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71話 大図書館の謎?②

「えっと……なんで先輩がこんな場所に? ここ何処なんですか?」


 突然の事で困惑しかない。どういうことなんだろうか?


「あなたこそ、どうしてここに?」


 と、聞き返されてしまう。どうしてここにって? そりゃ私の方が聞きたい……


 ふと、甲冑を被った謎の存在の方を見ると動きを止めていた。もう敵意も感じられない。


「ここは……大図書館の閉鎖書架が集まる特殊な保管庫よ」


 閉鎖書架……つい最近聞いたばかりだ。チカ姉から教えてもらった。学園七不思議の一つだっけ。


「……閉鎖っていうか」


 めちゃくちゃ解放的なんですけど! 名前からして暗くて狭苦しい場所なんだろうなぁと思ってたのに……というより。


「ここ大図書館の中なんですか!?」


 よくよく考えたらそっちの方が驚きだ、こんな謎の空間が館内に存在しているなんて。


「正確には少し違うけどね」


 ラティ先輩はそう答えた。曰く、大図書館と魔法で連結している別の空間らしい。


 イマイチよくわからないけど取り敢えず魔法で生み出された空間ってことはわかった。


「こんな広い場所を……いったいどんな魔法使ってるんだろう」


 こんなに広い空間を生み出すなんて容易じゃないはず、ここを生み出した人は相当な高位の魔女に違いない。


「それでラティ先輩はなんでこんな場所に?」


 疑問二つ目、どうして彼女がここに居るのだろうか。


「その子から侵入者がいるって伝わってきたの」


 ラティ先輩は後ろにいる甲冑を被った謎の存在に目を向ける、あれはここのガーディアンらしい。


「私たちの一族は代々この大図書館を管理する役割を背負っているの」


 サラッと驚きの事実を口にするラティ先輩。


「だから私、ずっとこの学園にいるのよ……もういいかしら? そろそろ戻りましょう。あまりここに長居するのは良くないわ」


「え? あぁ、はい」


 他にも色々聞きたいことあったんだけど、取り敢えず今はこの場所から出たい。


「ついてきて」


 手招きするラティ先輩。私は彼女について行きこの空間を歩いていく……


 それにしても、本当に幻想的な光景だなぁ。なんというかちょっとした観光地に来ている気分。


 そんな事を歩きながら考える、この空間は見た目通りかなり広かった。どこまでもどこまでもこの不思議な空間が広がっている。



「ここにある本って、どういうものなんですか?」


 ふと、気になったのでラティ先輩に聞いてみる。


「ここにあるのはどれもこの世に一冊しかない様な貴重な資料よ。だからああやって、どの書架も鎖で閉じてる……だから"閉鎖書架"なの」


 閉鎖書架って……そういう意味だったのか。てっきりこの空間そのものを指している言葉なのかと。


「この世に一冊しかない……」


「ええ、中には禁じられた魔導書なんかもあるわ」


 わざわざこんな空間に保管しているのも頷ける。貴重で重要、そして危険な資料は盗まれないようこういった特殊な空間に置いているという事だろう。



 そうしてしばらく歩くと、ポツンと大袈裟なドアが立っている場所に着いた。


 このドア……ここに来た時に開けたドアと同じだ。なんでこんな所に?


「ドアノブに手をかけて、開けてみて」


 私は言われた通りにする、そうしてドアを開けると……また眠気が……



〜〜〜〜〜〜〜



「はっ……!?」


 気がつくと先程の通路にいた、後ろを振り返ると例の大袈裟なドアが。


「夢?」


 もしかして夢でも見てたのだろうか、私はもう一度ドアノブに手をかける。だがドアは固く閉ざされていた。


「戻って来れたみたいね」


 と、隣にいたラティ先輩が呟く、夢じゃないのか……


「噂って本当だったんだ」


 閉鎖書架、本当に実在したとは。


「それにしても、あなたどうしてここに入れたのかしら。鍵が掛かっているはずだけど……ここは私の一族しか入れないようになっているはずなの」


 不思議そうにするラティ先輩。


 鍵……確かに掛かっていたような気がするけど、私が手を触れたら勝手に外れたんだよね……


「あ……」


 そういえば、あの紋様。


 私はラティ先輩に背を向けて自分の下腹部を確認する。紋様は薄くなり、光ってもいなかった。


「うーん……」


 なにか関係あると思ったんだけど……


「どうかしたの?」


「あ、いえなんでもありません!!」


 ラティ先輩がこちらを覗き込んでいたので、私は慌ててお腹を隠す。


 そうして、そばに転がっている借りようと思ってた本を拾う、無かったと思ったらこっちに残ってたのか。


「……とにかく、ここのことは他言しないようにね」


 ラティ先輩がそう言った。


「はい、わかってます」


「じゃあ、行きましょうか」


 彼女は私の手をとる、そうして歩き出した。


「えっと……あの……」


 なんだろう、この状況。側から見ればお姉さんが妹を連れて歩いているような光景に見えるんじゃ……


「どうせ、道に迷ってあそこに入り込んだんでしょ? 私の手離さないでね、また迷われると困るから」


 見抜かれてた……



〜〜〜〜〜〜〜



「ん〜……不思議な場所だったなぁ」


  帰り道、先程の体験を振り返る。まさか学園内にあんな場所があるなんて思いもしなかった。


「……あ、そういえば」


 あの"ケストレル"って名前が入ってた本、なんとなく気になるなぁ。


 多分ラーズグリーズの悪魔に出てきたケストレルについて記されているんだろうけど。


 それに、あの本を触るとなんだか暖かみを感じたような……もしかして、私はあの本に呼ばれたのかな?




 ……いや、それは考えすぎ?

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