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80話 紋様の謎

 その後、入江に戻った私達はさっさと砂浜に戻る。不思議な事に入り口を塞いでいた岩は消滅していた。どういう仕掛けなのだろうか……


「あれ? お姉様どこに行って……って! そ、そ、その血どうしたんですか!?」


 テルミナが慌てて私に駆け寄る。傷はほぼ治っていたけど血だらけなので勘違いされてしまった。


「あぁ……大丈夫大丈夫、大した傷じゃないし」


「大したって! 血だらけじゃないですか!!」


 もう、テルミナは心配性だなぁ……


「大丈夫だって、もう治したし」


「は、はぁ……」


 私の平気な様子を見て、納得したのかしないのか。ひとまず落ち着いたテルミナ。


「……なんだか慌ただしい娘だね〜」


 私の後ろに隠れていたシルフがピョコッと飛び出す。


「!? こ、この娘は!?」


 驚くテルミナ。


「あー……えっと」


 どう説明したらいいものか。


「私は風の精霊シルフィード!! よろしくね兎ちゃん!!」


 彼女は隠すことなく名を名乗る。それでいいんだ……


「精霊? あなたが?」


 テルミナはシルフを見て驚いた様にそう言った。


「ええそうよ!」


 元気よくそう答えるシルフ。


「えっと……一体何が?」


 まあそりゃ、そういう反応になるよね。仕方ない、みんなにちゃんと説明するか。



 そうして私はグリペンとも合流してコテージに戻った。コテージでテルミナやグリペン、ミラ姉様とライカに昨日私が不思議な入江に迷い込んでシルフと出会ったこと。そうして今日、あの入江から例の草原に飛ばされて魔物と死闘を繰り広げたことを伝えた。


「そんなことが……」


 話を聞いて何やら考え込む様子を見せるミラ姉様。


「で、こんなのがその魔物から出てきたの」


 私は机の上にエメラルドの魔法石を置いた、魔法石は陽の光に当たってキラキラと輝いている。


「す、すごく綺麗ですね……加工もしてないのに輝きがすごいです」


 魔法石を見つめライカはそう言った。確かに……所謂原石状態なのにそれでもすごく美しい。


「この魔法石からは尋常じゃない程の、風の魔力感じますわ」


「やっぱり、ミラ姉様も感じますか?」


 私の言葉に静かに頷くミラ姉様、そうして彼女は魔法石にそっと指を触れた。すると部屋の中に微かに優しげな風が吹く。


「ふ、触れただけで……なんの魔力込めてないのに」


 私が触っても何も無かったんだけど。まあ私には殆ど風魔法の才能ないし仕方ないか……


「なぁ、よくわからないけどこれメチャクチャ高く売れそうじゃね?」


 唐突にそんな事をを言い出すグリペン。


「ですね、このクラスの強力な魔法石……人工でなく天然物だったら軽く2,000万スピカ位の値は付きそうです」


 に、2,000万!!?? 嘘でしょこれそんな貴重なものなの!?


「ど、どうしよう! これ持ってきて良かったの!?」


 やばい、今更ながらそこらへんが心配になってきた。


「ベルちゃん落ち着いてよ、あの文字見たでしょ? 風の試練を潜り抜けた者にこれを授けるって」


 私の周りふわふわと飛ぶシルフ。


「そうだけどさぁ……」


 それでも、そんな貴重な物がこんな近くにあると心が落ち着かない。


「どうするんだよベル?」


「取り敢えず保留で」


 これの扱いについてはもう後で考えよう。いや、決して逃げたわけじゃないからね!


「……それにしても、本当にこの島に精霊さんがいたんですね」


 テルミナがまじまじとシルフを見つめる。


「そういえば島の人に聞いたんだっけ? もう少し詳しく教えてよ」


 私は昨日テルミナが言っていた事を思い出し、彼女に改めて聞いてみる。


「んー……そこまで詳しい事聞いたわけじゃないんですけど」


 そうして、もう一度説明してくれるテルミナ。


 曰く、この島には昔から風の精霊が住み着いているという噂があった。


 風の精霊はこの島の何処かにある入江に住んでおり、普通の人はその入江に辿り着くことができないらしい。


「普通の人は入れない入江ねぇ……」


 私、すんなり入れたけどなぁ……


「それは本当だよ! 私が変なのが入ってこないように結界を張ってたし!」


「でも私入れたよ?」


 そう私が言うと、彼女は暫く考え込んだ様子を見せ。そうして突然私の太腿の上に座った。


「えいっ!」


 水着の上からペタペタと紋様があるあたりを弄る……ちょ、くすぐったい!


「多分これのせいかなぁ……」


「ふぁ……く、くすぐったいから辞めて!」


 そうして、シルフは私から離れる。


「何の話ですか?」


 テルミナ、そうして他の三人も不思議そうな様子でこちらを見る。


 ……この際だから、もうみんなには打ち明けてもいいかなぁ。


 私は立ちあがる。学園指定の水着は私の知ってるスクール水着とちがって、股の上、お腹のあたり水抜き穴がある。私は水抜き穴を開いて下腹部を見せた。


「ちょ……! ベルなにを……って、これは?」


 みんな、まじまじと私の下腹部を見つめる。紋様はまだ消えておらず、淡いながらも綺麗な緑色の輝きを放っていた。


「えっと、話すと長くなるんですけど……」


 そして、私は紋様の事について説明する。説明って言っても自分自身これについて分かってることなんてほとんどないけど……


 ただ、治癒魔法を使う時に光る事。たまに紋様が疼き出す事などを説明した。


「不思議な紋様ですね……何かの呪い? いや加護? よくわかりません……」


 と、ライカ。


「……それはもしかして」


 何か心当たりがありそうなミラ姉様。


「とにかく、これからは私たち精霊の力に近い雰囲気を感じるよ! だから結界越えられたんだと思うな〜」


 シルフがそう言った。この紋様のおかげかぁ……ホント、これなんなんだろう?

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