くことが出来た! そう心の中で叫び、嬉々として階段を駆け下りてった。
数千年ぶりに見るうっすらと青色に光っている巨大な石。そこに手を触れ、踏破登録を済ませる。
そして、楽しい三階層の探索が始まる……と思ったのだが、始まったのは地獄の無限回廊だった。
三階層目も二階層と同じ作りで、いくら進んでも同じ魔物、同じ道が続くだけの階層。これほどにまで落胆したことは初めてだ。
はぁ、三階層に行けば一階層みたいな空間があると期待してたのに。もしかしたら特別なのは一階層だけか?
こんなとこで挫けちゃいけん。時間は沢山あるんだ。そもそも迷宮と言ったらゲームでもこんな感じ。
まだまだ先は長そうだが、千里の道も一歩からだな。一歩ずつ着実に行こう。
一先ず、今日はもう探索する気になれん。テレポートで一階層に帰るか。
「【テレポート】」
そういやアリソンだが、この1600年の間で二回も進化した。
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《ステータス》
【名 前】アリソン
【種 族】ヒューマノイドスパイダー
【レベル】206
【魔力量】12670/12670
【存在等級】S
《スキル》
【身体強化lv7】【腐食耐性lv4】【魔眼:鈍化lv3】【剛糸lv2】
《ルーン魔石》
【ファイアーバレット】
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タイニースパイダーからスマートスパイダーへ進化。そして、ヒューマノイドスパイダーに進化した。
ヒューマノイドということで人型の魔物であるが、下半身が蜘蛛で上半身が人間の形であり、肌は人間の皮膚ではなく蜘蛛の皮膚と体毛に覆われている。
今後さらに進化すればより人間に近くなるかもしれんな。そうしたら口が発達して話せるようになって、会話相手が出来るかも。
精神的にも会話相手がいた方が絶対にいいし、そろそろ孤独で頭がおかしくなりそうだ。前の進化には1000年以上掛かってるから、次の進化には恐らく1500か2000年以上掛かるかも。まぁ、気長にやってこ。
「ふぅ」
兎の皮で作ったソファーに深く腰を掛け、皿にあった干し肉をいくつか口に運ぶ。
時刻は午後1時。まだ時間がある。暇だし西の洞窟にでも行くか。
西の洞窟はスキル【暗視】によって明かりがなくても探索できる。やはり、レベルを上げといて正解だった。Exレベルになると全く光がないところも見えるようになるらしい。てことは、ブラックホールの中とかも見れるってことか? いや、その前に引き伸ばされて死ぬか。
そんなことは置いといて、西の洞窟ではこれまでに沢山の鉱物を手に入れてきた。浅いとこでは鉄や銅や石炭。深いところではダイヤや金……ってマイン○ラフトかよ。今思えばめっちゃ似てんな。
さらに深いとこに行けば聞いた事のない鉱石がちらほら産出する。例えばミスリルとか。
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【名称】ミスリル鉱石
【等級】伝説級
《説明》
鉄と比べ物にならないくらい硬い上に、鉄の半分くらい軽い。膨大な量の魔力を耐える。魔法付与に適した素材。
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アダマンタイトとか。
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【名称】アダマンタイト鉱石
【等級】伝承級
《説明》
ミスリルよりさらに硬いが、鉄の二倍くらいの重量がある。膨大な量の魔力を耐える。
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オリハルコンとか。
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【名称】オリハルコン鉱石
【等級】幻想級
《説明》
アダマンタイトより硬く、ミスリルよりさらに軽い万能金属。途轍もない量の魔力を耐える。
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他にもヒヒイロカネやビブラニウム、様々な鉱石があったりなど。地球には存在しない物質が多数存在した。これらは氷山の一角だろう。まだまだ洞窟は奥に続いている。
今後、この洞窟でどんな鉱石が出てくるか楽しみだ。
そうして、迷宮攻略の日々は続き、時は大きく流れる──




