表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/46

日記11


 もしかしたらあれが集落かも。


 さっき、木に登って、まわりを見た。どこもここも木が生い茂ってて、地面は木の根ででこぼこ。これじゃ馬車は通れない。馬でも難儀するだろうな。


 ここから東のほうに、屋根が見えた。ぽつぽつと。あれが集落じゃないかな。だとしたら、わたし達、助かったってこと?


 メイノエは警戒してる。彼女も木に登って集落らしきものを見たんだ。あんまりにも建物が少なすぎないかって。でも、人数の少ない、小さな集落だって、御者さんはいってたし、田舎にはあれくらいの集落は幾らでもある。

 でもいやな感じなんだって。


 メイノエは怯えてる。昨日まで解らなかった。彼女あんまりしっかりしてるから、こわくないんだと思ってた。違う。凄く怯えてる。それに疲れてる。

 時間が足りないって度々いうの。間に合わないような気がするって。


 昨夜もなにかの気配がしたみたいね。メイノエが書いたところ、読んだ。

 気配なんて解らない。


 魔物かな。なら、逃げたほうがいい。魔物と戦っているところにおいはぎが来たら、わたし達は今度こそおしまいだもの。


 川で手足を洗った。顔も。水を飲んだ。


 彼女参ってる。

 凄く顔色が悪くて、少しだけ眠っていい? って訊きながら寝ちゃったの。わたしが怪我をしたから、心配してたんだ。メイノエの治癒魔法と薬で治ってるのに。それなのに彼女無理して、わたしが寝られるように自分は起きてた。

 でも授業でならったもんね。怪我そのものを治しても、血が沢山流れてたら死んでしまうんだって。

 メイノエごめん。わたしが怪我なんてするから。迷惑だよね。逃げる時もわたしを助けてくれた。メイノエひとりなら迷わず集落へ行けたかもしれないのに。わたしって足手まといだ。


 メイノエと喧嘩した。

 黙って、集落っぽいところへ行こうとしたの。

 彼女ぐっすり眠ってなくて、起こしちゃった。彼女らしくない言葉で怒ってた。メイノエの名誉の為にくわしくは書かない。怒らせたわたしが悪いの。


 メイノエと喧嘩なんてしたことない。仲直りの方法も解らない。彼女気分が悪そうで、もう少しだけ休みたいって。でも休んだら間に合わないかなっていってた。なににだろう。


 ティノーヴァと喧嘩した時は、なにもいわなくてももとに戻るんだけどな。

 ティノーヴァって、わたしの弟。義理だけど。でもほんとの弟だよ。わたしと同じでそそっかしいし、勘違いが多いし、すぐに行動に移しちゃうし、そっくりだっていわれてきた。ちっちゃい時から一緒の弟。

 ダエメクの世話がいやになった時期も一緒だったな。

 おしつけて、わたしだけ出てって、ごめんねティノーヴァ。でもどうしても、勉強したかったの。わたしみたいにはやり病で苦しむひとがこれ以上出ないように。


 ちょっとだけ歌った。メイノエの為に。「おいはぎの男」よ。メイノエ笑ってくれた。わたし達のところに来たおいはぎも、こんなまぬけな男だったらよかったのにねって話した。笑いが停まらなかった。仲直りできたよ。彼女が寛大だから。


 まっくら。

 〈いつもの燭台〉は役に立つ。これどうして持ってきてたんだろう。おいはぎを殴ろうとでも考えてたのかな、わたし。


 メイノエにいった。やっぱり、集落らしいものが気になるって。

 彼女頷いて、用を足してくる、その後行こうって。まっさおだった。


 メイノエがもどらない。動かないで待っていてっていわれたけどどうしよう。


 あしあとみつけた 集落へ行ったんだ。ひとりで。どうして。

 わたしが行こうっていったからきけんじゃないかたしかめに?


 よかった。メイノエ、








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ