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70話 大図書館の謎?①

「え? 本当にベルちゃんなの!? 妹さんとかじゃなくて?」


 驚いた様子のクラスメイト、無理もないだろう。私は簡単に事情を説明する。


「……かわいい、妹にしたい!!」


「ラプター先生ならやりかねないね……」

 

 と、それぞれ違った反応を見せるクラスメイト二人。



 私は今学園にいた。今は夏休暇中であるが、学園は解放されており関係者なら自由に出入りができる。


 夏休暇中の課題のレポートの為の資料を集めに大図書館に行く途中でクラスメイトの二人とばったり会った。聞けば夏休暇中の集中講義に出る為に来ているらしい。


 そういえば、私がこんな目にあってる例のあのケーキを使った講義も集中講義の一環だったらしい。


 私とベルが資料であるあのケーキを食べたせいで講義の内容を変えなきゃいけないとかボヤいてたけど……そもそもあんなもの何に使うつもりだったのだろう、謎すぎる……


「じゃあね〜」「ばいばい!」


 二人と別れ大図書館に向かう。講義が行われているとはいえ参加する人数も限られているし、今学園にはあまり人はいない。普段よりも落ち着いた雰囲気が漂っている。



「……」


 大図書館にたどり着く、ここは休暇中とか関係なくいつも静かだ。


 レポートに必要な分野の資料が集まっている場所へ向かう。ここってめちゃくちゃ広いからいちいち館内地図を確認しなきゃじゃないと確実に迷う。


 途中でラティ先輩に会った。何故かこの見た目に関して突っ込まれなかった……


「あれ……いまどこ?」


 ……地図を見ているのに迷いそう、ここって構造が複雑すぎる。本当に迷路みたいな作りだ。


 五分くらい歩き回りようやく目的の場所に辿り着いた。使えそうな資料を棚から選び……って、届かない。


 仕方ないのでハシゴ……いや違う、キャタツを持ってくる。


 数分かけて資料を選び終える。今回探しに来たのは魔法薬学に関する文献だ。


「う……重い」


 分厚い本だけどこの身体のせいで余計重く感じる様な気がする。


 そうして、なんとか本を持って貸出手続きをしに行こうとしたんだけど……


「いや……ここどこ?」


 まずい、迷った。なんかどこも本棚がずらーって続いていて同じ景色ばっかだから目印とかなくてすぐ迷ってしまう。


「これじゃ大図書館の迷い猫だよ……」


 大図書館には至る所に現在地を示した館内地図が掲示してあるはず。さっさとそれを見つけよう……


 館内地図を探そうと歩き出したその時だった。自分の下腹部辺りが少しだけ熱を持ち疼き出した様な気がした。


「……?」


 気のせいだろうか。私は周囲に誰もいない事を確認して制服をピラリと捲る、ちなみにこの制服はホーネットさんが私の今のサイズに合わせて作ってくれた特注品だ。


「……ちょっと光ってる様な」


 この紋様、片羽の妖精(ピクシー)さんにおまじないをかけてもらってからは、普段は完全に消えてわからない様になっている。でもたまに薄ら浮かび上がることがあるんだけど……今回は結構くっきりと見えるし、青色の光を放っている。


「……なんだろう」


 何か呼ばれている様な……


 私の足は自然と歩き出す。徐々に疼きは増していく。


 そうして気がつけば、大袈裟なドアの前に立っていた。迷路の様な通路の突き当たりにあり。周囲は背の高い本棚に囲まれて、一見すると外からはわからない様になっている。


「……」


 ドアノブに手をかける。


 鍵はかかっていなかった。いや、正確に言えばかかっていたんだけど……何故か私がドアノブに手を触れると同時にカチャリという鍵の開く音が聞こえた。


 扉を開く……あれ……? なんか急に眠く…………



〜〜〜〜〜〜〜



「……はっ!?」


 だんだんと意識が戻ってくる。


「……え、ここどこ!?」


 周囲を見渡す、そこには驚きの光景が広がっていた。


「きれい……」


 そこは一面が天空に囲まれた様な空間であった。いや……地面はある、地面にも空が反射して写っているからそう見えるのだろう。


 ……ここってあれだ、アニメのオープニングとかでよく出てくる場所に似ている。


 よく周りを見渡すと、ぽつぽつと本棚の様なものがあるのが確認できた、私はそれの一つに近づいて見る。


「どうなってんのこれ?」


 本棚はチェーンでぐるぐる巻きにされ、中の本が取り出せない様になっていた。他の本棚も見てみたけどどれも似た様な感じだった。


「あれ? ケストレル? どっかで聞いたことある様な……」


 ある本棚、鎖の隙間からチラリと見えた本の背表紙にそんな文字が見えた。たしかこの名前って……あ、思い出した。確かラーズグリーズの悪魔って御伽噺に出てきた人の名前だ。


 私は隙間からその本の背表紙に触れて見る、なんだか暖かい。


「……ッ!?」


 その時だった、背後に何か強烈な敵意を感じた。振り返って見るとそこには……


「……ど、どちら様?」


 甲冑に身を包んだ謎の人物。一目でわかった、こいつ……普通の人じゃない。兜の隙間から見えるのはどこまでも広がっている様な暗闇であった。


 私は桜を抜き逆手に構える。



「ちょっと待って! その猫耳の娘はうちの生徒よ!!」


 その時だった、聞き覚えのある声が周囲に響いた。この声は……私は声のする方に視線を向けた。


「ラ、ラティ先輩?」


 そう、そこにいたのはあの超留年生、ラティ先輩だった。

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