表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/91

56話 黒髪の少女と対抗戦①

 戦闘を終えた私達は、瓦礫を魔法で退かし反対側のクラスメイト達と合流する。


「お姉様ー!!」


 私に抱きついてくるテルミナ。


「わっ……と、テルミナそっちは大丈夫だった?」


 私はそう尋ねる。


「はい、この大人数なので魔法のゴリ押しで倒しました!!」


 なるほど、たしかにゴリ押しは大事だ。


 そうして、再度クラスメイト全員が集結する。ふと入り口の方を見ると、石扉が開いていた、これでクリアという事であろうか。


「……テルミナ、いつまでくっついてるの」


 いい加減離れて欲しい……


「ぶー、お姉様冷たいです、せっかくの再会なのに……」


 再開って大袈裟な、そんな離れてないでしょ。


 そんなこんなで、目標の魔導書を回収してフロアボスも倒した私たち桜組は地上に帰還した。


「おー、みんな帰ってきた帰ってきた」


 チカ姉が呑気な口調でそう言った。


「最後のあれ何ですか? 流石にあんなのと戦わされるなんて思いませんでしたよ」


 私は文句を垂れる。


「あれくらいの魔物ならみんなでも余裕でしょ? 現に倒せたし」


 そりゃそうだけど……


「ともかく、みんな帰って来れて何よりだよ、みんなの様子はこっちからずっと見てたから」


 見ていたのか、まあ試験だしそうだろうと思っていたけど。


「流石に天井が崩れたのは想定外だったかな……まあいざとなれば私がなんとかしたけど」


 と、チカ姉は手元の書類に何かを書き込みながらそう言った。


「ていうか、またラプターさんがいないんですけど」


 あの人、またどこかに行ってしまったのだろうか。


「あぁ、あの人なら二日酔いで頭が痛いからって、始まって早々に戻っていったよ」


 はぁ? そんな二日酔いなんて素振りなかったよね? ピンピンしてたよね? 絶対サボりたいだけでしょ。


「そうだ、見てたなら教えて欲しいんですけど。最後の攻撃……」


「お姉様!! 早く戻りましょう!!」


 最後の謎の攻撃の主について聞こうと思ったけど、おもいっきりテルミナに遮られてしまった。


「ごめん、ベルちゃん今なんて?」


「なんでもありません」


 後でゆっくり聞けばいいか。



 そうして、試験を終えた私達はユージアへと帰還する。


 途中で黄緑組とすれ違った、多分地下迷宮に向かうんだろう。私達と同じ事をするのだろうか。


 ユージアに戻った私たち桜組は、そのまま自由行動になった。


 観光でもしようかと思ったけど三日目にも自由行動時間あるし、明日に備えて剣術の鍛錬でもしておく事にした。


 場所は宿屋の中庭。勿論周りには注意する。


 ちなみにテルミナはライカを連れて買い物に出かけてた。


「せっかく覚えた技も、魔法の力を借りないと通用しなかった……」


 桜閃刀流の技は魔力を乗せて使う技も多々あるがそれは、あくまで魔法とは別の物だ。そこに呪文の詠唱など存在しない。


「私もまだまだだなぁ」


 まだ剣聖さんの弟子になってから一ヶ月と半分くらいしか経っていない。


 その間暇があれば剣術を教えてもらっていたけど……やっぱりまだまだ未熟であることを実感する。



 そうして剣術の鍛錬をしていたら、気が付けば夕方になっていた。外に出た桜組のみんなも大体帰ってきた。


「はい! お姉様!」


 戻ってきたテルミナから、お土産として手乗りサイズの木彫りのクマならぬ、木彫りのケルベロスを貰った。



 そうして、宿屋にあるお風呂に入り夕食をとって一日目は終了した。



〜〜〜〜〜〜〜



 深夜。ユージア内の某所、暗い路地裏の一角で一人の女の子と一匹の猫が会話をしている。


「どうだった? あの(むすめ)は」


 少女の側にいる黒猫はそう尋ねる。


「普通の()だったけど、白百合から聞いてたイメージと違ったわよ」


 少女は自らの綺麗な長い黒髪を弄りながら退屈そうにそう答えた。


「まぁ、なんとなく人を惹きつける魅力みたいなのは感じたわね、あの娘かわいいし。あの娘の周りにとんでもない奴らばっかり集まるのもわかる気がするわ」


 と、苦笑いしながらそう付け足す。


「案外その手の魅力はバカにできないからな、人気者の素質と言うべきだろうか」


 猫は手で顔を洗いながらそう答える。


「ともかく、演習はあと二日ある。明日はクラス対抗戦があるそうだ、引き続き監視を続けてくれ」


 猫はそう言って去っていった。


「はぁ……めんどくさ」


 少女はダルそうに呟いた。



 そうして、夜は更けていく。


〜〜〜〜〜〜〜



 翌日、今日はクラス対抗戦がある。私は朝から少し緊張気味で過ごしていた。


「お姉様! いよいよ今日ですね!」


 朝食を取りながらワクワクした様子を隠せないテルミナ。


「なんでそんなに嬉しそうなの?」


 私はそう聞く。


「普段私達を見下してばかりの菫組と黄緑組に私のお姉様の凄さを知らしめる! これほど楽しみなことなんてありませんよ!」


 そういうのプレッシャーになるからやめて欲しい。


「お姉様! 菫組と黄緑組の人たちをぎゃふんと合わせてやりましょう!」


 朝からテンション高すぎでしょ、ていうか今日日ぎゃふんなんて言葉使う人いたんだ……


 その後も、桜組のクラスメイト達に同じような言葉をかけられる。


 はぁ……みんなの期待が重い。憂鬱だ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ