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62話 単位認定試験

「……えっと、これと、これかな」


 大図書館で参考になりそうな本を探す。


 私は今、一週間後に迫る単位認定試験に向け、使えそうな本を探しに大図書館にやってきた。


「テストかぁ……」


 考えれば考えるほど憂鬱になる。試験は嫌いだ、ていうか好きな人いるの?


 まあ、でもこの試験乗り越えれば夏休暇と言われる一ヶ月と半分ほどの長いお休みに入る。そのための試練と思うしかないか……


 図書館内を見渡すと、試験勉強をしていると思われる娘がちらほら。私もここで勉強していこうかな?


 と、その時。見覚えのある人物が、あれは……ラティ先輩かな?


 私は彼女のもとに近づく。


「ラティ先輩」


 と、名前を呼ぶ。彼女は図書館の貸し出しカウンターに座って本を読んでいた。邪魔するのも悪いかなと思ったけど借りたい本もあるので仕方ない。


「あら、こんにちは」


 彼女は顔を上げこちらを見る。私は数冊の本と学生証を差し出す。


「これお願いします」


 先輩はそれらを受け取り、私の学生証を手元にあった小さな宝石がはめられた台座にかざした。


「試験勉強? がんばってね」


 と、手早く作業を終えた先輩は私は学生証と本を返す。


「はい」


 うーん……やっぱりこの人歳上とは思えない、どこからどう見ても私よりも歳下、十歳もいってない位の女の子にしか見えない。それにこの人、留年しまくってるんだっけ……でも成績が悪いようでもないらしいし、本当に謎な人だ。


 ふと、その時彼女が読んでいた本が目に入った。


 ……"魔法義体に関する考察"? 魔法義体ってなんだろう、よくわからないけど、かなり難解そうな専門書だ。


「どうかした?」


「あっ……いえなんでも、じゃあわたしはこれで!」


 私は学生証と本を受け取りその場を去った。


 ……相変わらず掴みどころがなくて不思議な人だ。なんというか纏っている雰囲気が神秘的というか。


 そんな事を考えながら大図書館を出て、私は生徒会室に向かった。今日はこの後ミラ姉様に勉強を教えてもらう予定だ。


「すみません! 参考書探してたら遅くなりました!」


 生徒会室に入る、部屋にはミラ姉様とテルミナが。私は適当な席に座る。


「あ、お姉様、その本私にも見せてください」


「いいよ、はい」


 私は彼女に本を渡す。


「ベル、わからない事があったら何でも私に聞くのですよ」


 ミラ姉様がそう言った。なんと頼もしい事だろうか。


「はい! 頼りにしてます!」


 そうして、一時間程。ミラ姉様に色々試験のヤマを教えてもらったりして試験勉強を行った。


 ミラ姉様は殆ど私達に付きっきりで色々教えてくれた、「自分の試験勉強はしなくていいの?」と聞いたら「そんな物しなくても余裕ですわ」と帰ってきた。


 流石学園ナンバーワン……



 試験勉強を終えた私とテルミナは海猫へと帰る。テスト期間中は仲居の仕事よりも試験勉強を優先するようにとホーネットさんに言われた。


 幸いにもこの一週間は殆ど予約もなく、宿泊するお客様もいない。


 ……いや、これ幸いなのか? ここの経営大丈夫なの……?



 そんなこんなで時間は過ぎていき、いよいよ試験期間を迎える。


 魔法学園の試験といえどもやる事は普通の学校とあまり変わらない。


 一日目と二日目は魔法と関わりのない一般科目のテストだ。実を言うと、専門科目よりもこちらの方が大変だ。魔法は勉強してて楽しいけど一般の科目は……(個人の感想です)


 二日間の試験を終えると次にやって来るのは専門科目、つまり魔法系の科目のテスト。


 専門科目のテストはペーパーと実技のテストが入り混じっている。かなり大変……



 そうして、計四日間の試験が過ぎて行った……



〜〜〜〜〜〜〜



「はぁ〜……ようやく終わった……」


 と、私は大きく伸びをする、隣にはテルミナとライカが。


 試験終わり、私たち三人は学園のカフェテリアに来ていた。例の依頼(クエスト)で手伝った場所だ。ここは放課後でも開いている。


「ここの問題、答えは②ですよね?」


「えっ? 私①にしましたけど……」


 テルミナとライカは机に問題用紙を広げて答え合わせをしていた。


 真面目だなぁ……私なんてもう試験のこと考えたくないよ……


 私は紅茶を飲みながらその様子を眺める、周りには同じような事をしている生徒たちが。


 そうして暫く、答え合わせを終えたテルミナは肩を落としため息を吐いた。


「あぁ……厳しい、現実は厳しいです……」


 と落ち込む彼女、あまり出来が良くなかったのかな、だから答え合わせなんてしない方が気が楽だって……


「ほら、試験の事なんて忘れて、夏休暇だよ夏休暇!」


 私はテルミナを励ます様にそう言った。試験を終えた私たちに待っているのは長いお休みだ。


「お二人はどこか行くんですか?」


 と、ライカが聞いてきた。


「……いや、ずっと海猫で仕事してると思う」


 勝手にはしゃいで、自分で言ったことに急に現実に引き戻される。


 そうだよ……どうせ行く場所なんてないし。海猫で仕事してるしかないじゃん……


「ラプターさんに言えばどこか旅行に連れて行ってくれるかな?」


 と、私が言うとテルミナは微妙な顔をしながら「どうでしょうか、あの人そんな太っ腹な人には見えませんけど」と言った。


 たしかに、そんな事をしてくれる人じゃないよねぇ……



「はぁ……夏休暇、何すればいいんだろう……」

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